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稲城市議会3月議会一般質問報告1~介護保険と通学路の安全対策~

 3月3日に稲城市議会3月議会で一般質問を行いました。今回は「介護労働者の処遇改善」「通学路の安全対策」「地域猫活動の推進」「南山区画整理の計画変更」「平尾近隣公園の安全対策」の5点について質問しました。3回に分けて報告します。
 1回目は「介護保険」と「通学路」について報告します。

〇働く人の処遇改善と人員増による介護の質の向上について
(1)介護施設の人員配置基準の改悪について
①内閣府規制改革推進会議「第7回 医療・介護ワーキング・グループ」において、介護施設等の人員配置基準についてどのような議論がされたのか聞きます。
→介護施設等の人員配置基準についての議論については、委員から「ユニット型の夜間配置の見直し」や「ICTの活用や業務全体の見直しによる人員配置の見直し」などの意見が出されています。
→ワーキング・グループで紹介された北九州市でのモデル事業の主な内容は、ICT・介護ロボット等を活用した介護現場の新たな業務改善手法として「時間を生み出す介護」の実践事例です。
→令和4年2月17日規制改革推進会議の「これまでの議論の取りまとめ」の主な内容は、先進的な特定施設(介護付き有料老人ホーム)の人員配置基準について、介護施設の人員配置基準の柔軟化に関する考え方についてまとめられています。
②介護施設の人員配置基準の緩和は介護の質の低下や職員の負担増をもたらすものであり、行うべきではないと考えるが認識を聞きます。
→介護施設の人員配置基準につきましては、国において、適切に議論されているものと認識しています。
→介護従事者の処遇改善は、国において、運営基準や介護報酬の見直しなどを通じて、これまでも適切に行われて来ているところです。市としては、こうした動向をしっかりと把握していきます。

<解説>
 介護施設で働く人の人材不足を理由に、特別養護老人ホーム等での人員配置基準の緩和が国で検討されています。人員削減ではなく、働く人の処遇を改善し人員増を求める立場から質問しました。
 現在、特別養護老人ホームでは職員の配置基準を入所者3人につき職員1人とすることが最低限の基準として定められています。またユニット型と言われる施設でも1ユニットの入所者を概ね10人以下にするべきとされています。これらの基準を規制改革推進会議では、職員配置は入所者4人に職員1人にすること。ユニット型も1ユニット入所者15人以下まで広げるべきということを求めています。そして、その手法としてICT機器の活用と生産性の向上によって、人の配置を少なくしても現場が回るようにしていくと言っています。
 ワーキング・グループで紹介されている北九州市の事例では、職員が日中最大9人、夜間3人で通常は運営している特養ホームで、いろいろな対策をすることで介護士を一部介護助手に変更しながら日中最大8人、夜間2人で運営することができるようになったとのことです。
 そのために、2種類の見守りセンサーや記録システムの導入、清掃や洗濯等の外注化、業務の整理等を行っているということです。システムの導入や業務の整理は必要なことですし、結果としてスタッフにゆとりが生まれて利用者と関わる時間が増えることは重要だと思います。しかし、介護の現場は最後は人が携わることが求められる業種なわけで、業務整理だって限界はあるのではないでしょうか。
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 このワーキング・グループでは稲城市内にも施設がある大手介護事業者SONPOケアも参加をして提案をしています。自動で体位交換ができるベッド、睡眠センサー、車いすごと入れる介護用シャワーなどを活用していく、さらに利用者とコミュニケーションを取るためのコミュニケーションロボットまで導入して効率化すれば、人員を今の半分にできると言っています。そして、人にしかできない業務として「自分の歴史」「これからの夢」「終末期の医療」について利用者と職員が対話する時間を増やすんだと言っています。別世界のような内容に感じます。
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 そしてこのワーキング・グループ会議を受けて、規制改革推進会議の本体が人員配置基準の柔軟化を検証検討するための実証事業・モデル事業を今年の4月から行っていくということを決めました。しかし、これが本当に介護現場の人手不足解消につながるのでしょうか。
 今回の人員配置基準の緩和が明らかになってから、介護現場で働く多くの人たちや団体から反対の声や懸念の声が出されています。
 医療労働者や介護労働者で結成されている日本医療労働者組合連合会、医労連は「介護に生産を求めないで」と表明しています。「高齢者は『物』でな無い、感情を持った一人の人間です。生産性とは何なのか。理解できない」という現場の声が紹介されています。同じような声は、介護現場に携わる様々な団体や個人から出されています。
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 私は今行うべきは処遇改善によって介護現場で働く人を増やすことであり、安易な形での基準緩和による結果としての人員削減につながるようなことは行うべきではないと考えます。市内の介護施設で働く人たちの実態も良く聞き取りながら、市として介護労働者の処遇改善を推進していくべきではないかと求めました。
 国の方針ありきではなく、稲城市として現場で働く人たちの声も聞き、実態もつかみながら、処遇の改善によって働き続けることのできる介護現場にしていくことが必要です。これからも、私も実際に話を聞きながらこの問題について取り上げていきます。

〇子どもたちが安心して通学することできる通学路の安全確保について
(1)通学路の点検状況について
①令和3年(2021年)7月9日付文科省依頼「通学路における合同点検の実施について」の内容について聞きます。
→令和3年(2021年)6月に千葉県八街市において発生した事故を受けて、従前から行っている通学路の合同点検等を補完するものとして、子供の視点にも配慮しながら、これまでの合同点検等の蓄積を十分に活用し、地域の実情を踏まえた効率的・効果的な点検の実施を通じて、通学路の安全対策を依頼するものです。
→「通学路における合同点検等実施要項」の「5.その他」の内容については「過去に危険箇所の指摘がありつつも、継続的に関係機関等で認識されていない課題が見られるところ、危険個所や対策必要箇所については、児童・保護者、地域住民、関係機関の認識を高め、広く協力を得られるよう、地域の実情に応じ、具体的な対策の予定の有無に関わらず、可能な限り幅広く、各市町村のホームページ等に公表等することが望ましい。」というものです。稲城市としましては具体的な改善事項について教育委員会が取りまとめ、各学校及びPTAに報告して情報共有を図ってきています。
→今後、ホームページ等での公表により事故抑止などの改善が確認できるようならば公表について検討をしていきます。
②点検によって判明した市内の通学路の状況について聞きます。
→市では、令和3年(2021年)6月に千葉県八街市において発生した事故を受けて、令和2年度(2020年度)の合同点検で課題となっていた21箇所を緊急点検として現地調査を実施し、点検状況について関連部署と情報共有を行いました。令和3年(2021年)10月にPTA及び学校から提出された154箇所の改善要望をもとに現地確認を行っております。
→ 課題となっていた21箇所の主な内容につきましては、「信号の設置や変更」「道路の拡幅」「商店敷地内の灰皿の撤去」「下り坂の自転車減速のための柵増設」などです。具体的な改善状況は、信号については多摩中央警察署で交通量調査を行うなど一部変更の検討をしています。また、下り坂の自転車減速のための柵増設については、通行する方の利便性に考慮し前年度にポストコーンや看板を設置し対応しています。

(2)安全な通学路の確保について
①これまでの通学路の安全対策について認識を聞きます。
→通学路の安全対策につきましては、PTA及び学校、道路管理者、警察署等と教育委員会による通学路合同点検の実施及び学校における児童・生徒への交通安全指導等により対応しております。
→令和3年度(2021年度)合同点検で実施した対策の種別ごと件数につきましては、今後実施する予定のものを含めまして「ガードレール」の延長が1件、「ポストコーン」の設置が12件、「横断歩道や信号機」の設置又は移設が3件、「注意看板」の設置又は交換が19件、「カラー舗装や道路標示」の塗り直しが22件、でございます。
②今後の通学路の安全対策について認識を聞きます。
→今後も通学路合同点検の実施及び学校における児童・生徒への交通安全指導等により対応しております。
→通学路の交通安全対策につきましては、通学路合同点検などで、対策が必要とされた危険箇所につきまして、これまでにも補助金等も活用し、安全施設の拡充を講じてきております。今後につきましても、補助金等の有効活用を含め安全対策に取り組んでまいります。

<解説>
 通学路の安全確保については、市議会でもたびたび取り上げられてきました。特に2021年6月に千葉県で起きた通学中の児童が死傷した事故を受けて、全国で緊急点検が行われて同年の9月議会でも議論がされました。その時に議論を踏まえながら改めて市としての取り組み状況を確認し、子どもたちが安心して歩くことができる通学路にしていくことを求める立場から質問しました。
 文科省は千葉県での事故を受けて、2021年7月に通学路の緊急点検を全国の自治体に依頼をしました。そしてその時の依頼文書の付属資料として「通学路における合同点検等実施要項」というものを一緒に送っています。その中では、通学路の点検内容については「可能な限り幅広く、各市町村のホームページ等に公表等することが望ましい」としています。 030406.jpg  多くの自治体では「通学路の安全対策」とホームページを検索すると、点検箇所と結果が一覧で分かるようになっています。稲城市は「PTAと情報共有している」と言いますが、これでは「可能な限り幅広く」とはなっていないのではないでしょうか。国の実施要項に準じて安全点検の内容をホームページにも掲載をする必要があるのではないかと提案をしました。
 緊急点検では21か所を点検したということですが、けっきょくこの21か所も具体的にどの地域のどの部分なのかわからない状況です。まずは、全容が誰でもちゃんとわかるようにすることが必要ではないでしょうか。
 教育委員会は安全対策として「子どもたちへの交通安全指導を行っている。今後も交通安全指導を行う」と答えています。これまでの議会答弁でも、ソフト面の対策として子どもたちへの安全指導や必要に応じて通学路の変更などを行ってきたと答弁しています。しかし、それこそ千葉県で起きた交通事故はそもそもガードレールの無い歩道に車が突っ込んできたわけで、とうていソフト面だけで対応できるものではありませんでした。ソフト面だけでなくハード面の対策も必要ではないでしょうか。
 ハード面の対策として今年度は57件の対策をしているということです。重要なのはソフト対策とハード対策をしっかりと組み合わせていくことです。国の新年度予算案の中に通学路のガードレール整備等に使える新たな補助金の新設を行うということも明らかになっています。そういった制度も活用してハード面の整備を進めるべきではないかと提案しました。
 もう一つ重要なのは、区画整理施工中の地域内での対策です。本来であれば早急な対応が必要にもかかわらず、区画整理中であるということで通学路の安全対策が未実施になっている地域があるのではないでしょうか。
 例えば、榎戸区画整理地域の「多摩7・5・2号公園通り梨の道線」です。ここは一部区間はガードレールがありますが、ほとんど区間が歩道と車道の区別がない状況になっています。ここを普通に車が通って、子どもたちが通学時に横断しています。いつまでこういった状況にしておくのかということです。
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 個別の課題はそれぞれあると思います。しかし、区画整理地域ということで看板を置いてドライバーに注意を促すということだけではなく、ハード面の対策も含めたもう少し明確な対応が必要だと指摘しました。交通安全や子ども安全対策は気の回しすぎと言われるくらいの配慮が必要だと思います。今後も通学路の安全対策について取り上げていきます。
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