SSブログ

稲城市6月議会一般質問の報告①~介護保険と就学援助~ [市議会]

6月15日に、稲城市議会平成29年度第2回定例会(6月議会)の一般質問を行いました。
4回に分けて、私の質問とそれに対する市の答弁を報告いたします。
第1回目は「介護保険」と「就学援助」について報告します。

1.第6期介護保険事業計画について
(1)サービス付き高齢者向け住宅について
①サービス付き高齢者向け住宅の事業内容について聞きます。
→高齢者の居住の安定を確保することを目的として、バリアフリー構造等を有し、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供します。主なサービスは、安否確認および生活相談の提供です。
→入居の主な条件は、60歳以上の者または、要介護・要支援認定を受けている者とされています。
→地域包括ケアシステムの中では、住まいの位置付けがされています。
②市内の施設数を聞きます。
→市内には3施設あり、それぞれの戸数は56戸、37戸、65戸です。
③市内の施設での直近の施設内事故の発生状況について聞きます。
→任意で情報提供を受けたもので、平成28年度中に起きた施設内事故は(2施設で)18件です。
→事故内容の内訳は、転倒等による骨折またはひびが14件、徘徊や感染症やその他が4件です。
→事故の再発防止については本人、家族、運営業者等により対応されます。
④市内の施設での入居者の要介護状態について把握状況を聞きます。
→平成29年5月1日現在で、(2施設)の入居者82人のうち、要介護者54人、要支援者15人、自立の入居者は13人と聞いています。
→要介護者82人のうち、要介護3は7人、要介護4は4人、要介護5は6人と聞いています。
→人員体制については、ケアの専門家が少なくとも日中に住宅の敷地または近接する建物に常駐するものとされています。

<解説>
 サービス付き高齢者向け住宅は2011年の法改正によって高齢者向けの入居施設として作られました。かつては高齢者専用賃貸住宅、いわゆる高専賃が主流でしたが、2011年に廃止をされこのサービス付き高齢者向け住宅、いわゆるサ高住に一本化をされました。
 近年、新たに作られる施設はこのサ高住がメインになってきており、2016年度の段階で受け入れ可能な定員数は認知症高齢者グループホームを抜いて全国で20万人を超えています。稲城市でも、先日平尾地域に新たなサ高住がオープンをしました。しかし、このサ高住について、本来受入可能な対象者と実際の入居者の状態にミスマッチが起きてきているのではないかという課題も指摘されています。
サ高住の対象は法的には60歳以上か60歳以下で要介護認定などを受けている人となっていて、国や行政の説明文書にはそれ以上のことは書かれていません。しかし、一般的にはどうなっているのか。例えば全国の老人ホームの空き情報などを検索することができる「みんなの介護」というインターネットサイトではサ高住は「自立から中度」の人向けという説明になっています。要介護2くらいまでの受入は〇になっていて、要介護3以上は受入△とされています。いろいろな解説を調べても、概ねサ高住の対象は自立から軽度、中度の人が対象だと説明をされていて、そういう施設だというのが基本的な位置づけではないでしょうか。
0618-101.jpg
※「サービス付き高齢者向け住宅」の説明パンフレット

 しかし、市内2施設の利用者82人中17人が要介護3以上で、要介護5の人が6人もいます。要介護5というと、ほぼ寝たきり状態の人です。そういう人が入居している施設で、安否確認の職員が1人は必ずいるけどそれ以外は職員数すら明確な基準が義務付けられていない実態があります。ちなみに、特別養護老人ホームは入居者3人に1人の割合でスタッフ配置が法律によって義務付けられています。
さらに、2施設の93戸の中で18件の事故がおきているということです。単純計算では事故発生率は20%、5部屋に1件の割合くらいで事故が起きている計算です。単純な比較はできませんが、決して低くない数字ではないでしょうか。事故の内訳も、18件のうち14件が骨折やヒビなどの外傷を負っているということです。そして、その対応について行政はほとんどタッチをしないということです。いま、特別養護老人ホームやグループホームなどの介護事業所は様々な情報について公開が義務付けられ情報が開示されています。しかし、サ高住については介護事業所ではないので、情報公開も義務付けられていない。情報の開示も事業者の判断に委ねられているという状況です。
 介護保険計画の中ではサ高住はあくまでも住居形態のひとつであって、介護施設ではないと位置付けられています。しかし、実態はそうはなっていません。本人や家族は介護施設として一定の期待をしており、単なる住居施設以上のものを求めているのが現状ではないでしょうか。在宅と介護施設をつなぐものとしてのサ高住の役割は一定あると考えますし、その範囲内であれば大きな役割は果たしてくれています。しかし、現状の法的規制や基準が極めてゆるい中で、すべて事業者と本人家族任せだけで進めていくことは決して適切ではないと思います。また、行政の中では特別養護老人ホームやグループホームではなく、サ高住を中心に施設を整備していこうという思惑が見え隠れしていますが、これは明らかに間違っていると考えます。サ高住については、本来の役割を逸脱させずに、介護施設は介護施設としてしっかりと整備をすべきであると求めました。

(2)サービス利用料について
①サービス利用料が2割負担の利用者の直近の数を聞きます。
→平成29年5月31日現在で、要介護要支援認定者2,529人のうち、介護保険サービス利用料負担が2割の対象者は346人です。
②サービス利用料が2割負担の利用者の平均的な利用金額を聞きます。
→2割負担の1人当たりのサービス利用料の平均額は月額2万885円です。
③上記の数のうち国会審議中の新たな基準で3割負担の対象となる利用者の数を聞きます。
→2割負担対象者346人のうち、現在想定される3割負担の基準となる収入等340万円以上の対象者は161人と試算しています。
→利用者負担割合の改正については、平成29年2月27日付で、多摩地区26市で構成する東京都市福祉保健主管部長会で国に対し「利用者負担割合の改正については、平成27年8月から導入されたばかりである2割負担の負担割合に関する影響と効果について、十分な検証を行ったうえで、慎重な対応をすること。」「制度改正にあたっては、国民の理解が得られるよう、国として、丁寧な広報及び説明責任を果たすこと。」について要望証を提出しています。

<解説>
 新しい基準を盛り込んだ介護保険法について国会で審議がされていましたが、残念ながら5月26日に参議院本会議で可決、成立されてしまいました。しかし給付の抑制、利用者の負担増が中心の内容に事業者や利用者の団体からは反対の声がとまっていません。
 稲城では、介護保険利用者の13%が2割負担になっています。そして、今後は2割負担のほぼ半分の人がさらに負担が上がり、全体の約6%、利用者の15人に1人くらいが飛びぬけて利用料が高くなってしまいます。これは、本当にこのままでするすると値上げが進められていいのでしょうか。
 この間、介護保険については毎議会で質問をしてきました。その中で負担増の問題については、決して市と見解が一致するものではなかったのですが、しかし実際に介護保険を運営している自治体の中でも国のやり方に対して慎重な対応を求める意見があることを知ることができました。これからも負担増ありきで制度を変えていくのではなく、社会保障として福祉制度として介護保険制度を維持発展させていくことを求めました。


2.就学援助制度について
(1)要保護児童・準要保護児童について
①「要保護児童」の対象となる基準について聞きます
→要保護児童の基準については、生活保護を受けている者および生活保護を必要する状態にある者となっています。
→「生活保護を必要とする状態にある者」とは、申請をすれば生活保護として認定されるが、生活保護を受けていない者です。直近5年間で対象となった児童はいません。
②「準要保護児童」の対象となる基準について聞きます。
→準要保護児童の基準については、要保護児童に準じる程度に困窮していると認める者です。具体的には、前年の世帯の収入額が生活保護基準額の1.7倍未満の者等となります。

(2)平成29年度3月31日文部科学省通知「平成29年度要保護児童生徒援助費補助金について」について
①同通知で記されている「新入学児童生徒学用品費等」の金額について聞きます。
→小学生が4万600で前年度より2万130円の増、中学生が4万7,400円で前年度より2万3,850円の増となります。
②同通知で記されている「新入学児童生徒学用品費等」の支給時期について聞きます。
→必要な援助を適切な時期に速やかに実施できるようにするとなっており、小学校への入学年度開始前の支給を可能とするように改正されました。
③これらの通知内容の稲城市の対応状況について聞きます。
→生活保護を受けている要保護世帯に対しては、通知の通り事前に3月分で支払っております。

(3)準要保護児童就学援助費について
①準要保護児童就学援助費の財源について聞きます。
→財源については、全額市費です。地方交付税の基準財政需要額に準要保護児童関係費として導入されています。
②準要保護児童への就学援助費の支給額を決める基準を聞きます。
→支給額を決める基準はありませんが、国の要保護児童生活援助費補助金の国庫補助対象額を参考に定めています。
→現在の準要保護児童の新入学学用品費は、平成28年度の国の要保護児童新入学学用品費の支給単価と同額です。今後の支給額の引き上げについては、他市の動向を踏まえて、今後対応を検討していきます。
③子育て世帯の貧困対策としての就学援助制度の意義について認識を聞きます。
→経済的理由により就学困難な児童および生徒などに対して、教育費の一部を援助することにより、教育を受ける環境が整うことにあると認識しています。
→新入学学用品費の支給時期については、次回は入学前に支給できるように準備していきます。

<解説>
 昨年の12月議会でも子ども貧困対策として就学援助制度の改善、特に入学時に必要となるランドセルや制服の購入費の助成となる新入学学用品費の金額や支給時期について改善を求めました。この間、国会では日本共産党もそうですし、その他党派を超えて多くの国会議員が制度の充実や改善を求めたことで、国レベルでの改善策が示されて、各自治体でも取り組みが広まっています。経済格差の解消のための重要な施策である就学援助制度の更なる改善を求める立場から質問しました。
 就学援助制度の重要な点は、同じ制度でありながら要保護児童と準要保護児童という2つの基準で制度が運営をされていることです。要保護児童については、「生活保護を受けている者」は文字通り生活保護を受給している世帯の児童生徒のことで、その世帯には生活保護費の中から教育扶助費が支給されます。生活保護以外の、「生活保護を必要とする状態にある者」という人はほとんどゼロであるということです。ですから、就学援助制度を利用している圧倒的に多くの人は、準要保護児童に区分をされている人たちになります。
 そして、準要保護児童の就学援助費は、すべて市の財政から出しているということです。かつては国の補助金がついていたのが、小泉内閣の三位一体改革で地方自治体の一般財源から出すことになってしまいました。明らかに国の責任が後退をしており、貧困対策が重要だといいながら、肝心の財源を示さずに地方自治体に丸投げしている状況があります。しかし、国がお金を出さない分、自治体の裁量で実施できる部分が大きいわけです。三多摩地域でも支給金額や支給時期について、独自の取り組みとして改善を進めている市が増えてきています。
 こういった市の裁量としておこなえる修学援助費の支給時期や支給額の改善については積極的に行うべきであると求めたところ、来年度からは新入学学用品費を入学前に支給できるように準備をするという、とても前向きな答弁がされました。しかも、小中ともにということです。多摩地域でも小中を一気に入学前支給にしたというところは、おそらくなかったのではないでしょうか。これについてはぜひ実現できるようにしてほしいと求め、単価の増額についても検討を進めて、経済的な理由による教育環境の格差を解消していくための更なる取り組みを求めました。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。