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稲城市議会6月議会一般質問報告1~“介護崩壊”を防ぐ支援について~ [市議会]

 6月17日に市議会一般質問を行いました。今議会の一般質問は、新型コロナ感染症から市民の暮らしをどう守っていくのか、市がどのような役割を果たしていくべきか、積極的な面は認めながらも、課題や不足点については指摘をする内容となりました。全部で3つの大項目に分けて質問をしたので、それぞれ分けて報告します。

1.“介護崩壊”を防ぐための介護事業者と助け合いボランティアへの支援について
(1)介護事業者の状況と支援について
①新型コロナ感染症による市内の介護事業者への影響について聞きます。
→市内の介護事業者から新型コロナウイルス感染症に感染したとの報告が無く、市内では東京都による休業や規模縮小等の要請を受けた事業者はありません。
→個々の事業者の経営状態については把握していません。
→介護報酬の請求件数は施設サービスは2月と4月で大きな変化はありません。居宅サービスは2月と比べて4月は3.6%減少していますが、新型コロナ感染症の影響かどうかは不明です。
②国や東京都による介護事業者への支援内容について聞きます。
→国は介護施設等の従事者および利用者に対して1枚ずつの布製マスクの配布や、人員基準の臨時的取扱等を行っています。東京都もマスクの提供等を行いました。
→収入が減少した事業者への経営補償については、「持続化給付金」があります。今後、介護施設や事業所に勤務する職員に対する慰労金の支給が予定されており、その実施主体は都道府県とされています。
③稲城市による介護事業者への支援内容について聞きます。
→2月からマスクや消毒用アルコールの配布や情報提供などを行っています。
→収入が減少した介護事業者への直接の経営補償などの財政的支援は、介護保険は全国一律の制度あることから国により対応するべきものと考えています。
→介護報酬の「概算払い」については震災や台風による被災などの際の対応として行われるものであり、収入が減少した介護事業者への経営補償を目的としたものではないと考えます。
→今後も国や都と連携しながら、介護事業者に対して適切に支援していきます。

<解説>
 新型コロナ感染症による様々な影響は、介護事業や高齢者の助け合い活動の分野にも大きな困難をもたらしています。経営の悪化による事業の閉鎖や、担い手の疲弊により助け合い活動が活動停止をしてしまえば、地域の中で連鎖的な介護崩壊が起きてしまいます。介護崩壊を起こさないための支援策を求める立場から質問しました。
 まず幸いなことに、市内の介護事業所において新型コロナの感染は起きなかったということは良かったです。感染対策を行いながら、介護サービスを継続された介護事業所と従事者の皆さんのご苦労は本当に大変だったと思います。
 それでは、実際の介護事業所の経営状況はどうなっているのか?と質問しましたが、市は「個別の状況は把握していない」という答弁でした。施設系はほとんど減っていないし、居宅系についても2月に比べて4月は約4%の減少だということです。それでは、あまり影響はないのでしょうか?決してはそうではないと思います。
 私は市内のある事業者の方にお話しを伺ったので、その一部を紹介をしたいと思います。
 ・新型コロナ禍が事業に与えた影響では、デイサービスが一番影響を受けている。
 ・蜜を避けるとなると、定員として認可されている広さでは利用者間のフィジカルディスタンスを保てないので、定員よりも人数を減らして受けざるをえない。
 ・緊急事態宣言下では利用回数や1日の上限人数も制限した。
 ・利用を制限したために、一部の業者への委託を止めることになった。これまで協力をしてくれた業者をお断りするのは苦渋の決断だった。
 ・送迎も密をさけるために何度も往復しながらの送迎が大きな負担となった。

 新型コロナの影響は市内の事業者にも、大きく出ていることがよくわかります。平成31年度の介護保険特別会計の繰り越し、つまり黒字額は約1億8千万円になるとのことです。それでは、今年度はどうなるでしょうか。現状のまま推移すれば今年度の介護保険会計は多額な繰り越し金が発生するのではないでしょうか。
 今、介護事業者の全国団体や労働組合の皆さんから、前年度の実績に基づいた介護報酬の「概算払い」について検討してほしいという要望が出されています。市は「概算払いについては経営補償を目的としたものはではない」という答えでした。しかし、すでにこれを実施した自治体があります。名古屋市は2月に感染予防の観点から、市内の介護事業所に対して休業要請を行い、その休業補償として前年度の実績に基づいた介護報酬を概算払いという形式で給付をしました。災害対応以外でも自治体の判断で経営支援のために概算払いを行うことができるのです。
 今こそ、新型コロナ感染症の影響で介護事業所の閉鎖や事業停止が起きないように、現場の実態をつかみながら、市としても必要な支援を行うべきであると対応を求めました。

(2)助け合いボランティア団体の状況と支援について
①新型コロナ感染症による市内の助け合いボランティア団体への影響について聞きます。
→新型コロナ感染症による外出の自粛に伴い、通いの場などの会場に集まって実施する活動のほとんどは休止されていたものと思われます。
→市に対する問い合わせは、事業の休止や再開状況に関するものが5件、また活動場所の賃貸料を補助する制度に関するものが1件ありました。
②国や東京都による助け合いボランティア団体への支援内容について聞きます。
→国は取り組みに対する留意事項を、東京都は対策ガイドを出して、新しい生活様式を踏まえた通いの場の運営と実践の考え方のヒントを示しています。
→「東京都感染拡大防止協力金」については、高齢者を対象とした介護予防等を目的とした自主グループ活動については協力金の対象とはならないものと考えます。
③稲城市による助け合いボランティア団体への支援内容について聞きます。
→市では国や東京都が示した留意事項を基に、グループ活動の再開の手引きを作成しています。
→「通いの場支援補助金:については、補助の対象として新たに新型コロナ感染症予防のための資材等の購入費や人と人の距離を確保するための会場費などを追加することを検討しています。

<解説>
 高齢者を対象としたボランティア団体もほとんどが活動を休止されたということです。その中で、市に対しては家賃補助を求める要望も寄せられているということです。
国の緊急事態宣言や都の自粛要請に応じて活動を休止したのはいいけれど、参加費がまったく入ってこなくて、様々な経費を維持するのが大変だというボランティア団体の声を聞いています。そういった皆さんが、藁を掴む気持ちで都の協力金に申請を出している現状があります。
 これまで市はボランティア団体の活動支援として「通いの場支援補助金」制度を設けてきました。一定の役割を果たしていると思います。そこで、「さらなる活動支援のために、『通いの場支援補助金』の対象や内容の拡大、金額の増額などを行うべきではないか」と質問したら、思いがけず「新型コロナ対策として対象の追加を検討している」という答えでした。これは、大変重要なことだと思います。ぜひ早急な追加策の決定と、多くの団体への広報や周知をして、積極的に活用をしてほしいと思います。
 介護事業所とボランティア団体、高齢者の暮らしと健康を支える大事な両輪です。最前線で奮闘されている介護事業所、介護従事者と、地域で下支えをしてくれているボランティア団体の両方が、今回の新型コロナ感染症の影響で危機的な状況になっています。これらの活動を支えていく必要があります。そのために、市が役割を果たしていく事をこれからも求めていきます。

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※市役所から見える梅雨の曇り空です。
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