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稲城市議会3月議会一般質問報告3~南山開発と平尾近隣公園~ [市議会]

一般質問の報告の3回目は「南山区画整理」と「平尾近隣公園」について報告します。

〇誰もが安心して住むことのできる南山地域のまちづくりについて
(1)南山東部土地区画整理事業計画の第8回目の変更内容について
①事業名称の変更内容とその理由について聞きます。
→ジャイアンツタウン構想やよみうりランドの成長戦略などの新しい取り組みを踏まえ、土地区画整理事業を早期かつ確実に事業完了させ、持続可能な市街地形成を実現させるために、本事業を都市計画決定いたしました。これに伴い、事業名称が「多摩都市計画事業・稲城南山東部土地区画整理事業」に変更となります。
→都市計画決定することのメリットについては、より公共施設の担保性が図られることで、京王よみうりランド駅周辺からジャイアンツタウン構想・よみうりランドの観光資源等を含んだエリアの拠点形成や良好な住環境の形成につながるものと考えています。
②事業規模、総事業費、施行期間の変更内容とその理由について聞きます。
→第8回事業計画変更における、事業規模については変更ありません。総事業費については造成工事の見直しや、頻発する自然災害の対応などにより、見直しを行います。施行期間についてはは、現時点では変更ありません。
→「都市再生区画整理補助金」は、都市基盤整備が必要な市街地の再生を推進するために施行する土地区画整理事業に対する国の補助金です。追加された理由は、都市計画事業として位置づけたことから新たな特定財源として国から認められたためです。
→保留地の処分状況については以下の通りとなります。
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(2)これからの南山地域のまちづくりについて
①南山地域での住宅戸数増加にともない、子育て支援、教育、介護等の今後の福祉インフラへ与える影響について認識を聞きます。
→今回の事業計画変更において将来計画人口の変更はありませんので、福祉インフラに与える影響は無いものと認識しています。
→学校施設や各種子育て施設、医療機関や介護施設などの基本的な福祉インフラの整備については、第三次稲城市教育振興基本計画、第二次稲城市子ども・子育て支援事業計画、稲城市医療計画、第三次稲城市保健福祉総合計画などの各種計画に基づいて適切に整備されるものと認識しています。
②路線バスを含む今後の公共交通整備について聞きます。
→バス路線の拡充については、これまでも都市基盤整備や新たな道路整備の進捗に合わせて、早い段階から稲城市地域公共交通会議でバス事業者に要請しています。現在、バス事業者にて運行を検討してもらっています。

<解説>
 南山区画整理の新たな変更案が明らかになっています。佳境を迎えた南山計画について、すでに住んでいる人もこれからも住む人も安心して暮らしていくことのできるまちづくりを求める立場から質問しました。
 今回の変更の一番大きい点は、「都市計画決定」がされたということです。「都市計画決定のメリットは何か」と聞くと、「公共施設の担保性が図られる」という答えが返ってきました。具体的にどういったことを示すのでしょうか。
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 ポイントは、資金計画の中にある「都市再生区画整理補助金」という項目です。これは国の補助金になります。都市計画決定をした最大の理由は、国からの補助金を入れることができるということです。それによって、事業計画の収入の安定性を目指すということです。
 もう一点、気になったのは保留地の処分についてです。私は2019年6月の議会質問でも、保留地処分の実績と計画について聞いています。その時の答えでは、2021年度末までの予定として処分面積は22万㎡、金額は約306億円となっていました。しかし、今回の答弁では221年度末の実績で総額が284億円となっています。保留地処分の実績としては約22億円の開きがあります。そして今回の答弁では残り3年で100億円以上の保留地を売却する予定とのことです。これが計画通りいくのか、もし保留地処分の予定通りにいかないと収入面で大きな穴が開いてしまうことなります。今後の大きな課題ではないでしょうか。
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 今後、計画が進捗し人口が増えていく中で学校施設や各種子育て施設、医療機関や介護施設などの基本的な福祉インフラの整備を市としてはどのように考えているのかが問われていきます。人口が増えてから検討を始めるのではなく、総合的に計画して整備を行っていくことが必要ではないでしょうか。
答弁では「総合的に考えている」ということでした。南山開発に限らずですが、開発によって定住者が増えれば市税収入も増えます。それは重要なことですが、住民が増えれば行政サービスの対象者も増えて、保育園、学童クラブ、学校、そして障害者や高齢者への福祉施策の拡充が求められるのも必然です。
 私たちが暮らしや福祉のまちづくりをと言っているのは、どの地域に住んでいようと必要な人が必要な支援をちゃんと受けられるようにしてほしいという、ある意味当たり前のことを要望しているわけです。人口が増えて後から慌てて対策を取るのではなく、計画的に福祉インフラの整備を進めることをこれからも求めます。

〇平尾近隣公園の転倒防止対策による安全な公園整備について
(1)直近3年間の平尾近隣公園での転倒による事故の発生状況について聞きます。
→店頭による事故の発生については、市では把握していません。
→市民からの要望としては、新日本婦人の会より「稲城市政に関わる要望」として、平尾近隣公園及び外周道路の滑りやすい所の解消についての要望がされています。
(2)同公園での転倒防止の対策状況について聞きます。
→タイルの汚れにより滑りやすくなった園路において高圧洗浄機にて洗浄を行った後に、滑り止めテープを貼布するなどの対策を講じています。
→平尾近隣公園については昭和45年に東京都住宅供給公社により、平尾団地の開発に併せて整備され、市に移管された後、平成4年と5年の2箇年で改修工事を行っています。根本的な対策については、今後の平尾団地の再生に併せて検討していきたいと考えています。

<解説>
 平尾地域の平尾近隣公園のタイルで滑って転倒し、けがを負ったという声が市民から寄せられました。市としてのこれまでの対策を確認し、安全な公園にしていくことを求める立場から質問しました。
 今回、実際に転倒されてけがをされた方、通行人が転倒している場面を目撃した方にお話しを聞きました。転倒された方は結果的にけっこうなけがになってしまったそうですが、転倒直後は歩くこともできたので救急車を読んだりもしなかったということでした。
 しかしお話しを聞き、実際に現場も確認しましたが、確かに安全面で課題のある場所だと感じます。近隣公園のちょうど出入り口にあたる部分ですが、公園内の舗装は普通のコンクリートなのに、この部分だけがタイル状の舗装になっています。これが滑りやすく、特に雨などで水にぬれると滑りやすくなってしまいます。雨が降っているときは通るときに注意をされますが、雨上がりにぬれていることに気が付かないで滑ってしまうということです。
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 実際には市としても、対策が取られているということです。ただ現地を確認すると、一部で滑り止めテープが剥がれていたり、また汚れがまたついて滑りやすい箇所もでています。定期的な見回りや清掃等が必要ではないかと思います。これから春から夏にかけて雨が降りやすい時期にもなってきますので、こまめな対策を求めました。
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 現在の対策は重要だと思いますが、私は抜本的な対策も必要ではないかと考えます。平尾近隣公園の特殊性は、ただ公園ではなく地域と地域をつなぐ通路としての役割も果たしていることです。団地の真ん中にあることで、平尾商店街やバス停に行くために、多くの人がここを通ることになります。そして、地形に合わせて作っているので傾斜しているということで、これが滑りやすい原因にもなっています。
 新年度の予算では平尾団地の再生が計上されており、これまでの議論は平尾団地の再生とは近隣公園なども含めた平尾地域全体のまちづくり構想として考えていくというものでした。その中でも安全な公園にしていくために何が必要なのかということを議論検討していくことも必要ではないでしょうか。
根本的な対策として滑りやすいタイルを別の物に変更することや、斜面となっている箇所の見直しなど、安全な公園にしていくことについての検討を求めました。今後も状況を細かく把握しながら、安全な公園にしていくことを求めていきます。


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稲城市議会3月議会一般質問報告2~地域猫活動~

一般質問の報告の2回目は「地域猫活動」について報告します。

〇地域に暮らす住民と猫が共生できるまちづくりの支援について
(1)まちづくりとしての地域猫活動とその支援について
①TNR活動の定義について聞きます。
→TNR活動の定義につきましては、飼い主のいない猫の命を大切にし、一代限りの命を全うさせるため、地域の理解を得た中で、地域のボランティア団体の方々が捕獲を行い、不妊去勢手術をして元の場所に戻し、適正に管理する活動であると認識しています。
→TNRM活動の「M」が意味することにつきましては、手術を終えて地域に戻った猫を、ボランティア団体の方々が周辺の環境に配慮しながら管理し、最期まで見守るマネジメントの「M」であると認識しています。
②TNR活動への市としての支援内容について聞きます。
→「TNR活動」に対する市の支援につきましては、与えた餌を放置せず、排泄物の掃除を行って、地域の環境に配慮する「適切な餌やり」により、去勢手術を終えた猫が命を全うするまでを見守る、ボランティアの方々の活動内容を、市広報紙や市ホームページに掲載し、市民への周知をしております。また、周辺住民の理解を得るためにポスター掲示を行うなど、ボランティアの方々の活動をサポートしています。
→ボランティア団体の方々と地域住民との相互理解を促すための橋渡しとしての市の役割といたしましては、現在でも猫に関する相談や苦情などがボランティア団体の方々、あるいは地域住民から寄せられた際には、双方の意見を聞きながら、課題解決に向けて取り組んでいます。今後も引き続き同様に取り組んでいきます。

<解説>
 これまでも地域猫活動の支援と、人にも猫にも優しいまちづくりを求めてきました。ボランティア、行政、地域住民が協力しあいながら、人と猫が共生できるまちづくりのさらなる推進を求める立場から質問しました。
「TNR活動」については、これまでも何度か質問してきました。世間的にもだんだんと知られてきたと思います。T捕獲し、N避妊・去勢処置をして、R元の場所に戻すという考え方です。このTNRがちゃんとされた猫を地域猫とよびます。
 今、市内の動物愛護ボランティア団体などはTNR活動をさらに進めた考えとして、「TNRM活動」を呼びかけています。「M」とは、マネジメント(管理)するということです。実際問題としては捕まえて手術して元の場所に戻したら、その後の付き合いの方が長くなります。外で暮らす猫の寿命は4年~5年と言われていますが、年単位で関わる必要があります。
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私も定期的に朝夕で餌やりをしている2匹の地域猫がいますが、付き合いはもう3年くらいになります。地域猫活動として、ちゃんと管理をする。当然、餌やりは周りの人に迷惑をかけないようにするし、場合によっては最後の見取りまで行う。周辺の環境に配慮をしながら、地域猫活動をどう続けていくのか、このMが今大事になってきています。
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※私が朝夕餌やりをしている猫たち

 市がこれまでも様々な形で支援をされてきたことは、私も理解をしています。特に市広報にTNRの活動を掲載してほしいというのは、私も何度か一般質問でも提案をしてきました。広報へ掲載もしてもらい、市民の中での理解も少しずつ広がっているのではないでしょうか。そのうえで、TNRMのMに関連した市の役割も重要になってきていると思います。
 地域猫の餌やりボランティアをしている人の中には一部ですが、地域住民との共存や周辺環境への配慮よりもご自分の思いや気持ちを優先させてしまい、軋轢やトラブルとなってしまう事例があります。猫がかわいそうだからの一点突破で強引に進めることで、結果として周辺の住民にとって猫が悪者や邪魔者みたいになってしまうのは残念です。
 住民の皆さんのご理解やご協力は必要ですが、同時にボランティアの側も周りの環境に配慮をして一緒になって解決策を考えていくことが重要です。その橋渡しを行政が行っていくことが求められます。これまでも言われてきましたが、ボランティア・地域住民・行政が一緒になって、どうしたら人にも猫にも住みやすい街にしていくのかを考えることが、TNRMの実践ではないでしょうか。

(2)「適切な餌やり活動」の推進と啓発について
①猫の餌やり活動として「不適切な餌やり」の内容について聞きます。
→「不適切な餌やり」の内容については、一般的な定義づけはございませんが、周辺の理解を得ずに餌をやる行為や、他人が迷惑に感じている中で餌やりを続けているケース、いつでも食べられるように常時餌を置いておく置き餌や、猫が食べ終わった後に清掃をしない事などが該当されると思われます。
→不適切な餌やり活動に関して、令和3年度に寄せられた苦情件数は5件です。内容につきましては、駐車場で不適切な餌やりをしており、その猫が車に乗って傷を付けて困るというものや、近所で餌をもらった猫が庭に糞尿をするので困るというものでございました。この様な苦情を受けた際は、苦情者と相談した上で、近隣でお困りの方がおられることを周知するポスターを提示するほか、変動超音波式ネコ被害軽減器を貸し出すなど、必要に応じた対応を行っています。
②猫の餌やり場所に掲示している看板の内容とその位置づけについて聞きます。
→市が餌やり場所に掲示する看板の内容につきましては、ボランティア団体が見守っている猫への「適切な餌やり活動」であることをご理解いただくための看板や、ボランティア団体が関わっていない猫への餌やりに対して、やめるように注意喚起するもの、「適切な餌やり」をお願いする内容のものなどがあります。どちらの看板につきましても、環境に配慮し、不幸な猫を増やさないボランティア団体の活動をサポートする位置づけとなっております。
→看板を掲示している場所につきましては、不適切な餌やりに関する苦情が寄せられた公園や道路、民有地に、適切な餌やりを周知する内容の看板を掲示する場合や、ボランティア団体の方々が適切な餌やりを行っている場所に、ボランティア団体の活動を地域住民にご理解頂くための看板を掲示する場合がございます。看板の掲示に関して明確な判断基準は定めておりませんが、看板を掲示する場合は、ボランティア団体の方々とよく相談し、地域の環境保全に配慮した掲示を行っております。
③適切な餌やり活動を広げていくための地域のボランティア団体との協力連携体制について聞きます。
→地域のボランティア団体との協力連携体制につきましては、猫の餌やりに関する苦情や相談が市に寄せられた際に、ボランティア団体へ情報を共有し、係わりを確認した上で、近隣の方々に向けた「適切な餌やり」などを周知する看板の掲示を行うことや、市広報紙や市ホームページでボランティア団体の活動を掲載し、市民の理解を得られるように協力しています。また、ボランティア団体が係わっていない、不適切な餌やりに対しては、ボランティア活動の妨げになる行為を控えるよう、注意喚起の看板を設置するなどの体制をとっております。
→看板の文面等につきましては、以前、ボランティア団体の方々に相談したものを使用しており、看板の設置個所につきましても、ボランティア団体の方々にご意見を伺いながら対応しているところでございます。
④適切な餌やり活動を広げていくための広報啓発活動について聞きます。
→適切な餌やり活動を広げていくための広報啓発活動につきましては、不適切な餌やりを抑制するためにも、引き続き、市広報紙への定期的な掲載や、市ホームページで案内をしてまいります。
→「餌やりボランティア登録制度」につきましては、他自治体の事例なども参考に研究してまいります。

<解説>
 地域猫の餌やりについては、「不適切な餌やり」をちゃんと定義づけできるかどうかが重要であると思います。
 以前は餌やり場所に掲示している看板の文面は一種類だったのですが、今は場所によって複数の文面の看板を使い分けています。適切な餌やりがされている場所では「地域の人の理解を促す」看板を、不適切な餌やりだと思われる場所では「適切な餌やりをお願いする」看板をということです。
 餌やりについては、TNRM活動のMの活動をどのように支援をしていくのかという点が問われます。答弁で「不適切な餌やりの定義が無い」と答えていますが、稲城市として「これが不適切な餌やりです」という確たる定義がされていない状況があります。私はこの点はもう少し明確にして、不適切な餌やりを減らしていくための踏み込んだ対策が必要ではないかと考えます。
 いくつかの自治体では「餌やりボランティア登録制度」を設けることで、適切な餌やりと不適切な餌やりを明確にしている自治体もあります。稲城市でも導入について検討が必要ではないかと提案しました。
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※調布市の「ボランティア届出制度」

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※川崎市の「サポーター登録制度」

 地域猫活動への支援ということでは、TNRMのNの「避妊・去勢手術への補助」というのがよく注目されますし、それは私も求めるところです。けれど、ただ手術だけすればいいということではなく、その後にM管理も含めて考えていくことが必要です。
 猫を間に挟みながら、人にとっても猫にとっても暮らしやすいまちづくりを進めていくことが重要ではないでしょうか。私自身もボランティアの皆さんと一緒に実践を続けながら、市としてのさらなる施策の推進をこれからも求めていきます。



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稲城市議会3月議会一般質問報告1~介護保険と通学路の安全対策~

 3月3日に稲城市議会3月議会で一般質問を行いました。今回は「介護労働者の処遇改善」「通学路の安全対策」「地域猫活動の推進」「南山区画整理の計画変更」「平尾近隣公園の安全対策」の5点について質問しました。3回に分けて報告します。
 1回目は「介護保険」と「通学路」について報告します。

〇働く人の処遇改善と人員増による介護の質の向上について
(1)介護施設の人員配置基準の改悪について
①内閣府規制改革推進会議「第7回 医療・介護ワーキング・グループ」において、介護施設等の人員配置基準についてどのような議論がされたのか聞きます。
→介護施設等の人員配置基準についての議論については、委員から「ユニット型の夜間配置の見直し」や「ICTの活用や業務全体の見直しによる人員配置の見直し」などの意見が出されています。
→ワーキング・グループで紹介された北九州市でのモデル事業の主な内容は、ICT・介護ロボット等を活用した介護現場の新たな業務改善手法として「時間を生み出す介護」の実践事例です。
→令和4年2月17日規制改革推進会議の「これまでの議論の取りまとめ」の主な内容は、先進的な特定施設(介護付き有料老人ホーム)の人員配置基準について、介護施設の人員配置基準の柔軟化に関する考え方についてまとめられています。
②介護施設の人員配置基準の緩和は介護の質の低下や職員の負担増をもたらすものであり、行うべきではないと考えるが認識を聞きます。
→介護施設の人員配置基準につきましては、国において、適切に議論されているものと認識しています。
→介護従事者の処遇改善は、国において、運営基準や介護報酬の見直しなどを通じて、これまでも適切に行われて来ているところです。市としては、こうした動向をしっかりと把握していきます。

<解説>
 介護施設で働く人の人材不足を理由に、特別養護老人ホーム等での人員配置基準の緩和が国で検討されています。人員削減ではなく、働く人の処遇を改善し人員増を求める立場から質問しました。
 現在、特別養護老人ホームでは職員の配置基準を入所者3人につき職員1人とすることが最低限の基準として定められています。またユニット型と言われる施設でも1ユニットの入所者を概ね10人以下にするべきとされています。これらの基準を規制改革推進会議では、職員配置は入所者4人に職員1人にすること。ユニット型も1ユニット入所者15人以下まで広げるべきということを求めています。そして、その手法としてICT機器の活用と生産性の向上によって、人の配置を少なくしても現場が回るようにしていくと言っています。
 ワーキング・グループで紹介されている北九州市の事例では、職員が日中最大9人、夜間3人で通常は運営している特養ホームで、いろいろな対策をすることで介護士を一部介護助手に変更しながら日中最大8人、夜間2人で運営することができるようになったとのことです。
 そのために、2種類の見守りセンサーや記録システムの導入、清掃や洗濯等の外注化、業務の整理等を行っているということです。システムの導入や業務の整理は必要なことですし、結果としてスタッフにゆとりが生まれて利用者と関わる時間が増えることは重要だと思います。しかし、介護の現場は最後は人が携わることが求められる業種なわけで、業務整理だって限界はあるのではないでしょうか。
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 このワーキング・グループでは稲城市内にも施設がある大手介護事業者SONPOケアも参加をして提案をしています。自動で体位交換ができるベッド、睡眠センサー、車いすごと入れる介護用シャワーなどを活用していく、さらに利用者とコミュニケーションを取るためのコミュニケーションロボットまで導入して効率化すれば、人員を今の半分にできると言っています。そして、人にしかできない業務として「自分の歴史」「これからの夢」「終末期の医療」について利用者と職員が対話する時間を増やすんだと言っています。別世界のような内容に感じます。
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 そしてこのワーキング・グループ会議を受けて、規制改革推進会議の本体が人員配置基準の柔軟化を検証検討するための実証事業・モデル事業を今年の4月から行っていくということを決めました。しかし、これが本当に介護現場の人手不足解消につながるのでしょうか。
 今回の人員配置基準の緩和が明らかになってから、介護現場で働く多くの人たちや団体から反対の声や懸念の声が出されています。
 医療労働者や介護労働者で結成されている日本医療労働者組合連合会、医労連は「介護に生産を求めないで」と表明しています。「高齢者は『物』でな無い、感情を持った一人の人間です。生産性とは何なのか。理解できない」という現場の声が紹介されています。同じような声は、介護現場に携わる様々な団体や個人から出されています。
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 私は今行うべきは処遇改善によって介護現場で働く人を増やすことであり、安易な形での基準緩和による結果としての人員削減につながるようなことは行うべきではないと考えます。市内の介護施設で働く人たちの実態も良く聞き取りながら、市として介護労働者の処遇改善を推進していくべきではないかと求めました。
 国の方針ありきではなく、稲城市として現場で働く人たちの声も聞き、実態もつかみながら、処遇の改善によって働き続けることのできる介護現場にしていくことが必要です。これからも、私も実際に話を聞きながらこの問題について取り上げていきます。

〇子どもたちが安心して通学することできる通学路の安全確保について
(1)通学路の点検状況について
①令和3年(2021年)7月9日付文科省依頼「通学路における合同点検の実施について」の内容について聞きます。
→令和3年(2021年)6月に千葉県八街市において発生した事故を受けて、従前から行っている通学路の合同点検等を補完するものとして、子供の視点にも配慮しながら、これまでの合同点検等の蓄積を十分に活用し、地域の実情を踏まえた効率的・効果的な点検の実施を通じて、通学路の安全対策を依頼するものです。
→「通学路における合同点検等実施要項」の「5.その他」の内容については「過去に危険箇所の指摘がありつつも、継続的に関係機関等で認識されていない課題が見られるところ、危険個所や対策必要箇所については、児童・保護者、地域住民、関係機関の認識を高め、広く協力を得られるよう、地域の実情に応じ、具体的な対策の予定の有無に関わらず、可能な限り幅広く、各市町村のホームページ等に公表等することが望ましい。」というものです。稲城市としましては具体的な改善事項について教育委員会が取りまとめ、各学校及びPTAに報告して情報共有を図ってきています。
→今後、ホームページ等での公表により事故抑止などの改善が確認できるようならば公表について検討をしていきます。
②点検によって判明した市内の通学路の状況について聞きます。
→市では、令和3年(2021年)6月に千葉県八街市において発生した事故を受けて、令和2年度(2020年度)の合同点検で課題となっていた21箇所を緊急点検として現地調査を実施し、点検状況について関連部署と情報共有を行いました。令和3年(2021年)10月にPTA及び学校から提出された154箇所の改善要望をもとに現地確認を行っております。
→ 課題となっていた21箇所の主な内容につきましては、「信号の設置や変更」「道路の拡幅」「商店敷地内の灰皿の撤去」「下り坂の自転車減速のための柵増設」などです。具体的な改善状況は、信号については多摩中央警察署で交通量調査を行うなど一部変更の検討をしています。また、下り坂の自転車減速のための柵増設については、通行する方の利便性に考慮し前年度にポストコーンや看板を設置し対応しています。

(2)安全な通学路の確保について
①これまでの通学路の安全対策について認識を聞きます。
→通学路の安全対策につきましては、PTA及び学校、道路管理者、警察署等と教育委員会による通学路合同点検の実施及び学校における児童・生徒への交通安全指導等により対応しております。
→令和3年度(2021年度)合同点検で実施した対策の種別ごと件数につきましては、今後実施する予定のものを含めまして「ガードレール」の延長が1件、「ポストコーン」の設置が12件、「横断歩道や信号機」の設置又は移設が3件、「注意看板」の設置又は交換が19件、「カラー舗装や道路標示」の塗り直しが22件、でございます。
②今後の通学路の安全対策について認識を聞きます。
→今後も通学路合同点検の実施及び学校における児童・生徒への交通安全指導等により対応しております。
→通学路の交通安全対策につきましては、通学路合同点検などで、対策が必要とされた危険箇所につきまして、これまでにも補助金等も活用し、安全施設の拡充を講じてきております。今後につきましても、補助金等の有効活用を含め安全対策に取り組んでまいります。

<解説>
 通学路の安全確保については、市議会でもたびたび取り上げられてきました。特に2021年6月に千葉県で起きた通学中の児童が死傷した事故を受けて、全国で緊急点検が行われて同年の9月議会でも議論がされました。その時に議論を踏まえながら改めて市としての取り組み状況を確認し、子どもたちが安心して歩くことができる通学路にしていくことを求める立場から質問しました。
 文科省は千葉県での事故を受けて、2021年7月に通学路の緊急点検を全国の自治体に依頼をしました。そしてその時の依頼文書の付属資料として「通学路における合同点検等実施要項」というものを一緒に送っています。その中では、通学路の点検内容については「可能な限り幅広く、各市町村のホームページ等に公表等することが望ましい」としています。 030406.jpg  多くの自治体では「通学路の安全対策」とホームページを検索すると、点検箇所と結果が一覧で分かるようになっています。稲城市は「PTAと情報共有している」と言いますが、これでは「可能な限り幅広く」とはなっていないのではないでしょうか。国の実施要項に準じて安全点検の内容をホームページにも掲載をする必要があるのではないかと提案をしました。
 緊急点検では21か所を点検したということですが、けっきょくこの21か所も具体的にどの地域のどの部分なのかわからない状況です。まずは、全容が誰でもちゃんとわかるようにすることが必要ではないでしょうか。
 教育委員会は安全対策として「子どもたちへの交通安全指導を行っている。今後も交通安全指導を行う」と答えています。これまでの議会答弁でも、ソフト面の対策として子どもたちへの安全指導や必要に応じて通学路の変更などを行ってきたと答弁しています。しかし、それこそ千葉県で起きた交通事故はそもそもガードレールの無い歩道に車が突っ込んできたわけで、とうていソフト面だけで対応できるものではありませんでした。ソフト面だけでなくハード面の対策も必要ではないでしょうか。
 ハード面の対策として今年度は57件の対策をしているということです。重要なのはソフト対策とハード対策をしっかりと組み合わせていくことです。国の新年度予算案の中に通学路のガードレール整備等に使える新たな補助金の新設を行うということも明らかになっています。そういった制度も活用してハード面の整備を進めるべきではないかと提案しました。
 もう一つ重要なのは、区画整理施工中の地域内での対策です。本来であれば早急な対応が必要にもかかわらず、区画整理中であるということで通学路の安全対策が未実施になっている地域があるのではないでしょうか。
 例えば、榎戸区画整理地域の「多摩7・5・2号公園通り梨の道線」です。ここは一部区間はガードレールがありますが、ほとんど区間が歩道と車道の区別がない状況になっています。ここを普通に車が通って、子どもたちが通学時に横断しています。いつまでこういった状況にしておくのかということです。
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 個別の課題はそれぞれあると思います。しかし、区画整理地域ということで看板を置いてドライバーに注意を促すということだけではなく、ハード面の対策も含めたもう少し明確な対応が必要だと指摘しました。交通安全や子ども安全対策は気の回しすぎと言われるくらいの配慮が必要だと思います。今後も通学路の安全対策について取り上げていきます。
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