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稲城市議会12月議会一般質問報告2~学童の待機児解消と保育園での感染防止について~ [市議会]

一般質問の報告の2回目は「学童クラブの待機児解消」と「保育園の感染防止対策」について報告します。

2.必要な人が利用できる学童クラブの定員増について
(1)稲城市の学童クラブの現状について
①市内の学童クラブにおいて、学校内設置と学校敷地外設置の施設の役割や入所要件等の違いについて聞きます。
→それぞれで役割や入所要件に違いはありません。
→入所にあたっては、すべての児童が市内のすべての学童クラブに申請することが可能です。
②市内の学童クラブ毎の児童1人あたりの専用面積の値について聞きます。
→以下の表の通りです。
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(2)待機児解消のための取り組みについて
①特別教室等の学校施設を臨時的に学童として活用することについて、これまでの取り組み状況を聞きます。
→これまでの取り組みとしてはありません。
→放課後に使用しない教室を学童として使うことに法的な問題はありません。
②「安心して働くためにも学童を利用させてほしい」という保護者の切実な声をしっかりと聴く必要があると考えるが認識を聞きます。
→市では、学童クラブを利用できない児童につきましては、希望するすべての児童が利用できる放課後子ども教室を全校で実施することで対応しておりますが、令和4年度以降の受け入れ定員増につきましては、放課後児童支援員の配置等、様々な課題の解決に向けて検討しております。
→市民から出された要望内容については「来年度以降の学童クラブの受け入れ数増員」と「学童クラブに入る資格のある全ての児童の受け入れ」が要望されました。
<解説>
 利用資格があるのに学童を利用できないことに対して解決を求める保護者の声が多数寄せられています。他市の事例も参考にしながら、様々な工夫による受け入れ枠拡大を求める立場から質問しました。
 学童について質問をするのは3回連続です。6月の第2回定例会では待機児の数を含めた現状認識について、9月の第3回定例会では「学童クラブ」と「放課後子ども教室」の違いや学童の必要性について明らかにしてきました。ここまで言ってきましたので、市としても学童クラブに対するニーズはあるということ、学童を増やす必要があるということは理解してもらっていると考えます。そのうえでどのように増やしていくのか、どのような増やし方があるのか提案的に質問しました。
 前回の一般質問で指摘をしたように、稲城の学童の待機児は地域的に偏りが大きくあります。待機児が集中をしている地域と逆に定員の空きが増えている地域の差が出ています。これを平準化していくということが一つの対策としてはあるのではないでしょうか。
 他市においては学校内設置学童の入所対象はその学校に通っている児童のみに限定し、学校敷地外設置の入所対象は限定をしないと区別をしている自治体があります。人口密度が高く平坦な地形の自治体などでは、学校と学校の中間地点の児童館などに新たな学童を設置してそれぞれの学校内の学童で待機児となった児童が通えるように誘導したりして分散的に受け入れるようにしています。
 稲城の場合は既存市街地やニュータウン地域、坂浜平尾地域といった地形的な制約がどうしてもあります。城山小や向陽台小の学童に空きがあるからといって、矢野口や大丸の地域からすんなりと通えるという訳ではありません。しかし、稲城の学童は誰がどの学童に申し込んでも良いとなっています。この受け入れ状況のギャップをうまく慣らしていくというのは、臨時的な対策としてはひとつあるのではないでしょうか。
 また、各学童の児童一人当たりの面積もかなりばらつきがあります。最大で一人当たり2.48平方メートルから、最小で1.65平方メートルということです。前回の質問で、市は児童1人あたり1.65平方メートル以上を面積の基準としていると答弁しています。人の配置の問題もありますので、面積に余裕があるからその分を単純に増やせるということではありませんが、一定の余地はあるのではないでしょうか。ただ、数字上で余地があるからといってぎりぎりまで詰め込めば良いと言っているわけではありません。それぞれの学童の部屋の構造も違いがあると思います。子どもたちの安全が確保できるような形で、必要なら新たな部屋の確保しながら定員を増やしていくということが求められるのではないでしょうか。
 そういった意味では、音楽室や家庭科室などの特別教室を臨時的に活用することも一つの方策です。稲城ではそういった取り組みはこれまでしてこなかったということですが、「法的には問題ない」という答弁もされました。当然、運用上の課題などあることは理解していますが、教育委員会や学校現場とも話し合ってもらいながら対策の一つとして検討してほしいと求めました。
 そして、最後にともて重要な答弁がされました。今後の対応について、従来の「放課後子ども教室の活用」という点は変わりありませんが、そこに追加して「来年度の定員増については課題解決に向けて検討をしている」ということです。前々回および前回の答弁から大きく前進をしています。
 保護者の皆さんも学童の定員を増やしてほしいと要望されています。私たち議員にも保護者の皆さんの要望書が届けられました。市の内外から1800を超える署名がされたということです。署名を提出された皆さんにお話しをお聞きしましたら、追加の分を合わせて1900を超える署名数となったとのことです。
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※届けられた要望書

 実際に署名活動を始めたのが11月の初めで、実質的に三週間程度の短い期間にもかかわらず多くの人たちが協力をしてくれたこと、自治会や保育園が協力をしてくれる地域もあったとのことです。前回の答弁から大きく前進をしたというのは、こういった市民の皆さんの声も大きかったのではないでしょうか。
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※要望書に添付されていた資料

 要望書を出された皆さんや何とかしてほしいと願っている保護者の皆さんの置かれている状況は切実ですので、ぜひ期待にこたえられるように市にはがんばってほしいと思います。この学童クラブの待機児がちゃんと解消されるようにこれからも市民の皆さんと力を合わせていきます。


3.感染症から子どもたちを守るための保育所等における感染拡大防止の取り組みについて
(1)緊急事態宣言下の保育所等のあり方について
①緊急事態宣言中の保育所等の開所閉所および児童の登園休園についての市としての考え方を聞きます。
→厚生労働省から出された令和3年4月23日付事務連絡では、保育所等については感染防止策を徹底しつつ原則開所となっており、市としてもそれに基づき対応を行いました。
→「登園自粛」」の要請については令和2年4月10日から5月6日までと、令和3年8月26日から9月30日までの2回行いました。保護者への周知については、保育園等の施設長から保護者へ文書等により周知を行い、市ホームページに掲載しました。登園を控えた場合の保育料の減免については、感染防止の理由から休所届を提出された場合には1か月単位で免除の取り扱いとしました。
②家族や児童本人が濃厚接触者およびその疑いがあるとなった際の登園休園についての市としての判断基準について聞きます。
→児童本人が濃厚接触者となった場合は、従来は保健所の判断としていましたが、今後は登園停止を要請していきます。児童の家族が濃厚接触者または児童本人が濃厚接触者疑いがある場合は、従来は保護者の判断としていましたが、今後は登園自粛を要請していきます。
→見直した内容については、私立保育園園長会において説明し、市から保育所等の施設長に文書で通知を行い、施設長から保護者に伝えてもらいます。市ホームページにおいても周知します。
③緊急事態宣言下において感染拡大を防ぐため、市内の各保育園と市が連携しながら対策を取っていくことが必要であると考えるが認識を聞きます。
→これまで私立保育園園長会等で情報共有し、連携を図り対応してきております。
<解説>
 新型コロナ感染症の第5波は収束をしましたが、第6波について警鐘が発せられています。諸外国では感染者が増加傾向にあり、新たな変異株も明らかになっています。子どもたちが集まる保育所等において、感染拡大を防ぐために保育園と市による連携強化を求める立場から質問しました。
 緊急事態宣言の最中、国は「保育園は原則開所」という方針を出していました。しかし、多くの市で「登園自粛」の要請が出されました。稲城市も登園自粛要請を出したということですが、他市では自治体が直接保護者に手紙を作って配ったのに対して稲城はホームページに掲載しただけで、保護者に対しては「保育園側」から連絡するように指示をしていました。保育料についても、他の自治体では自粛要請中に保育園を休んだらその期間だけ保育料等を日割りで減額するような対応をしたのに、稲城は「休所届を出して、1か月単位での保育料減額」というものでした。決して、柔軟な対応であったとは言い難いと感じます。
 濃厚接触や濃厚接触疑いの際の対応は、これまでは保健所や保護者の判断としていましたが、今後は市の基準として登園停止や休止を求めていくということです。これらのお知らせについては、市として文書を作って各保育園を通じて案内をするということです。これは大事なことだと思います。例えばさいたま市では、子どもや家族が感染や濃厚接触またその疑いとなった場合の詳細なフローチャートをつくり、それを市長名でホームページに掲載したり保護者に配布したりしています。市としての判断基準ですので、それがちゃんとわかるようにすることが必要ではないでしょうか。
 やはり、感染状況が拡大をしていく中では保育園側と市がしっかりと連携を取っていくことが重要ではないでしょうか。市内の保育園の皆さんにお話しを聞くと、市としてももう少し前に出てほしかった。濃厚接触疑いの時の判断なども、市としてもう少し早く統一基準を決めてほしかったという声があります。ぜひ、そういった声については、稲城市としてもしっかりと受け止めてほしいと述べました。

(2)クラスター発生時の対応について
①クラスターが発生した際の保育園関係者、児童、保護者への市としてのサポートやフォロー体制について聞きます。
→保健所の指示に従うことを基本に、保育園関係者と連携して対応していきます。
→市内で発生したクラスター疑い事例の際には、クラス休園と児童の登園停止、クラス休園等必要な情報を市ホームページで周知し、PCR検査の手配、登園停止期間中の保育料の減免などを行いました。
②クラスターが発生した際の情報の公表基準について聞きます。
→日時や発生場所など必要な情報を公表していくこととしています。
③クラスター終息後も安心して保育が実施できるように、保育園と市が連携しながら対策を取っていくことが必要であると考えるが認識を聞きます。
→これまで同様に市と保育園等が連携して対応していきます。
<解説>
 新型コロナ第5波の中で、稲城でも市内の保育園で子どもの感染が分かり当該保育園のクラスを一時休園をする状況となりました。結果的に複数人の感染はなくクラスターとはならなかったのですが、クラスター疑いという事例になりました。その際に、市としては登園停止の要請、検査の実施、保育料の減免やクラス休園についてホームページで周知をしたということです。
 このホームページでの周知について、市民から声が届いています。「休園をしたのは必要な対応だが、保育園名やクラス名までホームページに掲載する必要があったのだろうか」というものです。保育園名やクラス名まで明らかになれば、地域の中ではそこに通っている子どもや家庭までわかってしまうわけです。もう少し、この点については配慮をしてほしかったという声が出されています。市は「プライバシーには配慮をしている」と答えました、実際にはこういった声が届いています。今後の対応として、さらなる配慮を求めました。
 今回、初めての事態で保育園も市も苦労をしたとは思いますが、やはり他市などでは感染予防や登園休園について市が文書を作成して保護者に伝えるようにしています。児童福祉法で保育の実施義務は自治体の側にあるのですから、それが果たされるように市が積極的に責任を果たしていくことが必要ではないでしょうか。引き続き、安全で安心な保育事業が行われるために保育園と市による連携強化を求めていきます。

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稲城市議会12月議会一般質問報告1~介護保険制度~ [市議会]

12月1日に一般質問を行いました。今回も3回にわけてご報告します。
1回目の報告は「介護保険制度」についてです。

1.社会全体で高齢者の暮らしを支える介護保険制度の実現に向けて
(1)令和2年度東京都福祉保健基礎調査「高齢者の生活実態」について
①この調査の結果概要の「第4章-2-(2)介護の状況」の内容について聞きます。
→「介護を受けている」割合は73.7%520人、「介護をうけていない」割合は20.0%141人でした。介護を受けている人のうち、介護者が「子供」である割合が54.2%で最も高いという結果でした。
→平成27年度と令和2年度の調査との比較については、「対象者本人の介護をしている人」の回答割合が増加したのは「子供」及び「ホームヘルパーなどの介護職員」で、減少したのは「配偶者」です。「最も介護をしている時間が長い人」の回答割合が増加したのは「子供」で、減少したのは「配偶者」及び「ホームヘルパーなどの介護職員」です。
②同調査の結果概要の「第6章-2介護が必要になったときの高齢期の住まい」の内容について聞きます。
→上位の回答として「現在の住宅に住み続けたい」は44.5%、「介護保険で入居できる施設に入所したい」は19.1%、「わからない」は11.9%、「高齢者向け住宅に入居したい」は11.3%でした。
→「介護保険で入居できる施設に入所したい」と回答した人の世帯構成別では単身世帯では22.0%、配偶者と2人暮らしでは19.9%、二世代では17.4%、三世代では14.3%でした。また、「現在の住宅に住み続けたい」と回答した人の割合については、配偶者ありでは48.3%、配偶者なしでは38.3%です。
③同調査の結果概要の「第11-1高齢者に対する必要な施策や支援」の内容について聞きます。
→上位の回答として「年金や医療など国の社会保障制度」が54.2%、「ひとり暮らし高齢者に対する支援」が52.0%、「特別養護老人ホームなどの施設の充実」が49.3%でした。
→平成27年度と令和2年度の調査との比較については、回答割合が増加したのは「年金や医療など国の社会保障制度」及び「ひとり暮らし高齢者に対する支援」、減少したのは「特別養護老人ホームなどの施設の充実」及び「夜間の訪問介護や訪問看護などの、介護者が自宅を訪問する形態の在宅サービス」です。
④今回の調査結果は、今後の稲城市の介護保険事業にも反映をさせていくべきではないかと考えるが認識を聞きます。
→本調査は、東京都全域の傾向を知るものとして重要ではございますが、市の介護保険事業におきましては、市内高齢者を対象とした「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」結果等を踏まえ策定した、稲城市介護保険事業計画に基づき推進してまいります。
<解説>
 東京都が5年毎に行っている「高齢者の生活実態」調査の結果が明らかになりました。「介護の社会化」という介護保険制度の理念の実現のために、市としてもこれらの調査結果を検証、反映させていくことを求める立場から質問しました。
 今回の調査で最もクローズアップされているのが、介護を受けている人のうち介護者が「子供」である割合が54%で最も高いということです。夫や妻などの配偶者や、ヘルパーなどの介護職員ではなく、子供が介護をしているということです。
 5年前の調査との比較でも、介護者が子供である割合は前回の47.8%から54.2%と6ポイントの増です。逆に配偶者は38%から30%へと8ポイント減っています。最も介護している時間が長い人は、子供がプラス5ポイント、配偶者がマイナス10ポイント、介護職員はマイナス5ポイントです。前回調査では介護者は子供が一番高く、介護時間が長い人は配偶者でしたが、今回調査はどちらも子供が一番高い割合を示しました。
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 これまで国を挙げて「介護離職ゼロ」だと言われてきました。「親の介護で、子供が離職するようなことはあってはならない、そのための対策が必要」だと言われてきましが、実態はこういう状況です。
 もう一つ深刻なのは、最も介護をしている時間が長い人の割合で介護職員が5ポイントも減少しているということです。この間、介護報酬が改訂されるたびに訪問介護等でサービスにあたる時間がどんどん細切れにされてきています。生活援助や身体介護をもっと時間をかけて関わりたいのに、それがやりづらくなっているという介護現場からの声がずっと出されていますが、その実態がここに反映されているのではないでしょうか。
 住居の問題では、約半分の人が今の家にそのまま住みたいと思い、約2割の人が介護保険で入居できる施設に住みたいと回答されています。ただ世帯別や配偶者の有無別でみると、単身の人ほど今の家ではなく介護施設などの入居を望む傾向が高いということです。今後、この傾向はますます増えてくるのではないでしょうか。
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 政治や行政に求めるものとしては、「社会保障制度」「一人暮らし高齢者の支援」「特養ホームなどの施設の充実」が上位3つの回答となっています。やはり社会保障制度全般を何とかしてほしいという、その意識が表れているとみるべきではないでしょうか。
 今回の都の調査は東京都全域の傾向を知るものとしては十分な役割を持っているのではないでしょうか。これまでの一般質問で指摘をしてきましたが、介護保険制度の改定がされるたびに利用に制約がかかり、負担が増えていき、ますます使いづらくなっている現状があります。社会全体で介護を支えるという最初の介護保険制度の理念がだんだん遠くなり、家族介護に回帰をしているかのような気さえします。
 必要な人が必要なサービスを受けられる介護保険制度にしていくことがますます求められているのではないでしょうか。これからも、介護保険制度の改善を求めていきます。


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