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稲城市12月議会一般質問の報告①~保育の質と介護保険計画~ [市議会]

 12月5日に、稲城市議会第4回定例会(12月議会)の一般質問を行いました。今回も3回に分けて、議場でのやり取りについて報告いたします。
 第1回目は「保育の質の確保について」と「第6期介護保険計画について」を報告します。

1.保育の質の確保について
(1)「保育の質」について認識を聞きます。
→「保育の質」は、児童を安全かつ健全に育成するための「保育環境」「保育内容」などのハード面とソフト面から構成されるものです。
→保育の質を高めることで、保育の安全の向上が図られるものと認識しています。
(2)直近5年間の認可・認証保育園で起きた保育中の事故、いわゆる「重大事故」と言われるものについて聞きます。
→過去5年間に東京都へ報告した事故は、認可保育所に関係するものが4件、認証保育所に関係するものが1件です。
(3)「保育の質の確保」における保育士の人数の位置づけについて認識を聞きます。
→保育の質を確保するためには、一定基準以上の保育士の配置と保育士の資質向上が重要であると考えています。
→市内公立保育所3園での常勤保育士の人数は予算人員35人で、実際の従事者も35人です。
→常勤以外の職員については、現時点では予算上想定している人数にはまだ達していない状況です。これらの職員も安全安心な保育生活を支えるものですので、現状では人手不足になっていますが必要な人数を確保するように努めていきます。
(4)「保育の質の確保」についての、この間の市の取り組みを聞きます。
→認可保育所の保育士を国基準より増配置する項目も含めた、市独自の振興費補助金を交付しています。その他に、保育士等キャリアアップ補助金等を支出しています。
→保育士確保のための施策として、今年度より保育従事職員資格取得支援事業を実施しています。今後も、国や東京都の保育士確保のための補助事業がありますので、そうした補助事業の活用についても必要に応じて研究していきます。
<解説>
 保育施設において乳幼児が死亡するという、痛ましい事故が起きています。保育行政において、待機児童の解消と同時に安全な保育を実施するための質の確保も重要な課題です。安全な保育を行うために、保育士の充分な配置を求める立場から質問しました。
 基本的には、「保育の質を守る」という事が安全性を確保していく事につながるということであり、その中でも質の確保をするためにはちゃんと人数を配置しなくてはならないことを市も認めております。市内の公立保育園でも予算に比べて、実際の従事者数が足りていない人手不足の状況があります。都内の多くの自治体で必要な保育士が確保できない実態も報告されています。
 保育士確保の取り組みとしては、都が保育士の家賃を補助する制度などもあり、それを積極的に活用する自治体もあります。市としてもそういった補助事業について認識をしているという事ですので、しっかりと前に進めてほしいということを求めました。

2.第6期介護保険計画について
(1)総合事業と包括的支援事業の上限設定について
①平成27年度以降に設けられた総合事業と包括的支援事業の上限設定の制度概要について聞きます。
→総合事業の事業費の上限額については、以降前年度の予防給付等実績額に75歳以上高齢者の伸び率を乗じた額等となります。
→事業費の上限については、原則の上限のほかに「10%までの上限額特例」や、さらにそれを活用してもなお上限を超える見込みである場合については「個別判断」の仕組みが設けられています。「個別判断」によって認められなかった場合は、地域支援事業費の対象外となると思われます。
②第6期介護保険計画内での両事業の上限額について聞きます。
→第6期介護保険計画策定時の上限額の設定はしておりません。
→平成28年度の総合事業の事業費の原則の上限額は2億8060万円で、10%特例の上限額は2億9062千万円です。平成28年度の総合事業の事業費の予算額は2億8083万円なので原則上限額より予算額が23万円上回っていますが、10%特例上限額よりは予算額が979万円下回っています。
③平成29年度以降の見通しについて聞きます。
→平成29年度の事業費については、概ね計画の見込み額の範囲内であると想定しています。平成30年度以降については、第7期介護保険事業計画策定時において検討していきます。
→総合事業の事業費の上限設定が、介護事業の必要以上の抑制を招くものとは認識をしておりません。
<解説>
 第6期介護保険計画から開始された総合事業については、全国で様々な課題が報告されています。これらの課題について問題点を明らかにし、改善を求める立場から質問しました。
 総合事業の事業費の上限設定とは、介護保険の総合事業つまり要支援1と2の人のサービスに関わる事業費ついて、一定の計算式に基づいて国が自治体毎に上限を設定するというものです。平成28年度の事業額では、実質的には上限額を超えていて、10%特例があるので約1千万円分だけ下回っています。余裕があるような答えでしたが、実はかろうじて国が設定した上限範囲に収まっている状況です。予想を超えて利用者が増えたりすれば、この上限範囲を超えてしまう可能性だってあります。
 そもそも自治体の行う事業費について国が上限設定を設けること自体が、自治体の介護事業の必要以上の抑制を招くものではないでしょうか。介護保険を研究している研究者からは、今のような上限設定をしていたら全国で上限設定を超える自治体が続出してしまうと警鐘がならされています。上限を超えないようにするにはどうすればいいのかと言えば、介護保険を使う人が増えなければいいわけで、結局はていの良い介護保険抑制策のひとつに使われてしまうのではないでしょうか。こういった不合理な制度については、撤廃をすべきであると求めました。

(2)総合事業「住民主体による支援」について
①「住民主体による支援」サービスの実施についての検討状況を聞きます。
→現時点では具体的な内容についての検討に至っていません。
→平成29年度に、なんらかの「住民主体による支援」サービスの実施については未定です。
②近隣市で「住民主体による支援」サービスとして実施されている又は予定されている内容について聞きます。
→近隣南多摩4市での状況は、多摩市が訪問型サービスを実施しており、八王子市が協力団体を公募中で、他2市は未定であると聞いています。
③「通いの場支援補助金」交付団体募集の目的について聞きます。
→「通いの場支援補助金」は、通いの場活動の開催回数や参加者の増加、介護予防活動の取り組みを支援するものです。「住民主体による支援サービス」とは別のサービスですので、検討は別々にするものと考えています。
<解説>
 介護保険総合事業の「住民主体による支援」サービスは、稲城市においてはサービスの内容も含めて実施時期なども未定の状況です。近隣市でも、全体としても多くがまだこれからですが、すでに実施たり、予定したりしている自治体では様々な矛盾が報告されています。
 ある市では、高齢者の自主活動として行ってきた体操活動を「住民主体による支援」サービスとして組み込もうとした際に、条件として「毎回の参加人数は15人以上で、その半分が要支援1か2ではないとならない」という素案が出されて大きな反発を生んでいます。自主的な活動なのだから毎回の人数なんて確定はできないし、要支援かどうかなんて誰が管理をするのか、となっています。
 住民による自主活動を無理やり「住民主体による支援」サービスという枠に入れようとするから、そこで矛盾が出てきてしまっています。稲城市はこれから検討になりますが、必要なのは地域で行っている自主的な活動を様々な形で支援することであり、こういった総合事業に組み込むようなことをすべきではないと求めました。

(3)介護施設への措置入所について
①直近5年間の措置入所の実施状況について聞きます。
→平成24年度は4人、25年度は6人、26年度は10人、27年度は9人、28年度10月までの実績は9人です。
②措置入所を実施する基準について聞きます。
→高齢者の生命また身体に重大な危険が生じている恐れがあると認められる場合など、高齢者の客観的事実から個別に判断しております。
→措置決定については社会福祉主事、医師、老人福祉施設長などにより構成される老人ホーム入所判定委員会によって判定しております。また、高齢者虐待などの「やむを得ない事由」による緊急性が高い措置については、委員会の判定をまたずに高齢福祉課職員および地域包括支援センター職員により判断し、福祉部において決済手続きを行って、措置決定をしています。
<解説>
 介護保険は本人と事業者による契約であるというのが前提でありますが、しかしそれだけではどうにもならない実態というはあります。そういう時の対応として行政による措置入所が設けられています。家族や本人の状況も考慮しながら、必要な時はちゃんと実施をするということが求められます。
 自己責任だけでは済ませずに、援助が必要な人には行政も介入をしていくということが求められるのではないでしょうか。介護保険制度については、第7期計画に向けての国の方針が徐々に明らかになってきています。これからも介護保険の後退を許さず、必要な人が必要なサービスを受けることができることを求めました。

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