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稲城市議会6月議会一般質問の報告②~文化財保護と教科書採択~ [市議会]

2回目の報告は、「3.歴史文化財の保護と活用について」と「4.教科書採択について」をご報告します。

3.歴史文化財の保護と活用について
(1)小中学校での学びについて
①小中学校で当市の歴史や文化についてどのように学んでいるのかを聞きます。
→学習指導要領社会科の小学校3年生と4年生で「自分たちの住んでいる地域についての学習」が位置付けられています。市では、主に教育委員会作成による副読本「わたしたちの稲城」を使用して、稲城市についての学習に取り組んでいます。
→具体意的には、100年くらい前の人々の暮らしから始まり、古い道具、古民家のつくり、地域芸能、地域の祭りなどについて学習します。梨づくりに関する体験学習や大丸用水を題材にしたフィールドワークなども行います。中学校においては、地域行事への参加を通して地域の文化を学んだり、職場体験を通して地域の産業について学んだりしています。
②街の歴史や文化について学ぶことの意義について認識を聞きます。
→子どもたちが自分たちの住んでいる地域や市について学ぶことは、地域社会の一員としての自覚をもつとともに、地域社会に対する誇りと愛情を高めるものと認識しております。
<解説>
 稲城には様々な文化財や貴重な歴史資料が残されています。これらの資料をしっかりと保護をして後世に残しながら、子どもたちがこれらの資料を使って学ぶことで街や地域に対する愛着をさらに深めていくことを求めて質問しました。
 市では主に小学生を対象にして学習と体験を行っています。体験しながら、知識を身に付けていくこと、これをバランスよく行っていく事は重要ではないでしょうか。例えば青年会議所が稲城カルタという物をつくられていますが、遊びながら地名や歴史を学ぶという点では小学校の教材としても活用できるのではないでしょうか。

(2)郷土資料室について
①当市の歴史や文化を学ぶ施設としての郷土資料室の意義について認識を聞きます。
→市民の郷土に関する教養、学術及び文化の発展に寄与することを目的として設置しております。
→現在、4つの展示室において歴史、民俗、標本資料など各種の文化財資料を展示しております。貴重な資料を後世に伝え、郷土稲城の歴史や文化について理解が深まるものと考えております。
②郷土資料室の年間来館者数について聞きます。
→平成27年度は小学校等の団体見学が約300人、平尾まつりでの公開時が250人、その他のカウントを合わせると年間約1000人の来場者数と推計しております。
→来館者を増やすために、夏休み前に小学校でPR用チラシを全自動に配布しております。また学校では転任・新任の教員対象研修で、郷土資料室見学を実施しております。
③小中学校の学びの一環としての郷土資料室の活用について認識を聞きます。
→郷土資料室に収蔵されている文化財は重要な学習教材であり、小中学校が授業に置いて見学・調査することは学習の充実が期待されるものです。
→平成27年度は長嶺小学校、第7小学校、南山小学校の3年生が社会科授業の一環として来館し、見学しました。
→現在、市立小学校のすべてが、社会科授業に置いて市役所や給食調理場、消防車、クリーンセンター、地域の神社などの市内施設の見学を行っております。今後も引き続き、各学校で郷土資料室の一層の活用推進をするように指導してまいります。
<解説>
 平尾地域のふれんど平尾内の郷土資料室は、私も平尾に行った時に何度か見学をいたしました。決しては広くはないけれど、中身がつまっていて見応えはあります。実際に見学された方の印象や感想もとても良いのですが、年間約千人ということで内容からしてももっと多くの人に見てほしいという気持ちはあります。
 そこで、小中学校での積極的な見学の実施について求めました。実際に見学したのは3校でした。せっかく立派な資料をそろえているわけですし、やはりすべての小学校でまた中学校でも積極的に郷土資料室を活用するようにすべきと考え、積極的な検討を求めました。

(3)多摩火工廠について
①市内外の人が多摩火工廠を見学するための方法について聞きます。
→市民が見学する方法は、在日米軍との共同施設利用の一環として実施している、春と秋の散策事業に参加する方法があります。稲城市民を対象に、春・秋ともに2日間、1日あたり35人までの定員で行っております。
→この事業以外にも見学は可能と聞いており、直接、在日米軍横田基地に申し込みを受け付けていると聞いております。
②多摩火工廠の遺構保存のために更なる大規模調査が必要であると考えますが、認識を聞きます。
→昭和59年度から平成8年にかけて市史編さん事業の中で調査を行い、平成10年に現地調査と写真撮影を実施しております。すでに必要な調査を実施しておりますので、現時点では大規模な調査は考えておりません。
→本施設は米軍施設であり、市が直接関わることができないことから、保存や維持のための米軍横田基地との話し合いは行っておりません。
③小中学校等で多摩火工廠について学ぶことの意義について認識を聞きます。
→地域の歴史や文化の学習に際し、地域教材を活用することは効果のあることと考えます。しかし、多摩火工廠については児童にとって授業で扱われるべき範囲を超えた内容であると判断しており、小中学校の授業で取り上げることは考えておりません。
→社会科の歴史の学習会において、各地への空襲、沖縄戦、広島・長崎の原爆投下など、戦争が人類全体に参加を及ばしたことを調べて学習として活用することも指導方法のひとつであると考えております。しかし、学習指導要領には「代表的な文化遺産を中心として学習すること」や「基礎的・基本的な歴史的事象を重点的に選んで指導内容を構成すること」が明記されており、多摩火工廠については授業で扱われるべき範囲を超えた内容であると判断しております。
④小中学校のカリキュラムとして多摩火工廠の見学を行う事について認識を聞きます。
→地域の歴史部や文化の学習に際し、地域の郷土資料館などの施設や文化財を見学・調査することは、学習を充実させる効果があると認識しております。しかしながら、多摩火工廠については様々な課題もあり、見学を授業において行う事とは考えておりません。また、教員による研修として教育委員会主催で行うことについても出張としての研修の位置づけについてはできないものと考えております。
<解説>
 昨年の12月議会でも多摩火工廠は取り上げて、その時には稲城市の歴史や街の形成において同施設は重要な役割をもっている文化財であると確認をしました。
 多摩火工廠の公式な調査を平成10年に行ってからもうすぐ20年経過しようとしている中で、私は改めて大規模な調査が必要であると考えています。また、この火工廠の保存や維持について、市が主体的に関与をしていくという立場に立つべきではないでしょうか。今年の3月に実施された文化財保護連絡会と稲城里山の会による共同調査に、私も一緒に参加をしました。その時に自分で撮影した写真をパネルにして、現在の状況も示しながら質問しました。実際には、建物や施設跡がどんどん劣化をしてきています。コンクリートの倉庫は頑丈だからそのまま残っているけど扉や窓の類は風雨で腐食をしています。木造倉庫は使っている物は、使うことで逆に保たれているけど、いつどうなるか分からない。実際に東日本大震災の時に木造倉庫を2つほど取り壊したそうです。
 こういった現状も含めて、まずは市がちゃんと状況をつかむことが必要ではないでしょうか。これまでは、先方の好意で呼ばれたときに見に行くということでしたけど、まずは組織と組織の関係制をちゃんとつくるべきです。火工廠の保存について話し合う公式の場を米軍横田基地との間に設けるべきだと求めました。この点については、稲城市単独で行うのは困難な状況が確かにあります。今後は東京都や国に対しても、様々な形で求めていきたいと思います。
 また、小中学校の授業で学ぶことについても、市の対応を求めました。学習指導要領は「歴史的分野の3.内容の取扱い」の中で「基礎的・基本的な事象を重点的に選んで」としています。けれど、その上の「1.目標(4)」に「身近な地域の歴史や具体的な事象の学習を通して歴史に対する興味・関心を高め」る、としています。また「2.内容(1)歴史のとらえ方」で「身近な地域の歴史を調べる活動を通して、地域への関心を高め」る、とも書いています。まさしく多摩火工廠は稲城の街の成り立ちや歴史について学びながら、当時の戦争の実相や実情を知る事のできる一級の資料ではないでしょうか。そういった立場にたって、教育委員会の側が積極的に学校に働きかける立場にたつべきではないでしょうか。
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※質問で使用したパネル

4.小中学校における教科書採択について
(1)教科書会社と教員間の不適切な事案について当市における調査結果を聞きます。
→平成27年度に発覚しました「教科書発行者との不適切な接触及び教科書採択に関わる不適切な対応等」の事案につきまして、平成27年度時点で市内に在籍していた教員5件の事案について調査を行い、その結果を東京都教育委員会に提出いたしました。この件について、懲戒処分となった教員はおりません。
→5件の2件は、「勤務校を訪問した教科書発行者の社員から教科指導に関する資料を提示され、その中に申請中の教科者があったかもしれないが教科書を見ているという認識はなかった」というものです。また3件は、「学校を訪問した教科書発行者の社員から依頼を受けて指定された場所に行き、結果として申請中の教科書を閲覧して謝礼金を受け取ったのが2件、謝礼を渡されそうになったが受け取らなかったのが1件」というものです。
→今回の事案について、特定の教科への偏りや、教科の特性に基づく偏りは認められておりません。
(2)今後、こういった不適切な事案が起きないようにするための再発防止策について聞きます。
→東京都教育委員会から公表された本事案に係る処分状況を各学校に情報提供するとともに、定例校長会において服務規律の徹底について指導を行いました。今後も引き続き、次期教科書採択に向け採択の公正確保を図るため、全教職員に対する指導を行ってまいります。
(3)教科書採択においては教員による調査研究は重要であると考えるが認識を聞きます。
→教科書採択は、教育実践を重ねている校長及び教員から構成する審議会を設置し、調査・研究を諮問し、その答申を踏まえ、教育委員会の権限と責任により採択を行っておりますので、教員等の 調査・研究は意義あるものと考えております。
→教育公務員は、その職責を遂行するため、絶えず研究と修養に努めるべきであり、今後も、教員への研修機会を保障してまいります。その上で、教育公務員としての職の信用を傷つけ、職全体の不明となる行為は許されないことでありますことから、今回の事案発生を機に、改めて服務規律についての徹底を図ってまいります。
<解説>
 この間、小中学校における教科書採択に関連して教科書会社と教員の間で不適切な金銭の授受があった事が判明をしております。こういった不適切な行為が二度と起きないことと同時に、教科書採択に於いて教員の専門性を活かしていくことを求めて質問しました。
 日本共産党は教科書の採択については、実際に教科書を使用し、子どもたちとも最も接している教員の選択を一番大事にすべきであると言ってきました。しかしその当事者である教員の中で、公平性や客観性が疑われかねないような事案が起きてしまったというのは、やはり残念です。今回の問題を教訓にして、学校の中で再発防止をしっかりしていただきたいと思います。そして、その上で教員自身による自由な教育研究や自らの学びと、こういった不適切な事案については区別して対応すべきであると考え認識を聞きました。
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