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稲城市議会6月議会一般質問報告1~介護保険事業計画について~

平成30年(2018年)第2回稲城市議会定例会の一般質問を6月14日に行いました。
今回は「介護保険」「雨水排水対策」「大丸都営跡地の福祉利用」「平尾団地建て替え」「オスプレイの横田基地配備」の5点について質問しましたので、3回に分けて報告をします。
今回は、介護保険制度について報告します。

1.ひとりひとりの高齢者が大切にされる介護保険制度に向けて
(1)認知症対策について
①第7期介護保険事業計画における認知症対策の内容について聞きます。
→認知症初期集中支援チームの推進、認知症コーディネーターの推進、若年性認知症の施策、認知症サポーターの要請、認知症の人とその家族への支援、認知症ケアパスの活用を軸に推進しています。
→「認知症の治療を早期に行う」ことと、「認知症になっても暮らしていけるまちづくり」を広げることは、どちらも認知症施策として推進しています。
→市が公費により認知症高齢者の加害事故に対する補償や給付を行うことについては、現時点では導入を考えていません。
②認知症となったご本人が様々な形で情報発信することが、認知症の理解を広げることにもつながると考えるが認識を聞きます。
→認知症の当事者が、本人の意思によって、認知症に関する体験などを情報発信することについては、認知症の理解を広げるための1つの手段であると認識していますが、具体的な施策や方法については現在検討していません。
③「徘徊」という呼び方を使わない自治体が増えてきているが、稲城市においても検討をすべきと考えるが認識を聞きます。
→「徘徊」という呼び方を使わずに、別の言葉に置きかえることについては現在検討していません。
→認知症の方や家族にとってやさしい街をつくっていくことについては、すでに取り組んでいます。
<解説>
 第7期介護保険事業計画がスタートしました。ひとりひとりの高齢者が大切にされ、必要な時に必要なサービスが受けられる介護保険制度を求めて質問しました。
 認知症対策については、すでに市も様々な内容で取り組んでおり、私もそれぞれ大事な内容であると思っています。それをふまえて、今回は少し視点を変えて質問しました。
今、高齢者の皆さんとお話しをすると、認知症になることはまさしく人生の終わりであり、なんとか認知症にだけはならないようにしたいと話される方が本当に多いです。私自身も医療機関で働いていましたので、認知症の早期の診断や適切な治療、援助などが必要だというのは十分理解をしています。しかし、現在の医療技術では認知症の症状を緩和したり遅らせたりすることはできても、治すことはできないのが現状です。いかに認知症にならないようにどれだけ予防活動をしても、一定の割合で誰でもが認知症の症状を発症するのは避けざるを得ないのではないでしょうか。「認知症にならない」「認知所の治療を早期に行う」ことも大事ですが、それ以上に「認知症になっても暮らしていけるまちづくり」というものを広げていく必要があるのではないでしょうか。
 この間、社会的に問題となっているのが認知症となった高齢者の方が事故にあったり、自らが加害者となって事故を起こすという事件がおきていることです。有名なのは、認知症の方が電車にはねられてしまい、それに伴う列車遅延等の損害賠償が遺族に求められた裁判などがあります。結果としてはこの裁判では遺族に対する賠償責任は無いという判決が出されました。相手が会社などではなく個人同士の事故で被害者がなんらかの損害を負ってしまった時に、加害者が認知症なので仕方ないですねとはなかなかなりません。かといって、認知症の人はいつ事故にあったり、事故を起こしたりするかもしれないから家に閉じ込めておけばいいということになれば、まさしく「認知症になっても暮らしていけるまちづくり」とは逆行していくのではないでしょうか。
 例えば、神奈川県大和市では認知症の方は市が保険料を全額負担して個人賠償責任保険と傷害保険に加入することができるという全国初の独自支援を開始しています。愛知県大府市では個人賠償責任保険加入を支援する「認知症に対する不安のないまちづくり推進条例」が4月から施行されていますし、神戸市も「認知症の人にやさしいまちづくり条例」の項目として認知症の人による事故の加害者や被害者となった市民を救済する独自の給付金制度の開始を議論しています。神戸市の有識者会議では「認知症事故の加害者だけでなく、被害者となる市民の救済にも重きをおく」ことを議論していると報じられています。
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※2018年3月25日付朝日新聞

 稲城市の場合は南武線の高架化に伴い市内の踏切が無くなって、列車事故などはあまり想定されませんが幹線道路での自動車や自転車などによる加害事故や被害事故は十分考えられます。たとえ認知症になっとしても、ご本人もご家族も安心して暮らしていける施策について、こういった先進的な取り組みを学んでいくことは重要なことではないでしょうか。
 もう一つ、注目をされているのは認知症になった当事者の方が講演会で話しをしたり、自分の気持ちや体験を文章にして発表するなど様々な形で情報発信をしていることです。例えば、医療現場で認知症の早期発見の手立てとして最も活用されている長谷川式認知症スケールを考案した認知症専門の医師の長谷川和夫さんは今年の3月16日の朝日新聞でインタビューでご自身が認知症となっていることを公表して、思いを語られています。「今日が何月何日なのか、時間がどれくらい経過したかがはっきりしないけれど、不便だと感じることはあまりない」「本人が発信することで、『隠すことはない』『年を取ったら誰でもなるんだな』と皆が考えるようになれば、社会の認識は変わる」と述べられています。こういった、当事者の方の様々な思いを発信していくことはやはり重要ではないでしょうか。大勢の前に立って話はできなくても、聞き取りにすることで話しを聞く事もできるのではないでしょうか。こういった取り組みについての検討を求めました。
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※2018年3月16日付朝日新聞

「徘徊」を使わないという事は、どういう事なのか。認知症になったご本人が政策提言などに取り組む「日本認知症本人ワーキンググループ」が2016年に公表した「本人からの提案」の中で、「私たちは、自分なりの理由や目的があって外に出かける」のであって、「徘徊」という表現は適切ではないと訴えています。代表の方は「徘徊という言葉で行動を表現する限り、認知症の人は困った人たちという深層心理から抜け出せず、本人の視点や尊厳を大切にする社会にたどり着けない」と述べられています。新聞記事では厚労省の認知症施策推進室の担当者は「徘徊と言われている認知症の人の行動については、無目的に歩いているわけではないと理解している。当事者の意見をふまえ、新たな文書や行政説明などでは使わないようにしている」と説明しています。
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※2018年3月25日付朝日新聞

 認知症を取り巻く課題を考えていくときに、もっと本人の人権や主権といったものが大事にされるような状況を作っていくことが必要なのではないでしょうか。先の長谷川医師のインタビューでも「特別な病気になった何にも分からない人、だからなんとかしてあげないとかわいそうだ。それはだめ」「何も話さなくなるかもしれない。ご飯を食べなかったり、暴れたりするかもしれない。その時も大丈夫よと言って、その人が好きなものを尊重する」「得意な事をいかして、その人に役割を持たせることも大事」と述べられています。こういった視点を取り入れていくことも、認知症の本人と家族にとってやさしいまちづくりになるのではないでしょうか。
 認知症になったとしても、周囲のちょっとした支えで普通に暮らしていけます。家族やましてや本人が肩身の狭い思いをして暮らしていくことがないような、そんなまちづくりを広げてほしいと求めました。今回の質問は、これまで行ってきた介護保険制度の運用や在り様といったものとは少し違って、認知症についてどういった視点で捉えていくのかということについて質問しました。市とのやり取りは決してかみ合ってはいなかったかもしれませんが、私はこういった視点を取り入れてもらうことも重要ではないかと考えます。第7期計画には載っていない中身ですが、ぜひ様々な形でいかしてほしいと求めました。

(2)「介護予防・生活支援サービス事業」について
①2018年4月現在で同事業のサービスを提供している事業者についてサービス種類別の数を聞きます。
→4月請求分における事業者は、訪問型の給付相当サービスは13事業者、訪問型サービスAは3事業所です。通所型の給付相当サービスは20事業所、通所型サービスAおよびCは11事業者です。
→4月時点で事業している事業者は、訪問型サービスAは12事業者、通所型サービスAおよびCは31事業者です。
→訪問型サービスの事業者数が減少していることについては、事業者が市に対して指定申請を行わなかったことによるものです。理由については、事業者からは法人の方針と聞いています。
②同事業において市民が市外の事業者を利用している状況について聞きます。
→市外の事業者は、訪問型の給付相当サービスは4事業者、通所型の給付相当サービスは5事業者です。
③4月からの制度変更によりサービスの縮小など、利用者に対して不利益な事が起きていないかどうかを聞きます。
→不利益を受けたということは利用者からは聞いておりません。
→市外事業者のサービスは内容変更については、当該事業者の人員体制の都合により送迎の提供を廃止するものであり、市の総合事業の変更によるものではないと認識しています。
→サービス内容等の変更がある場合については、事業者が利用者やその家族に対して丁寧な説明をした上で、利用者の選択により契約においてサービス提供がされる仕組みであり、他事業者へのサービスの紹介や引き継ぎを利用者に納得いただいたうえで行うものであることから、不利益はないものと認識しています。
→引き続き、利用者が適切なサービスが受けられるよう、介護予防・生活支援サービス事業を推進していきます。
<解説>
 第6期計画の中では要支援1・2の人のサービスは給付相当サービスとサービスAやCに分かれていました。第7期計画にする中で給付相当サービスを無くし、サービスAやCに一本化することになり、事業者にとっては給付相当サービスで得られていた単価がサービスAやCになることで目減りをすることになります。サービスの中身はほぼ同じなのに、実質的には収入が下がることになります。
 通所型では第6期では給付相当とサービスACを合わせた事業者は31業者で、第7期開始時点でも31のままです。しかし、訪問型については第6期計画では給付相当とサービスAを合わせて16業者だったのが、第7期開始時点で12業者と、数字だけみれば4業者がサービスから撤退をしていることになっています。
 そういった中で、府中市にあるデイサービスの事業者から市民の方にある手紙が送られてきました。「稲城市保険者の要支援(総合事業)のご利用者様のご案内 平成30年4月より総合事業の変更にともない稲城市総合事業の受け入れを一部行ってまいりましたが、平成30年7月末日を持ちまして、大変申し訳ございませんが利用終了とさせて頂く旨となりました。云々」となっています。この文面の通りですと、制度変更にともなって利用終了となっています。このことについて、市は状況を把握しているか聞きました。その答えが、上記のような中身です。
 2点指摘したのが、まずご本人は納得されていないということです。この府中の事業所のサービスは気に入っていて、できればここに通いたいのに通えない。しかたなく別の所に行くことを検討しているとのことです。利用者の選択とか契約とか言われていますが、経済的に裕福でいくらでも選択肢がある人ならともかく、立場の弱い年金暮らしの高齢者は限られた選択肢しかないことを市は分かっているはずなのに、こういった答弁がされるわけです。
 もう一点は、答弁では「人員体制の都合により送迎の提供を廃止する」ことが理由だということですが、送られてきた手紙には「人員体制」なんて一言も書かれていません。書かれているのは「総合事業の変更にともない利用を終了する」だけです。個別にはいろいろと説明されているようですが、実際と違うような文書は出すべきではありません。利用者に対しては丁寧に説明するというのであれば、こういった不適切な説明がされないように指導監督していくことを求めました。
 この間、市民の方からは別の事業者で同じような話しが寄せられています。これからも必要な人が必要な時に必要なサービスを受けられる制度にしていくために、この問題について取り上げていきます。

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