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稲城市6月議会一般質問の報告③~都営アパートの耐震化~ [市議会]

3回目の報告は、都営アパートの耐震化についてです。

4.都営稲城第2アパートの耐震化整備について
(1)都営稲城第2アパートの耐震状況について
①当該施設の耐震状況について聞きます。
→平成23年度に東京都が実施した耐震診断工事において、1号棟から4号棟までの全ての棟において耐震補強工事が必要と診断されました。3号棟については、すでに耐震補強工事が行われています。
→耐震診断結果については、1号棟から3号棟まではIs値03.以上~0.6未満、4号棟がIs値0.3未満となっています。
→平成18年度の国土交通省の告示指針ではIs値0.3未満の建物の震度6以上の地震に対する安全性は「地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高い」となっています。
②東京都の「都営住宅耐震化整備プログラム」の内容について聞きます。
→平成32年度までに都営住宅の耐震化理を100%とする目標が定められています。その中には、都営稲城第2アパートも含まれています。

(2)都営稲城第2アパートの耐震工事について
①保育所が併設された都営アパートの耐震工事の一般的な対応方法を聞きます。
→保育所が併設されている都営アパートの耐震工事の対応については、併設されている保育園の保育に支障がないように、安全かつ適切な改修を実施することとなっています。
②当該施設の耐震工事に関する今後の計画状況について聞きます。
→今後の計画については「都営住宅耐震化整備プログラム」に従い、平成32年度までに実施されます。なお、4号棟については第6保育園を併設していることから、市としては慎重な対応と十分な協議が必要と考えています。
→4号棟の補強案については、平成24年に建築研究振興から東京都に対して改修イメージ、補強方法、評価等が提案をされています。
③当該施設の耐震工事に関する過去の計画状況について聞きます。
→過去の計画については、平成23年度までに耐震診断を実施して、その結果に基づいて平成32年度までに行うというものです。
→平成23年に東京都と稲城市が結んだ「都営住宅と稲城市施設との合築建物の耐震診断及び耐震改修に関する基本協定」に記されている耐震スケジュール予定については、耐震診断の結果、耐震改修が必要となった場合には平成24年度から平成26年度までの間に耐震改修を実施する予定となっています。
④保育園等の子どもたちが使用する施設の早急な耐震化について認識を聞きます。
→第6保育園が入っている4号棟のみならず、1・2号棟も耐震化がされていない状況です。市としては、今後も引き続き早期に耐震化がされるように東京都と協議していきます。
→平成26年度に東京都と市がやり取りした内容については、過去の保育園建て替えに際し、仮園舎の建設費用についてコスト面の課題があったことから、大丸都営跡地に新園建設の検討を開始し、東京都と協議を開始したことを記載しています。
⑤住民や子どもたちの命と安全を守るための自治体の役割について市長の認識を聞きます。
→住民や子どもたちの命と安全を守ること自体は、市の基本的な責務であると認識しています。今後とも、市内の建築物の耐震化が促進されるよう市として取り組んでいきます。
→早期の耐震化を図ることは必要ですが、そのためにはコスト面も含めて、様々な課題をクリアする必要があると認識しています。
→第6保育園を利用している児童の保護者には、現在の耐震状況と今後の耐震化について説明をしていきます。

<解説>
 今回、質問を準備するに当たって様々な資料を東京都から入手をしました。この資料によると都営稲城第2アパートの耐震化整備について、数年前に計画がされていながらコストを理由に先送りをされているというような事実が明らかになっています。住民や子どもたちの命と安全の確保こそ自治体の最優先の役割であることを求める立場から質問しました。
 都営第2アパートは、6年前に都が実施した耐震診断によって1号棟から4号棟まですべて耐震補強が必要だという結果がでています。都の資料によると耐震診断はX方向とY方向の2方向の耐震強度を図っています。1号棟はYは耐震性があるけど、Xは1階~3階が耐震性がない。2号棟も同じ内容で、3号棟はXの1階部分だけが耐震性補強が必要となっています。そして第6保育園がある4号棟は1階部分がXとYとも耐震性なしとなっていて、特にYについてはIs値0.21と他の建物と比べても一段と低くなっています。国土交通省が定めている基準では、Is値0.3未満の場合の地震に対する安全性は「震度6以上で地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は倒壊する危険性が高い」と書かれています。保育園のある4号棟は、それだけ危険性が高い建物だという事です。
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※4号棟の耐震結果表

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※Is値の目安

 それでは、こういった保育園が併設された都営住宅の耐震工事の方法はどういった形になるのでしょうか。東京都に問い合わせをすると、都営アパートにおける耐震工事については住民の人はそのまま住んでいる状況で工事をするが、保育園などは保育に支障も出るので仮園舎を建てて園児は一時仮園舎に移ってもらって工事をするという方法が多く取られているようです。近年では日野市の都営住宅の耐震改修にあたっては、仮園舎を建てて対応をしたとのことです。それでは、都営稲城第1アパートの4号棟ではどうなのかということです。
 今回、ジャパンアセスメントオフィスという設計事務所が平成24年3月に作成をした4号棟の耐震補強工事の設計案の資料を入手しました。これによると補強方法として鉄骨を新しく入れたり柱を補強したり、壁を置きかえたりする内容になっています。工事期間は3~4ヶ月程度、費用は3500万円で、工事期間中は仮園舎を別の場所に建てて保育を継続させていくことになるが、補強後は保育園として機能を損なうことなく利用することが可能であると書かれています。私は建築関係は素人ですが、その私の目から見てもこの補強案は妥当なものであり、これによって耐震補強をしていく事が望ましいのではと考えます。
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※4号棟の補強工事案

 さらに、「都営住宅と稲城市施設との合築建物の耐震診断及び耐震改修に関する基本協定」という文書があります。平成23年10月27日付で東京都の都市整備局長と稲城市の高橋市長の印が押されています。この中では、耐震診断や耐震改修に伴う基本設計、実施設計及び工事について費用の分担が決められています。その協定の第6条「耐震工事等の実施」に記されている耐震工事のスケジュール予定では、平成24年度から26年度にかけて耐震工事を行うとなっています。平成23年度の時点では、平成24年度から26年にかけて工事をする予定をしていて、そのための工事案もほとんど完成されていました。それでは、なぜ今もって耐震工事が実施をされていないのでしょうか?
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※耐震工事スケジュール

 平成28年10月7日に都営第1アパートへの保育園開設に向けて東京都と市が打ち合わせをした際に、市が作成をした資料があります。題名は「稲城市立第四保育園、第六保育園用地などに関する経緯」となっております。その中で、「平成26年 市長判断により第六保育園の耐震工事を行う場合の工事中仮園舎費用を鑑みて建設実施せず、大丸都営跡地に新園建設の検討を開始し、東京都都市整備局と協議開始。」と書かれています。ここから読み取れるのは、本来早急に実施されるべき耐震工事がコストを理由に先送りされているということではないでしょうか。
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※平成28年に作成された市の内部資料

 市の答弁は、「早期の耐震化よりもコストの方が大事なのでそれをしなかった」ということをほぼ認めているようにしか聞こえないものでした。それで本当にいいのでしょうか。この問題は本当に重大だと考えます。耐震診断がされて工事案が作られてすでに5年が経過しています。本来であれば、平成26年ごろ、3年も前に実施されるべき耐震工事がされず、今後平成32年を目指して都営跡地に新保育園を建てるとしてもあと3年はかかります。それまでの間、住民や保育園の子どもたちの安全や安心を市はどのようにして守っていくのでしょうか。第6保育園の建物は市の所有です。少なくとも、第6保育園を利用している児童の保護者に対しては早急に市の責任で現在の耐震状況を正しく伝え、市の考える耐震工事の今後の方針について理解と納得をしてもらう必要があるのではないでしょうか。また早急な耐震工事の実施とともに、市のとしての責任を果たすことを求めました。
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