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稲城市9月議会一般質問の報告①~第6期と第7期介護保険計画~ [市議会]

9月6日に9月議会の一般質問を行いましたので、3回に分けて報告をします。
今回は「第6期介護保険計画」と「第7期介護保険計画」について報告します。

1.第6期介護保険事業計画について
(1)介護保険料の滞納状況について
①介護保険料の滞納期間別の給付制限の内容について聞きます。
→介護保険料を滞納している1号被保険者は要介護認定時において給付制限が行われます。滞納期間が1年以上の場合は利用者が費用の全額をいったん自己負担する「支払いの方法の変更が行われます。1年半以上の場合は「保険給付の支払いの一時差止」が行われます。2年以上を経過している場合は利用者負担が3割に引き上げられる「保険給付の減額」が行われます。
→滞納分を分納して納めている場合については、その分納をしている部分については給付制限を行いません。
②直近の介護保険料滞納者の給付制限別の数について聞きます。
→平成28年度は利用者負担が3割に引き上げとなった利用者が4人です。4人のうち、2人が現在も保険給付の減額を受けています。
→平成29年6月現在で、利用者負担が3割に引き上げとなっている利用者は3人です。
③介護保険料の減額制度について聞きます。
→「本人の属する世帯の生計を主として維持する者の収入が著しく減少した場合」、「特に生計が困難であって保険料を納付しがたいと認めるとき」などに保険料を減額することができます。
→平成24年度から平成28年度に保険料の減額になった1号被保険者は46人です。
→納付相談の中で保険料減額の対象に該当しそうな場合には個別の事情に応じて案内をしています。
④介護保険料の免除制度について聞きます。
→「本人の属する世帯の生計を主として維持する者の収入が生活保護基準以下に減少した場合」などに保険料を免除することができます。
→平成24年度以降に介護保険料の免除となったのは2人です。

<解説>
 第6期介護保険事業計画も残り期間は約半年となりました。第6期計画が市民や利用者にどのような影響を与えたのかを検証し、次期計画に活かしていくことを求める立場から質問しました。
第7期計画では、保険料についても見直しがされます。保険料が上がる可能性もありますが、現状の保険料でも支払うことが困難な人がいます。そういった人たちにどのように対応していくのかが問われているのではないでしょうか。
 介護保険料を滞納すると、その期間に応じて給付制限、いわゆるペナルティーがかされることになります。昨年は4人の利用者が2年以上の滞納となっていました。そのうち、2人の利用者が引き続き、2年以上の滞納となっており、新たに3人が2年以上の滞納になっているということです。
 保険料の減額については5年間で46人、平均すると1年で9人程度です。年間の1号被保険者が15000人から16000人なので、減額を受けているのは対象者の0.05%にしかなっていません。免除については、5年間でたった2人ということです。ここから見えてくるのは減免制度があまり機能していないということです。市としての対応の必要ですが、なによりも国の方で必要なお金をつけていく、そもそも保険料をもっと低く抑えていく仕組みが求められます。第7期計画の中で保険料について検討されますが、こういった滞納者への対応についても検討していくことが必要ではないでしょうか。

(2)第6期計画内(平成27年度・28年度)のサービス実施状況について
①施設サービスの計画値と実績値について聞きます。
→平成27年度のサービス見込量は4,560人で、実績値は4,030人です。平成28年度の見込量は4,860人で、実績値は4,516人です。
→見込量と実績値の差は、介護老人保健施設の利用が少なかったことによるものです。
②居住系サービスの計画値と実績値について聞きます。
→平成27年度のサービス見込量は2,328人で、実績値は2,108人です。平成28年度の見込量は2,724人で、実績値は2,189人です。
→見込量と実績値の差は、「特定施設入居者介護」の利用が少なかったことによるものです。
③訪問看護サービスの計画値と実績値について聞きます。
→平成27年度のサービス見込量は2,592人で、実績値は2,529人です。平成28年度の見込量は2,808人で、実績値は2,855人です。
④訪問介護サービスの計画値と実績値について聞きます。
→平成27年度のサービス見込量は5,880人で、実績値は5,272人です。平成28年度の見込量は5,376人で、実績値は4,119人です。
→見込量と実績値の差は、総合事業への移行が進んだことによるものです。訪問介護の実績は増加していませんが、総合事業の訪問看護の実績は増加しています。また、地域密着型サービス等による訪問介護に代わる支援も行われており、訪問介護は計画の範囲内で推移しています。

<解説>
 3年計画のうち2年分は終わりましたので、計画されたサービス量と実際の値について、どのように捉えていくのかを質問しました。
 施設系については、特養ホームではなく老健の方が計画より減っています。また居住系は、特定施設入居者生活介護これは主にサービス付き高齢者住宅になりますが、このサ高住が計画より増えていない実態があります。つまり、施設系は特別養護老人ホームは計画通り入居がされているけれど、老健やサ高住などの特養と在宅の中間部分が伸びていない実態があります。
 訪問看護は計画通りに利用されていますが、訪問介護が計画と実際の数の差が一番大きくなっています。計画では28年度は5300人の利用見込みのはずなのに、実際には4100人程度しか使われていません。
 訪問介護については、要支援の人が介護事業から総合事業に移行したから、介護サービスの分は減ったという事です。しかし、訪問介護サービスについては、第6期計画において「訪問介護」と「介護予防訪問介護」で分けて説明されており、もともとの計画でも総合事業への移行を織り込んだ上で計画を作っています。この大きな差は総合事業への移行だけで説明はつかず、訪問介護サービスそのものの数が伸びていないのではないかと考えます。市は「訪問介護についても計画通り」との答弁ですが、第7期計画の作成に向けて正確な現状把握が求められるのではないでしょうか。

(3)施設サービスについて
①現在の施設サービスの施設別の定員について聞きます。
→特別養護老人ホームは334人、介護老人保健施設は192人です。
②要支援・要介護者1人あたりの定員について聞きます。
→市の要支援・要介護1人あたりの施設サービスの定員は0.22人です。
→近隣市では多摩市は0.18人、府中市は0.11人、調布市は0.10人で近隣自治体と比較すると市内の施設サービス定員数は多いものと認識しています。
③直近の施設入所者数について聞きます。
→市の介護保険被保険者の平成29年7月現在の施設入所者数は381人です。
→市内の施設に入所している市の介護保険被保険者は251人です。
④「特別養護老人ホームへの入所申込等に関する調査結果(稲城市)」の調査結果について聞きます。
→平成28年度の調査では入所申込数は178人で、前回の平成25年度調査では202人でした。減少の理由は、特別養護老人ホーム以外の地域密着型サービスやサービス付き高齢者向け住宅等の利用などによります。
→申込者の中で「在宅・要介護3以上」の人は、平成28年度調査では57人、平成25年度調査では65人でした。その中で「優先度高」の人は、平成28年度調査では32人、平成25年度調査では20人でした。「優先度高」の増加の理由は、必要性の高い人が前回に比べて申し込んでいることによります。
→市内の入所施設の定員数は、近隣自治体と比較しても入所施設は整備されていると認識しています。

<解説>
 市内の入所施設の定員は、特養ホームが334人、老健が192人です。市は1人あたり定員数の近隣自治体との比較をふまえて、稲城は施設数が充足をしていると評価をしているわけです。
 しかし、稲城市民で何らかの入所施設に入所しているのは381人ですが、実際に市内で入所している人は251人で、それ以外の130人は市外の施設に入所しています。市内の特養と老健の定員のうち、市民は定員の半分しか入っていなくて、それ以外は市外の人が入所をしているという状況です。
 施設への申込状況調査の結果でも、要介護3以下の入所者は減っていてその人たちはサービス付き高齢者住宅などを利用しているけれど、要介護3以上の人の利用希望は引き続き多くて入居待機者が60人程度、その中でも優先度の高い人が32人待機となっています。近隣自治体と比較しても一定の施設数や定員数は整備されていますが、その定員の半分は市外の人が占めていて、単純に近隣市と比較したから施設は充足をしていると判断するのは早計ではないでしょうか。引き続き一定の施設整備、特に大丸や長沼や矢野口、押立などの既成市街地に拠点施設が必要であると求めました。


2.第7期介護保険事業計画について
(1)平成29年7月3日厚生労働省老健局「全国介護保険担当課長会議」資料について
①「第7期介護保険事業(支援)計画に関する基本指針」の位置づけについて聞きます。
→「基本指針は計画作成上のガイドラインの役割を果たしている」とされています。また「地域の実情に応じた介護サービスを提供する体制の確保や実勢が計画的に図られるようにすることを目的とする」とされており、第7期計画についても地域の実情に応じた事業計画を策定していくものと考えております。
②「高齢者の自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化の推進」の主な内容について聞きます。
→「市町村及び都道府県が、地域課題を分析し、地域実情に則して、高齢者の自立支援や重度化防止の取組に関する目標を計画に記載するとともに、目標に対する実績評価及び評価結果の公表を行うこととされた」となっています。
→これは、あくまでも「高齢者の自立支援や重度化防止の取組に関する目標」であり、要介護度の人数や割合を目標とするものではないと市では現時点で認識しています。
③「『我が事・丸ごと』、地域共生社会の推進」の主な内容について聞きます。
→「地域課題の解決力の強化」「地域丸ごとのつながりの強化」「地域を基盤とする包括的支援の強化」「専門人材の機能強化・最大活用」の4つの柱をあげています。
→新たに位置付けられた「共生型サービス」の目的は高齢者と障害者・障害児が同一の事業所でサービスを受けやすくするためであり、内容はホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイ等のサービスが想定されています。

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※第7期介護保険計画の国の基本指針が掲載されている厚労省のホームページ

<解説>
 第7期計画について介護保険運営協議会で議論が進められています。基本的には運協での様々な議論をしてほしいと思いますが、同時に国からも基本的な指針が示されています。この国の指針は介護サービスの縮小そのものでないかと危惧をしています。この内容について、市の認識について質問しました。
 国の示した基本指針に対する認識では、これはガイドラインであり、地域の実情に合わせて活用するもので、ここに書かれたものをすべてそのまま実行するものではないということです。
 また、新たに示された方針の中で重要なのが「高齢者の自立支援や重度化防止の取り組みに関する目標」を作るという事です。国の資料の中には埼玉県和光市の例として、「介護予防をしたら、要介護の人がこれだけ減少しました」というグラフが載せられています。いま、介護予防の先進と言われている自治体の取り組みについて様々な検証や批判的な意見が寄せられています。三重県桑野市、大阪府大東市、埼玉県和光市などでは、「要介護の人を減らす」「要介護の人を要支援にする」「要介護度が高い人を低くする」「介護保険制度から卒業する」といったことを目指して相当強引なやり方が行われているのではないかと、実際に自治体の中の介護の現場や市民の中から声が出されてきています。
 その点をふまえて、稲城市として介護度を低くすることを目的化したり、要介護度のそれぞれの数や割合に上限設定をしたり、介護度を軽度にすることで報酬に加算をしたりするようなことは行うべきでないと考え市の認識を質しましたが、市としては現時点ではそういった事はしないということです。この点については、どのような計画になるのかをこれからも注視をしていく必要があります。
 もう一点、最近になって国や厚労省が急に使い始めた「我が事・丸ごと」という言葉があります。これだけ聞いていても何の事だかまったく分かりませんが、厚労省は流行らせようと思ってあちこちの文書にこの言葉を入れ込んでいます。この「我が事・丸ごと」を説明する資料の中で、高齢者向けサービスと障害者向けサービスの中間に位置付けられている「共生型サービス」というものがあります。これの中身は、高齢者と障がい者・障がい児を一緒の事業所でサービスを受けさせようという内容ですが、これに対して双方の現場から批判や懸念の声が上がっています。とくに自閉症などの発達障害や行動障害、精神障害などの障害に対して介護の現場で対応するはまず無理だという声が出されています。
 保育、介護、障害などの様々な福祉サービスをワンストップで提供するという試みは大事だと思いますが、結果としてみんな一緒くたにして福祉サービスを安く上げようという事であるならば大きな間違いです。今後、介護保険計画やその他の社会保障計画の中でこの「我が事・丸ごと」をキーワードにしていこうという動きがあるようですので、これに対して市がどのように対応をしていくのかということはこれからも注視をしていきたいと思います。


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