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稲城市議会12月議会一般質問の報告①~医療と介護~

12月の議会の一般質問が終わりました。
今回は持ち時間45分のうち、43分まで使ってギリギリいっぱいまで質問ややり取りを行いました。
今回も全体を3回に分けてご報告します。
一般質問の項目については、11月19日付「12月議会の日程が決まりました。」をご参照ください。

1.安心して住み続けられる、地域包括ケアシステムの構築について
①東京都地域医療構想の論議状況と、その中での稲城市も含めた南多摩二次保健医療圏の現状の評価について認識を聞きます。
→東京都では将来の医療提供体制のあるべき姿について議論がされています。
→二次医療圏については、医療圏ごとの人口や患者数等の現状や将来推計がまとめられて分析されています。
→構想策定部会によって検討がされており、平成28年度中の策定が予定されています。

②同構想内の病床機能報告の稲城市の結果について認識を聞きます。
→病床機能報告については、稲城市の4つの病院の病床機能や病床数について東京都に報告をしている段階で、それについての結果はまだ出ていません。
→今後は各区域内で地域料構想調整会議が設けられて、そこで今後必要とされる病床数との比較を基に、不足する医療機能の解消や病床数の調整が進められます。

③稲城市医療計画と東京都地域医療構想の関連性について聞きます。
→稲城市医療計画は稲城市が独自に将来の医療提供体制のあるべき姿を計画して、国や都に低減できるように先進的に取り組んでいるものです。直接、東京都地域医療構想とは関連性はありません。
→先進性の内容とは、客観的なデータ分析と将来推計、市民ニーズや医療資源の実情について取りまとめている事例は他の自治体では見られず、この医療計画の策定自体が先進的な取り組みとなっています。

<解説>
 6月議会、9月議会と24時間在宅医療機関を増やしていくことを求めてきました。市では、その点も含めた医療計画の作成が進められています。今回はこの医療計画について、国が進めようとしている地域医療構想との関連も含めて質問しました。質疑の中では、この医療計画について稲城市として先進的に進めていることも明らかになりました。それこそ、東京都が検討している地域医療構想を先取りする形で進められています。市の単位で独自に医療計画を持つというのは、確かにあまり聞いたことはありません。この計画がどういうものになるのか、来年の早い段階で報告をされるとのことです。期待をしながら、実効性のある計画となるように求めました。


2.第6期介護保険計画について
(1)利用料の値上げについて
①利用料の自己負担割合が1割から2割になった利用者の人数について聞きます。
→介護保険の自己負担割合が1割から2割負担になった人は358人です。
→全体の利用者が2,662人なので約13.4%が2割になりました。

②2割負担の人への市としての独自の負担軽減策を設けることで差を埋めるべきであると考えますが、その必要性について認識を聞きます。
→市として独自の負担軽減策は考えていません。
→介護保険制度には高額介護サービス費、高額医療合算介護サービス費、特定入居者介護サービス費等の利用者負担の軽減策があるので不要であると考えます。
→今回の割合変更について「なぜ、利用料負担が変わったのか」という制度改正についての考え方への問い合わせはありました。
→自己負担の値上がりによってサービスを減らした事例等については、サービスの利用は利用者と事業者の個別契約ですので市が直接知る仕組みとなっていません。
<解説>
 8月から一部の介護保険利用者の方の利用料金が値上げになりました。(値上げの基準は図参照)値上げとなった人の数は全体の13%と、1割を超えています。同じサービスを受けているのに、人によって値段が違うという区別が新たに持ち込まれました。
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 利用者負担の軽減策があるとのことですが、そもそもの自己負担割合の差がつくことについて解消をするものではありません。介護保険の運営者は市です。「国の制度だから」ということではなくて、利用者が必要なサービスをお金が理由によって手控えることが無いように、引き続き市には利用者や家族に対する丁寧な対応を求めていきます。

(2)介護施設での利用者の安全確保について
①市内における「積和サポートシステム株式会社」が運営する介護施設及び高齢者向け住居の施設数と利用者数・入居者数を聞きます。
→平成27年10月末で、有料老人ホームが矢野口に1カ所で利用者数は38人、サービス付き高齢者向け住宅は東長沼に1カ所で入居者数は50人です。
②同施設での事故等の不適切事例の数を聞きます。
→平成24年度から直近までで20件です。
→過去にさかのぼって事故報告が上がってきた件数は11件です。

③市としての今後の監督方針について聞きます。
→介護施設に対して、施設で発生した事故の把握や指導などを東京都と連携を図りながら適切に行っていきます。
→(さかのぼって報告があったのは)本来事故報告は、事故対象者の保険者と施設所在地のそれぞれに報告をすべきところを誤って、施設所在地には報告をしていなったことによるものです。
<解説>
 川崎市で起きた介護施設での転落事故を契機に、一部の介護施設で事故や過誤などの不適切事例が相次いでいたことが明らかとなりました。この会社は、アミーユという施設名で全国展開をしていて、稲城市でも矢野口に有料老人ホームが、東長沼にサービス付き高齢者住宅があります。
この事業者については、東京都の立ち入り調査によって5年間で714件の事故などがあったにもかかわらず、680件について必要な報告が行われおらず、大きな不備があると指摘されて改善勧告が出されています。稲城市でも20件の事故報告のうち、半分以上が後から差が昇って報告をされました。引き続き、こういった施設に対する指導監督を行い、場合によっては市としての立入調査委などを行っていくことを求めていきます。


(3)介護施設の整備について
①市内の3つの特別養護老人ホームの申し込み状況について聞きます。
→平成27年10月末現在で343人です。
→この数字は複数の施設に重複して申し込みをした人の分や入所条件に該当しない数も含まれていて、在宅で暮らすことができず施設入所せざるを得ない高齢者の数を適切に反映している数ではないと認識しています。
→(6月の質問から)数字が変わったのは、1施設において申込状況の整理を行ったことによるものです。

②今後の「小規模多機能型居宅介護」「認知症高齢者グループホーム」の整備計画について聞きます。
→平成28年度に平尾地区に「小規模多機能型居宅介護」を、平成29年度に向陽台、長峰、若葉台地区のどこかに「小規模多機能型居宅介護」「認知症高齢者グループホーム」を作る予定です。

③特別養護老人ホームの整備の必要性について市長の認識を聞きます。
→特別養護老人ホームについては現時点で充足をしており、当面予定はありません。
→低所得の高齢者向けにはシルバーピア都営住宅や高齢者住宅のジョイハウスたまがわを提供しています。
<解説>
 高齢者の住まいの問題の解決は切実な課題です。民間施設頼みではなく公的な介護施設の確保や充実が必要です。市としては小規模多機能型や認知症グループホームなどの若干の建設計画貼りますが、それ以外の予定はありません。
(2)で取り上げたアミーユなどは老人ホームもサービス付き高齢者住宅も月々の入居費用が20万円を軽く超えていきます。1人暮らしの高齢者の方から「ここ(アミーユ)に入ったけどとてもお金を払いきれない。しかし、元のアパートは住居環境がわるくとても元の場所では住めないし、70歳の自分に新しく家を貸してくれるところなどとても探せない」こういった深刻な相談も寄せられています。
都営アパートもジョイハウスも二人以上の世帯が主な対象となっており、一人暮らしの高齢者の住まいの問題はこれからますます深刻になっていくのではないでしょうか。今後も必要な施設の整備について求めていきます。

4)「介護予防・日常生活支援総合事業」について
①市独自の「多様なサービス」の内容や報酬単価などの事業概要について聞きます。
→「訪問型サービスA」は日常生活に必要な家事等を行うもので、報酬単価は1回2,450円です。専門サービスとの違いは身体介護が含まれない事や人員基準の緩和などで、報酬単価は給付費の83%です。
→「通所型サービスA」は引きこもりがちな高齢者や軽度認知症等の高齢者に対して通所サービスを行うもので、報酬単価は1回2,800円~3,400円です。「通所型サービスC」は生活行為改善のための介護予防を行うもので、報酬単価は1回3,600円~4,000円です。専門サービスとの違いは人員基準や設備基準の緩和などで、報酬単価は給付費の69%~84%です。

②同サービスのサービス毎の利用者数について聞きます。
→平成27年9月時点で、訪問型Aは6件、通所型AとCは49件です。

③「住民主体による支援」の今後の計画概要について聞きます。
→今後、「生活支援・介護予防サービス協議体」での議論を踏まえて検討します。
→協議体は市内の様々な団体(介護事業者、ボランティアグループ等)の定期的な情報の共有や連携強化の場として設置するものです。
→市内全域を対象とする第1層協議体と、地域ごとに開催する第2層協議体のそれぞれにおいて具体的な地域課題について議論を始めていきます。
<解説>
 第6期計画で示された、要支援者向けの市独自のサービスが開始されています。専門的なサービスとの違いは何なのかを明らかにし、必要な人が必要なサービスを受けられるようにすることを求める立場から質問しました。
 多様なサービスとして行われているのは、「訪問型サービスA」「通所型サービスA」「通所型サービスC」の3種類で、専門的なサービスとの単価の差はだいたい20%から30%程度単価が安くなっています。単価が安くなれば利用者の負担も減るので一面的には利用者にとって良いように見えますが、逆に事業者にとっては収入が減ることになります。この間の介護報酬の切り下げで介護事業所の倒産件数が過去最高の数を更新し続けています。単価を安くしたために事業が立ち行かなくなり、サービスが利用できなくなってしまえば結果的に利用者にとって大きな不利益となってしまいます。地域支援事業は自治体が独自に単価設定できるようになっています。そういった事が無いよう、慎重な対応が必要です。
 また、「住民主体による支援」については、国が介護サービスをボランティアに肩代わりをさせて介護費用の削減を露骨に打ち出しているせいで誤解も多くなっています。一部の高齢者向けサークル活動をしている方から「自分たちにいきなり要介護状態の人を回されてもとても対応できない」と言われたこともあります。この「住民主体による支援」についてもっと具体的にイメージできるような説明等が必要であると感じます。
 私はこれらの「多様なサービス」や「住民主体による支援」について全面的に否定はしません。専門事業者による支援と組み合わせながら、多様な選択肢を用意することで様々な要求にこたえていくことができます。しかし、基本的にはこれまでの介護保険制度の中で行ってきた専門家によるサービスが原則であるとも思っています。引き続き、丁寧な説明と対応を求めていきます。
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山本 彰三

ご苦労様です。

山岸太一議員ならではの質問ですね。
後刻、じっくり読ませていただきます。

日野市議会を午後から傍聴。日本共産党の奥野りん子市議が税金滞納と「生活保護」行政などについて徹底した質問を行いました。

by 山本 彰三 (2015-12-07 17:30) 

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