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稲城市議会9月議会一般質問報告3~介護保険の利用者負担軽減について~ [市議会]

市議会一般質問報告の3回目は、介護保険制度について報告します。

〇利用者負担の軽減によって、誰もが安心して利用できる介護保険制度に向けて
(1)「補足給付」の見直しによる大幅値上げについて
①8月から実施された「補足給付」の見直し内容について聞きます。
→主な見直し内容は、食費の助成について第3段階を2つの段階に区分して、第3段階②を新設したことや、ショートステイでの食費についての見直しがされております。また、所得段階に応じて、助成要件となる預貯金等の基準の見直しが行われております。
②「補足給付」を利用している人数と、8月の見直しによって影響を受ける人数について聞きます。
→7月末現在で349人です。新たに設定された第3段階②となった人は107人です。
→食費の見直し額は利用者が直接事業者に支払うことから、市では利用者の負担額の正確な把握はできませんが、標準的な見直し額としては施設入所では日額710円、ショートステイでは、日額650円程度の増額です。
→「食費」等の負担が増えたことで生活が厳しくなった場合の負担を軽減する制度は介護保険にはありませんが、状況をお聞きして必要に応じて生活保護等の福祉制度において支援をいたします。
→「介護保険サービスに係る利用者負担額軽減制度事業」については、低所得者で生計が困難な高齢者に対し、社会福祉法人等が利用者負担を軽減する福祉制度です。軽減の申し出をした社会福祉法人等が実施する介護サービスが本制度の適用となります。現在、市内で介護サービスを提供している社会福祉法人5法人のうち3法人が対象となります。市窓口や地域包括支援センターなどで冊子を配布しており、またホームページに制度に関する掲載をするなど、事業の周知を行ってきております。
③国に対して「補足給付」の要件を2005年10月のスタート時点に戻すことを求めるべきと考えるが認識を聞きます。
→今回の見直しについては、高齢化が進む中で負担の公平性と制度の持続性を高める観点から、負担能力に応じた負担となるよう必要な制度改正が行われており、以前の内容に戻す必要はないものと認識しています。
<解説>
 今年の8月から介護保険の施設利用者の負担軽減制度の「補足給付」が見直され、一部の利用者のさらなる負担増が実施されました。負担の実態を明らかにし、負担軽減により安心して利用できる介護保険制度実現を求める立場から質問しました。
「補足給付」とは、2006年に介護保険の報酬改定されたときに特養や老健などの施設やショートステイに新たに家賃が導入されたことからはじまっています。家賃や食費が負担できない所得の低い人が施設から出されてしまうという声が上がり、それを補うため住民税非課税世帯などの一定の所得段階の人については家賃や食費を減額して、その差額分を介護保険から施設に対して給付をすることにしたものが補足給付です。
 補足給付の対象者は所得の状況によって第1段階から第3段階に分かれてきました。今回の見直しは第3段階とされてきた人を、第3段階①と②に分けるということです。これまで、世帯全員が住民税非課税で本人の年金収入が年80万円以上の人は第3段階だったのが、80万円の区切りで第3段階①に、120万円の区切りで第3段階②に分けたということです。そして、現在の補足給付の利用者349人中107人、約3割の人が新しい「第3段階②」に移行して、値上げになるということです。
 この107人の方が特養などの個室なのか、大部屋なのか、ショートステイのどれを利用しているのかによって、負担額の幅は変わってきます。例えば、施設入所の大部屋の方だと1日710円、ひと月だと約2万2千円、年間だと約26万円の値上げになるということです。年金なので、本人の収入は前年と変わっていません。収入はまったく変わっていないのに、26万円も値上げされるわけです。年金収入がぎりぎり120万円の人にとっては、年収の2割に相当する値上げです。
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 それでは、生活が厳しくなったらどうすればいいのでしょうか。市は「生活保護がある」ということでしたが、本当にそれだけなんでしょうか。厚労省は過去の補足給付の見直しの際に「社会福祉法人等による生計困難者に対する利用者負担軽減制度事業」の利用についても周知をするようにしています。こういった制度についても、ちゃんと案内をするべきではないでしょうか。
 今回の補足給付の値上げについては、制度の持続性のためだということです。しかし、今のままでは、制度の前に利用者の生活が破綻してしまうほうが早いのではないでしょうか。そもそも、補足給付の対象は住民税非課税世帯の方々です。もともと厳しい暮らしをしている人たちの負担をあえて引き上げる、しかもこのコロナ禍で様々な困難を多くの人が強いられている中で実施をする。これはあまりにも冷たいのではないでしょうか。
 しかも、対象はショートステイも含めて施設を利用している方々です。在宅介護に困難があるから、施設を利用しているわけです。この負担増によって施設の利用が継続できなかったらどうなるのか。これまでさんざん介護離職ゼロだと言ってきた。親の介護を理由にした離職はなくそうと旗を振ってきたのに、施設介護の利用を制限して、困難な在宅介護にどんどん戻していこうというのでしょうか。
 国はまずは自助だと、言ってきました。年金収入は決まっていて、これ以上上がる可能性のない人たちにどうやって自助をしろというのでしょうか。弱い立場の人を弱い立場に追いやっていく、まさしく自己責任と自助の政治そのものだと思います。介護保険利用者と家族に最も近い地方自治体こそが、こういう弱い立場の人たちを守る姿勢を持つべきです。これからも、高齢者の権利と暮らしを守ることのできる介護保険制度を求めていきます。
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