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稲城市12月議会一般質問の報告②~子育て世帯への支援~ [市議会]

 2回目の報告は、「子育て世帯への経済的支援について」です。
 この項目は今回の質問の半分以上を占めていて、文字数もだいぶ多くなってしまいましたが、かなり細部まで突っ込んで質問をしたのでやり取りの詳細を報告します。

3.子育て世帯への経済的支援について
(1)「子供の貧困対策に関する大綱」について
①「大綱」で設定されている「子供の貧困に関する指標」の内容について聞きます。
→平成26年1月に施行された「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を受けて、国が定めた「子供の貧困対策に関する大綱」で設定されている「子供の貧困に関する指標」については、生活保護世帯に属する子どもの高等学校等進学率、高等学校等中退率、大学等進学率、就職率、児童養護施設の子どもの進学率及び就職率、ひとり親家庭の子どもの就園率や進学率及び就職率、スクールソーシャルワーカー等の配置率、就学援助制度に関する周知状況、ひとり親家庭の親の就業率、子どもの貧困率、子どもがいる現役世帯のうち大人が一人の貧困率等となっています。これらの指標は地域や社会における子育て世帯や子どもたちの経済状況について判断する一定の指標であると認識しています。
②直近の生活保護世帯に属する子どもの数・高等学校等進学率・高等学校等退学率・大学等進学率・就職率について聞きます。
→生活保護世帯の子どもの数は、平成28年11月1日現在で137人です。そのうち、ひとり親家庭の子どもの数は100人です。
→平成28年度の高等学校等への進学率は100%、大学等への進学率は50%です。
→平成27年度在宅中の高等学校等の中退率は9%となっています。
→平成28年度の就職率は、大学卒業者が100%、高等学校等卒業者が40%となっています。
③直近の児童養護施設に入所している子どもの数・進学率・就職率について聞きます。
→児童養護施設に入所している稲城市の子どもの数は、平成28年度11月1日現在で14人です。年齢は未就学児童が3人、小学生が5人、中学生が4人、高校生が2人です。
→市として進学率や就職率等については把握していません。児童養護施設に関する業務は、東京都の所管に属するものであり、市は積極的に関与できる立場にはないものと考えております。
④直近のひとり親家庭世帯に属する子どもの数・就園率・進学率・就職率について聞きます。
→直近で児童扶養手当を支給している世帯の子どもの数は、802人です。なお、就園率・進学率・就職理知については、特別な調査を要するものであり現時点では把握しておりません。
→平成27年度国勢調査における、他の世帯員を含まない父子世帯の数は66世帯、母子世帯の数は426世帯です。
⑤小中学校でのスクールソーシャルワーカーの配置人数と配置率について聞きます。
→稲城市におけるスクールソーシャルワーカーの配置人数は1人であり、市内小中学校18校における配置率は0.06%となります。
⑥小中学校での就学援助制度の周知方法について聞きます。
→毎年度、市立小中学校のすべての児童生徒の保護者に学校を通じて就学援助のお知らせと申請書を配布しております。また、市広報およびホームページによる周知をしております。
→新小学1年生の家庭に向けては入学説明会での配布ができるように事務処理を進めていきます。新中学1年生については、早い時期に配布ができるように検討していきます。
⑦子どもの貧困率を聞きます。
→市単独において子どもの貧困率を算出して、貧困の子どもの人数を推計することは非常に困難であると考えています。
→国が策定した「大綱」による18歳未満の子どもの相対的貧困率は16.3%であることから、市内の18歳未満の人口16,270人から単純計算すると、推計される貧困であると考えられる子どもの人数は2,652人となります。
⑧子どもがいる現役世帯のうち大人が一人の貧困率を聞きます。
→市内の子どもがいる現役世帯のうち大人が一人の世帯自体を補足することが困難であり、貧困率については現時点では把握しておりません。
→国が策定した「大綱」にある、子どもがいる現役世帯のうち大人が一人の貧困率は54.6%であることから、ひとり親家庭世帯数492世帯から単純計算すると、推計される貧困であると考えられる大人が一人の世帯は269世帯となります。
<解説>
 「子どもの貧困」への早急な対応が真剣に求められています。子育て世代の生活状況に対する実態をつかみ、必要な支援を積極的に行っていく事が必要です。国で示された指針を基にしながら、稲城市としての独自の施策の実施を求める立場から質問しました。
 「子どもの貧困対策に関する大綱(以下、大綱)」は、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」の規定に基づき、「貧困の連鎖によって子どもたちの未来を閉ざしてはならない」として、様々な指標や支援策が記述されています。これらの指標は地域や社会における子育て世帯や子どもたちの経済状況について判断をする一定の指標であることは市も認めています。それぞれの項目に沿って、状況を明らかにするように求めました。

(2)子育て世帯の実態調査について
①「平成26年稲城市子ども・子育て支援事業に関するニーズ調査報告書」において教育費用や子育て費用の負担感についてどのような調査結果がでているのかを聞きます。
→小学生児童を持つ保護者に対する「子育てに関して悩んでいることまたは気になることの状況」についての質問に対して、「教育に係る費用の負担が大きいこと」と回答した人が49%という結果でした。また、就学前児童を持つ保護者を対象とした「子育て支援充実への要望」の中で、「保育所や幼稚園、学校に係る費用負担を軽減してほしい」と回答した人が複数回答調査で63.6%という結果でした。
②子育て世帯の実態を明らかにするための「子ども調査」の実施について認識を聞きます。
→市では、子どもの貧困に関する定義等が明確になっていない中でも、生活保護や就学援助費の需給状況等から、稲城市における貧困の状況を把握するとともに、子ども達と直接かかわる現場においても、日々子どもの状況を把握しておりますことから、市における現時点での統計的な実態調査については予定しておりません。
→ひとり親家庭の全数調査については、市ではひとり親世帯を特定できないため特別の調査を要するものであり、現時点で実施は非常に困難であると考えております。
<解説>
 市が実施した「子育てニーズ調査」でも「教育費の負担が大きい」という事が悩みとして出されています。「子育て支援充実への要望」の中でも経済的な費用負担の軽減についてだされ、中学生本人の調査結果の中でも将来の心配で「お金のこと」がでています。ニーズ調査そのものはべつの目的で行いましたが、実際には経済的な問題について様々な意見がだされています。
 「大綱」に示された指標について、市として統計が取られているものといないものがあります。国が定めた「大綱」の指標については、稲城市としても統計を作成すること、また少なくともひとり親家庭の状況を明らかにするための、全数調査を行うべきであると求めました。
 朝日新聞の記事で、足立区が区内のひとり親家庭を対象にした実態調査を実施することが報道されています。調査票と面接による調査を親だけでなく、高校生以上の子どもにも行うという内容でした。ひとり親家庭について言えば、市内では500弱世帯だとわかっています。その半分が貧困状況にあるのではないかと推計をされているわけです。この人たちの全数調査を行うだけでも、本当に様々な実態が見えてくるのではないでしょうか。その気になれば、様々な調査活動を行うことができるわけで、積極的な実施が必要であると求めました。

(3)小中学校で保護者の負担する費用について
①小学校で保護者が私費購入する副教材の主な内容と金額について聞きます。
→平成27年度に保護者の負担により購入してもらいました教材の主な内容は、ドリルなどの問題集や資料集です。金額は平均して、1学年あたり年金5,125円です。
→これらの教材は、児童一人ひとりの所有物として使用するであり、国から無償給付される教科用図書以外の教材については、私費負担としております。また、教材等の貸与については、持ち運び可能で教育効果を上げるために家庭でも活用・練習したいもの、また使用頻度や使用方法から個人の所有物とすることが適切と判断される教材等は個人で購入してもらっています。
②中学校で保護者が私費購入する副教材の主な内容と金額について聞きます。
→平成27年度に保護者の負担により購入してもらいました教材の主な内容は、ワークブックなどの問題集や資料集です。金額は平均して、1学年あたり年金10,749円です。新1年生につきまして、年間13,240円です。
③中学校の各学校の男女の制服の平均的な値段について聞きます。
→市内中学校の標準服の平均的な金額は男子生徒用が32,564円、女子生徒用が33,233円です。学校別の金額で最も高い値段と低い値段の差については、男子生徒用が6,921円、女子生徒用が9,982円です。この金額の差については、計上や材質の違いや取扱店により金額が異なるために生じるものです。
→各業者が取り扱っている標準服の金額を全体的に下げることについては、教育委員会の立場からは困難であると考えます。
→卒業生の標準服を譲り受けてリサイクルとして活用する取組については、現在PTAが中心となり各学校で行っており、保護者の負担を軽減するために有効な取り組みであると認識しています。実施主体は市ではなく、PTAを含めた学校が取り組むべきものであると認識しています。
④生活保護教育扶助費の金額について聞きます。
→教育扶助基準額が小学校等で月額2,210円、中学校等で月額4,290円です。学習支援費が小学校等で月額2,630円、中学校等で月額4,450円です。教材代、給食費、通学交通費については、それぞれ実費支給となっています。
⑤就学援助費の学用品費・通学用品費と新入学学用品費の金額について聞きます。
→小学生は学用品費11,420円、通学用品費2,230円、新入学児童学用品費20,470円です。中学生は学用品費22,320円、通学用品費2,230円、新入学児童学用品費23,550円です。
⑥ひとり親家庭児童入学援助金の金額について聞きます。
→ひとり親家庭等で綬民税非課税の世帯に対して小学校入学で40,600円、中学校入学で47,400円を支給しています。
<解説>
 義務教育である小中学校に通うに当たっても、保護者は様々な費用を負担しています。
 小学校の費用負担でも、新小学1年生では体操着や水着、絵の具や鍵盤ハーモニカなど様々な物を合わせると2万円を超えていきます。ここに給食費が年間4万円、校外学習費用などがかぶさってきます。言葉の定義で色々な数字が出てきますが、これだけの負担を保護者がしているのだという、その実態をありのままに見る必要があるのではないでしょうか。そういった中ではいt部の教材、例えば鍵盤ハーモニカなどは学校で備品として備えて、貸与することで対応することも十分に可能ではないかと求めました。
 また、中学校では制服という大きな出費があります。稲城市全体で平均が約3万円で、学校が違うだけで約1万円の差が出ています。しかもこの値段は制服本体であって、ここに夏用ズボンや夏用スカート、ベストやネクタイやリボンなどなどが入ってくるわけです。この制服に対する出費は本当に大きなものになってきます。この負担をどのように軽くしていくのか、学校やPTAだけに任せて市は関与しないという立場でいいのかということです。制服リサイクルについて負担軽減の効果があると認めていますが、それをなぜ保護者のボランティアであるPTAが主導して行わなければならないのか?学校側、そして行政の側が積極的に行うべきであると求めました。
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(4)小中学校の就学援助費新入学学用品費について
①直近の支給金額と人数について聞きます。
→平成28年度は小学生が支給総額182万円で、支給人数89人でした。中学生は支給総額240万円で、支給人数は102人でした。
②小中学校での申請時期と支給時期について聞きます。
→4月15日まで申請を受け付け、8月に支給しています。
③文部科学省通達「要保護および準要保護児童生徒に対する就学援助費に係る事務処理要領について」で示されている「給与費の支給について」の内容について聞きます。
→同通達では「給与費は、四月当初においてもっとも必要性が多いものであるから、認定終了後すみやかに支給を開始すること。…」とされております。このことから、毎年4月に申請の受付をしておりますが、前年の世帯収入確定後7月に認定し、8月に支給としております。
→平成27年度8月24日付文部科学省通知「平成27年度要保護児童生徒援助費補助金の事務処理について」では、「要保護者への支給は年度の当初から開始し、各費目について児童生徒が援助を必要とする時期に速やかに支給することができるよう十分配慮すること(特に「新入学学用品費」)と記されており、要保護者への新入学学用品費は毎年3月の生活保護費で支給されております。
④中学校での新入学学用品費の入学前の支給実施について認識を聞きます。
→入学前に支給しますと、市外転出や私立学校への入学が判明した場合の返還等の課題があります。また、前年度の世帯収入に基づいて審査いたしますので、4月前の認定はできないことから、入学前の支給実施は困難であると認識しております。
→平成27年度に就学援助費の支給を受けていた小学6年生の児童は112人で、そのうち平成28年度に中学1年生で支給を受けた生徒は90人です。市外転出が1人、私立学校への入学が3人、世帯収入の増加による対象外が13人、その他の理由で5人の生徒が新入学学用品費の支給を受けておりません。
⑤小学校での新入学学用品費の入学前の支給実施について認識を聞きます。
→小学校での入学前の支給実施についても、中学校と同様の課題があることから困難であると認識しています。
→要保護児童については3月に支給をされていることから、準要保護児童への入学前の支給について課題はありますが、今後研究してまいります。
<解説>
 就学援助新入学学用品費は経済的に困難な状況にある世帯にとっては本当に大事な施策で、約200人の人が利用しています。しかし、支給時期が大きな課題になっています。新入学学用品という名称ですから、新入学に必要な物をそろえるのに使いたいお金なのに、実際に支給されるのは8月になってからになる。本当に必要な時に、支給がされていません。
 文科省の通達でも「必要性が多い時に、すみやかに支給すべき」と述べられています。小学6年生で就学援助を受けていた児童の8割がそのまま、中学校でも就学援助を受けています。市外転出などはほんとうにわずかですし、一定の工夫をすれば中学校入学時前における学用品費の支給は十分に可能ではないでしょうか。
経済的困難事例は極めてわかりづらく、表面化した時には深刻な事態になっているということが全国で起きています。必要な時に必要な支援が届くように工夫をしていく、そういった取り組みが求められます。
 教育委員会としても、最後は「課題はあるが研究していきたい」と答えてくれました。この点については、問題意識は持ってもらえたと受けとめ、ぜひ前進のための取り組みを進めてほしいと求めました。

(5)児童扶養手当について
①直近の支給人数と金額について聞きます。
→支給金額は6,676万円で、支給世帯数は454世帯です。
②支給対象者について聞きます。
→父母が離婚した児童、父または母が死亡した児童、父または母が身体障害者手帳1・2級程度の障害の状態にある児童等となります。いずれも、一定の所得制限額未満の場合に、手当の受給対象者となります。
→制度の周知については、離婚届の提出時や市の各窓口での相談等で個別に丁寧に案内をするようにしています。
③支給方法について聞きます。
→年3回、4月と8月と12月に4ヶ月分を支給しています。
④毎月支給の実施について認識を聞きます。
→児童扶養手当法において3回に分けて支払うこととされており、毎月支給することは現時点ではできません。
→平成28年4月の児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対する附帯決議において、支払回数等について国が検討していく事としており、その動向を注視していきます。
<解説>
 国会で児童扶養手当法の改正について論議をされたときに、毎月支給の実施について議論がされました。3月分の手当が一気に支給されるために、もともと経済的困難を抱えた世帯では家計管理がとても大変であるという認識が広がっています。
 支給されているのは454世帯です。少なくはありませんが、都心部に比べれば莫大な数ではありません。家計を安定させるための助言や支援などについて丁寧に対応を求めました。

(6)子育て世帯への積極的な支援と財政支出について
①「大綱」に提示されている「生活の支援」の具体化について認識を聞きます。
→「生活の支援」として市が実施すべき施策として例示されているものについては、自立相談支援事業や、ひとり親家庭が抱える様々な悩み相談や、ホームヘルパー派遣等、ほとんどの施策を実施しています。
→「ひとり親家庭や生活困窮世帯の子供の居場所づくりに関する支援」では、学習塾等受講料貸付金や受験生チャレンジ支援貸付事業を実施しています。また、現在2つの市民活動団体において、地域コミュニティの中で子どもも含めたあらゆる市民を対象に、食事作りから食の提供までの取り組みについての情報提供を受けております。こういった取り組みについては、情報提供や会場の相談などできる限りの支援をしていきたいと考えています。
②「大綱」に提示されている「経済的支援」の具体化について認識を聞きます。
→生活保護、ひとり親家庭に対する児童育成手当、児童扶養手当の支給、医療費助成等ほとんどの施策を実施しています。
→生活保護世帯の子どもの進学時の支援については、生活保護世帯の小学4年生から中学3年生までの子どもと保護者を対象に定期的な相談や進学への意識づけなどを行っています。
③「子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る(大綱)」ために稲城市として積極的な財政支出を行うことについて市長の認識を聞きます。
→子どもの将来がその生まれ育った環境により左右されたり、貧困が世代を超えて連鎖することなく、子どもが健やかに育成される環境を整備し、教育の機会均等を図ることは、大変重要と認識しているところでございます。しかし、一方で貧困の定義が明確に規定されていない中での市独自の取り組み等については、難しいものであると考えております。今後とも、市内の子どもの状況、また国や東京都の対策の動向を注視してまいります。

<解説>
 私は本当に残念なのは、最後の市長の答弁で未だに「貧困の定義が明確ではないから、取り組みができない」という答えがされていることです。本当にそれでいいのでしょうか?
 今やるべきは、「あなたは貧困、あなたはそうではない」と定義をすることでは無くて、実際に困っている、困難を抱えている市民一人ひとりに対して支援をする。子どもたちが、保護者のお金の心配をしながら生活を送るような状況を少しでも軽減していく。そのための工夫と努力が求められるのではないでしょうか。
 今回は取り上げませんでしたが、給食費の完全無料化や軽減策の拡大など子育て世帯の様々な経済的負担を軽減するための取り組みは様々あります。居場所づくりとして、子どもだけに限らずあらゆる世代を対象にした「地域食堂」の取り組みについては、市としても支援していきたいと表明されました。これからも、子育て世帯に稲城市が積極的に財政支出すべきであると求めていきます。
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