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稲城市議会6月議会一般質問報告1~介護保険制度~ [市議会]

本日、市議会一般質問を行いましたので、3回にわけて報告します。
今回は「介護保険制度」についてです。

また質問に入る前に今の戦争と平和をめぐる問題について一言述べたので、それについても掲載します。

〇平和をつくっていく決意表明
 ロシアがウクライナに侵略を始めてから100日以上が経過しました。いまだにウクライナでは戦火が広がり、女性や子どもたち、民間人の被害が出続けています。このロシアの蛮行に強い憤りを覚えます。国連憲章と国際法に基づき、今すぐに侵略行為をやめ、ウクライナから撤兵することを強く求めます。
 今度のウクライナ侵略で明らかになったのは武力による侵略行為や戦争によって得るものはなにもないという事です。ロシアは世界中で孤立し、地位や名誉を失い、経済的にも大きな打撃を受けています。
 軍事対軍事では紛争や諸問題を解決することはできません。必要なのは対話と国際協調による外交努力です。軍拡競争による緊張関係の増大ではなく、憲法9条と国連憲章に基づいた外交に力を尽くすことこそが、今こそ必要です。
 私はこれからも稲城平和都市宣言にうたわれている日本国憲法の平和の精神と非核三原則の遵守による世界平和の実現に向けて、市民の皆さんと一緒に力を合わせていく決意です。


〇負担増と給付制限をやめ、誰もが利用できる介護保険制度に向けて
(1)財務省による「介護保険制度改革」について
①4月13日付「財務省財政制度分科会」の「資料1.社会保障-4.介護・障害―ケアマネジメントの利用者負担の導入等」の中で主に述べられている内容について聞きます。
→介護保険制度創設から20年を超え、サービス利用が定着し、他のサービスでは利用者負担があることも踏まえれば、利用者負担を導入することは当然である等と述べられています。
→4月のひと月のケアマネジャーによるケアプランの作成数は1,135件でした。
→ケアマネジャ―を通さずに利用者や家族が直接ケアプランを作成することは可能です。その場合の手続きは市への関係書類の提出や介護サービス事業者との連絡・調整等は全て利用者や家族が行うこととなります。過去において、そうした事例はこれまでありません。
②同資料の「軽度者へのサービスの地域支援事業への移行等」の中で主に述べられている内容について聞きます。
→要介護1・2への訪問介護、通所介護についても地域支援事業への移行を検討し、全国一律の基準ではなく地域の実情に合せた多様な人材・多様な資源を活用したサービス提供を可能にすることが効果的・効率的である等と述べられています。
→4月のサービス利用者のうちの要介護1は374人、要介護2は335人で、全体1,135件に占める割合は、要介護1および2で62.5%です。
③稲城市介護保険事業計画第9期を作成するにあたっては、これ以上の負担増や給付制限を行わず、必要な人が必要なサービスを利用できる介護保険制度にしていくことが必要だと考えるが認識を聞きます。
→第9期介護保険事業計画を作成するにあたりましても、必要な人が必要なサービスを利用できるよう、介護給付等対象サービス量やニーズ、被保険者数の推移などを的確に推計し、適切に対応してまいります。

<解説>
 2024年度からの新たな介護保険事業計画に向けて、財務省などがさらなる利用者の負担増や利用制限を打ち出しています。すでに様々な団体から批判の声や撤回を求める声明が出されています。これらの制度改悪に反対し、誰もが利用できる介護保険制度にしていくことを求める立場から質問します。
 今回、質問の土台にしたのが4月に行われた財務省財政制度審議会財務制度分科会の資料です。様々な論点がありましたが、1つはケアマネによるケアプラン作成についてです。
 現在、ケアマネジャーがケアプランを作成する行為、一般的にはケアマネジメント、制度上では居宅介護支援について利用者負担は発生していません。これを財務省は自己負担を導入するように求めています。
 この資料の中でこれまでは介護サービスを積極的に利用してもらうようにするために、ケアプランの作成については自己負担を求めてこなかった。しかし、20年経って制度も定着したので他のサービスと同様に自己負担を導入すべきであると記載しています。
 しかし、ケアマネの職能団体である日本介護支援専門員協会が見解を公表しています。その中では、そもそも居宅介護支援はただ計画書を作るというだけの役割ではない。個々の利用者の状況と様々なサービスの内容を組み合わせて、総合的かつ効率的にサービスが提供されるように実施されているものである。その役割は介護保険制度開始時から現在まで重要性は変わっていないと述べています。
 そして、訪問介護や通所介護などは利用者や家族の意向を確認しながらサービスを選択していくことができるが、ケアプランの作成はそもそも選択の余地のない行為である。サービスを選択するための行為にまで自己負担を求めれば、すべての利用者が公平に過不足なく支援を受けることのできる環境が維持できなくなってしまうとも述べています。これらの指摘はとても重要だと思います。現在、稲城市ではひと月で一千件を超えるケアプランが作成をされています。自己負担が導入されれば大きな影響がでるのではないでしょうか。
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 もう1つの問題は、要介護1・2の人の介護サービスの総合事業への移行です。これまでも要介護1・2の訪問介護のうち生活援助については総合事業に移すことが言われてきましたが、今回は要介護1・2の人の訪問介護と通所介護のサービス全体を総合事業に移すことを求めています。
 稲城市でいえば要介護1・2の人を合わせると700人を超えて、全体の利用者の6割以上を占めています。この人たちを一気に介護給付から総合事業に移していく、制度上は介護保険制度から外していくことになってしまいます。利用者の6割が介護保険サービスを使えない介護保険制度とは、制度として成り立っているのでしょうか。
 そもそも介護保険1・2の方を「軽度者」とひとくくりにする認識が間違っていると思います。私の知り合いにも要介護1や2の方がいらっしゃいます。それぞれ皆さん状況が異なっており、一定は自立した生活をされていますが家の中では車いすでないと生活できない方もいらっしゃいます。とても十把一絡げに「軽度者」とみなせる状況ではないのではないでしょうか。私はこれをそのまま進めてしまうのは、とても危険なものだと思います。
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 市も答弁で「必要な人が必要なサービスを利用できるように適切に対応していく」と答えました。国の圧力、財政上の課題、様々な状況があることは私も理解しています。しかし、だからこそ今回述べたような介護保険制度の土台が崩れしまうような負担増と給付制限は行うべきではないと考えます。
第9期計画については、これからも国の動きもありますし、市としても今年度と来年度の2年間かけて議論検討がされていきます。高齢者の生活と人権が守られる本来の介護保険制度にしていくために、これからもこの課題については取り上げていきます。


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稲城市議会3月議会一般質問報告3~南山開発と平尾近隣公園~ [市議会]

一般質問の報告の3回目は「南山区画整理」と「平尾近隣公園」について報告します。

〇誰もが安心して住むことのできる南山地域のまちづくりについて
(1)南山東部土地区画整理事業計画の第8回目の変更内容について
①事業名称の変更内容とその理由について聞きます。
→ジャイアンツタウン構想やよみうりランドの成長戦略などの新しい取り組みを踏まえ、土地区画整理事業を早期かつ確実に事業完了させ、持続可能な市街地形成を実現させるために、本事業を都市計画決定いたしました。これに伴い、事業名称が「多摩都市計画事業・稲城南山東部土地区画整理事業」に変更となります。
→都市計画決定することのメリットについては、より公共施設の担保性が図られることで、京王よみうりランド駅周辺からジャイアンツタウン構想・よみうりランドの観光資源等を含んだエリアの拠点形成や良好な住環境の形成につながるものと考えています。
②事業規模、総事業費、施行期間の変更内容とその理由について聞きます。
→第8回事業計画変更における、事業規模については変更ありません。総事業費については造成工事の見直しや、頻発する自然災害の対応などにより、見直しを行います。施行期間についてはは、現時点では変更ありません。
→「都市再生区画整理補助金」は、都市基盤整備が必要な市街地の再生を推進するために施行する土地区画整理事業に対する国の補助金です。追加された理由は、都市計画事業として位置づけたことから新たな特定財源として国から認められたためです。
→保留地の処分状況については以下の通りとなります。
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(2)これからの南山地域のまちづくりについて
①南山地域での住宅戸数増加にともない、子育て支援、教育、介護等の今後の福祉インフラへ与える影響について認識を聞きます。
→今回の事業計画変更において将来計画人口の変更はありませんので、福祉インフラに与える影響は無いものと認識しています。
→学校施設や各種子育て施設、医療機関や介護施設などの基本的な福祉インフラの整備については、第三次稲城市教育振興基本計画、第二次稲城市子ども・子育て支援事業計画、稲城市医療計画、第三次稲城市保健福祉総合計画などの各種計画に基づいて適切に整備されるものと認識しています。
②路線バスを含む今後の公共交通整備について聞きます。
→バス路線の拡充については、これまでも都市基盤整備や新たな道路整備の進捗に合わせて、早い段階から稲城市地域公共交通会議でバス事業者に要請しています。現在、バス事業者にて運行を検討してもらっています。

<解説>
 南山区画整理の新たな変更案が明らかになっています。佳境を迎えた南山計画について、すでに住んでいる人もこれからも住む人も安心して暮らしていくことのできるまちづくりを求める立場から質問しました。
 今回の変更の一番大きい点は、「都市計画決定」がされたということです。「都市計画決定のメリットは何か」と聞くと、「公共施設の担保性が図られる」という答えが返ってきました。具体的にどういったことを示すのでしょうか。
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 ポイントは、資金計画の中にある「都市再生区画整理補助金」という項目です。これは国の補助金になります。都市計画決定をした最大の理由は、国からの補助金を入れることができるということです。それによって、事業計画の収入の安定性を目指すということです。
 もう一点、気になったのは保留地の処分についてです。私は2019年6月の議会質問でも、保留地処分の実績と計画について聞いています。その時の答えでは、2021年度末までの予定として処分面積は22万㎡、金額は約306億円となっていました。しかし、今回の答弁では221年度末の実績で総額が284億円となっています。保留地処分の実績としては約22億円の開きがあります。そして今回の答弁では残り3年で100億円以上の保留地を売却する予定とのことです。これが計画通りいくのか、もし保留地処分の予定通りにいかないと収入面で大きな穴が開いてしまうことなります。今後の大きな課題ではないでしょうか。
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 今後、計画が進捗し人口が増えていく中で学校施設や各種子育て施設、医療機関や介護施設などの基本的な福祉インフラの整備を市としてはどのように考えているのかが問われていきます。人口が増えてから検討を始めるのではなく、総合的に計画して整備を行っていくことが必要ではないでしょうか。
答弁では「総合的に考えている」ということでした。南山開発に限らずですが、開発によって定住者が増えれば市税収入も増えます。それは重要なことですが、住民が増えれば行政サービスの対象者も増えて、保育園、学童クラブ、学校、そして障害者や高齢者への福祉施策の拡充が求められるのも必然です。
 私たちが暮らしや福祉のまちづくりをと言っているのは、どの地域に住んでいようと必要な人が必要な支援をちゃんと受けられるようにしてほしいという、ある意味当たり前のことを要望しているわけです。人口が増えて後から慌てて対策を取るのではなく、計画的に福祉インフラの整備を進めることをこれからも求めます。

〇平尾近隣公園の転倒防止対策による安全な公園整備について
(1)直近3年間の平尾近隣公園での転倒による事故の発生状況について聞きます。
→店頭による事故の発生については、市では把握していません。
→市民からの要望としては、新日本婦人の会より「稲城市政に関わる要望」として、平尾近隣公園及び外周道路の滑りやすい所の解消についての要望がされています。
(2)同公園での転倒防止の対策状況について聞きます。
→タイルの汚れにより滑りやすくなった園路において高圧洗浄機にて洗浄を行った後に、滑り止めテープを貼布するなどの対策を講じています。
→平尾近隣公園については昭和45年に東京都住宅供給公社により、平尾団地の開発に併せて整備され、市に移管された後、平成4年と5年の2箇年で改修工事を行っています。根本的な対策については、今後の平尾団地の再生に併せて検討していきたいと考えています。

<解説>
 平尾地域の平尾近隣公園のタイルで滑って転倒し、けがを負ったという声が市民から寄せられました。市としてのこれまでの対策を確認し、安全な公園にしていくことを求める立場から質問しました。
 今回、実際に転倒されてけがをされた方、通行人が転倒している場面を目撃した方にお話しを聞きました。転倒された方は結果的にけっこうなけがになってしまったそうですが、転倒直後は歩くこともできたので救急車を読んだりもしなかったということでした。
 しかしお話しを聞き、実際に現場も確認しましたが、確かに安全面で課題のある場所だと感じます。近隣公園のちょうど出入り口にあたる部分ですが、公園内の舗装は普通のコンクリートなのに、この部分だけがタイル状の舗装になっています。これが滑りやすく、特に雨などで水にぬれると滑りやすくなってしまいます。雨が降っているときは通るときに注意をされますが、雨上がりにぬれていることに気が付かないで滑ってしまうということです。
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 実際には市としても、対策が取られているということです。ただ現地を確認すると、一部で滑り止めテープが剥がれていたり、また汚れがまたついて滑りやすい箇所もでています。定期的な見回りや清掃等が必要ではないかと思います。これから春から夏にかけて雨が降りやすい時期にもなってきますので、こまめな対策を求めました。
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 現在の対策は重要だと思いますが、私は抜本的な対策も必要ではないかと考えます。平尾近隣公園の特殊性は、ただ公園ではなく地域と地域をつなぐ通路としての役割も果たしていることです。団地の真ん中にあることで、平尾商店街やバス停に行くために、多くの人がここを通ることになります。そして、地形に合わせて作っているので傾斜しているということで、これが滑りやすい原因にもなっています。
 新年度の予算では平尾団地の再生が計上されており、これまでの議論は平尾団地の再生とは近隣公園なども含めた平尾地域全体のまちづくり構想として考えていくというものでした。その中でも安全な公園にしていくために何が必要なのかということを議論検討していくことも必要ではないでしょうか。
根本的な対策として滑りやすいタイルを別の物に変更することや、斜面となっている箇所の見直しなど、安全な公園にしていくことについての検討を求めました。今後も状況を細かく把握しながら、安全な公園にしていくことを求めていきます。


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稲城市議会3月議会一般質問報告2~地域猫活動~

一般質問の報告の2回目は「地域猫活動」について報告します。

〇地域に暮らす住民と猫が共生できるまちづくりの支援について
(1)まちづくりとしての地域猫活動とその支援について
①TNR活動の定義について聞きます。
→TNR活動の定義につきましては、飼い主のいない猫の命を大切にし、一代限りの命を全うさせるため、地域の理解を得た中で、地域のボランティア団体の方々が捕獲を行い、不妊去勢手術をして元の場所に戻し、適正に管理する活動であると認識しています。
→TNRM活動の「M」が意味することにつきましては、手術を終えて地域に戻った猫を、ボランティア団体の方々が周辺の環境に配慮しながら管理し、最期まで見守るマネジメントの「M」であると認識しています。
②TNR活動への市としての支援内容について聞きます。
→「TNR活動」に対する市の支援につきましては、与えた餌を放置せず、排泄物の掃除を行って、地域の環境に配慮する「適切な餌やり」により、去勢手術を終えた猫が命を全うするまでを見守る、ボランティアの方々の活動内容を、市広報紙や市ホームページに掲載し、市民への周知をしております。また、周辺住民の理解を得るためにポスター掲示を行うなど、ボランティアの方々の活動をサポートしています。
→ボランティア団体の方々と地域住民との相互理解を促すための橋渡しとしての市の役割といたしましては、現在でも猫に関する相談や苦情などがボランティア団体の方々、あるいは地域住民から寄せられた際には、双方の意見を聞きながら、課題解決に向けて取り組んでいます。今後も引き続き同様に取り組んでいきます。

<解説>
 これまでも地域猫活動の支援と、人にも猫にも優しいまちづくりを求めてきました。ボランティア、行政、地域住民が協力しあいながら、人と猫が共生できるまちづくりのさらなる推進を求める立場から質問しました。
「TNR活動」については、これまでも何度か質問してきました。世間的にもだんだんと知られてきたと思います。T捕獲し、N避妊・去勢処置をして、R元の場所に戻すという考え方です。このTNRがちゃんとされた猫を地域猫とよびます。
 今、市内の動物愛護ボランティア団体などはTNR活動をさらに進めた考えとして、「TNRM活動」を呼びかけています。「M」とは、マネジメント(管理)するということです。実際問題としては捕まえて手術して元の場所に戻したら、その後の付き合いの方が長くなります。外で暮らす猫の寿命は4年~5年と言われていますが、年単位で関わる必要があります。
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私も定期的に朝夕で餌やりをしている2匹の地域猫がいますが、付き合いはもう3年くらいになります。地域猫活動として、ちゃんと管理をする。当然、餌やりは周りの人に迷惑をかけないようにするし、場合によっては最後の見取りまで行う。周辺の環境に配慮をしながら、地域猫活動をどう続けていくのか、このMが今大事になってきています。
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※私が朝夕餌やりをしている猫たち

 市がこれまでも様々な形で支援をされてきたことは、私も理解をしています。特に市広報にTNRの活動を掲載してほしいというのは、私も何度か一般質問でも提案をしてきました。広報へ掲載もしてもらい、市民の中での理解も少しずつ広がっているのではないでしょうか。そのうえで、TNRMのMに関連した市の役割も重要になってきていると思います。
 地域猫の餌やりボランティアをしている人の中には一部ですが、地域住民との共存や周辺環境への配慮よりもご自分の思いや気持ちを優先させてしまい、軋轢やトラブルとなってしまう事例があります。猫がかわいそうだからの一点突破で強引に進めることで、結果として周辺の住民にとって猫が悪者や邪魔者みたいになってしまうのは残念です。
 住民の皆さんのご理解やご協力は必要ですが、同時にボランティアの側も周りの環境に配慮をして一緒になって解決策を考えていくことが重要です。その橋渡しを行政が行っていくことが求められます。これまでも言われてきましたが、ボランティア・地域住民・行政が一緒になって、どうしたら人にも猫にも住みやすい街にしていくのかを考えることが、TNRMの実践ではないでしょうか。

(2)「適切な餌やり活動」の推進と啓発について
①猫の餌やり活動として「不適切な餌やり」の内容について聞きます。
→「不適切な餌やり」の内容については、一般的な定義づけはございませんが、周辺の理解を得ずに餌をやる行為や、他人が迷惑に感じている中で餌やりを続けているケース、いつでも食べられるように常時餌を置いておく置き餌や、猫が食べ終わった後に清掃をしない事などが該当されると思われます。
→不適切な餌やり活動に関して、令和3年度に寄せられた苦情件数は5件です。内容につきましては、駐車場で不適切な餌やりをしており、その猫が車に乗って傷を付けて困るというものや、近所で餌をもらった猫が庭に糞尿をするので困るというものでございました。この様な苦情を受けた際は、苦情者と相談した上で、近隣でお困りの方がおられることを周知するポスターを提示するほか、変動超音波式ネコ被害軽減器を貸し出すなど、必要に応じた対応を行っています。
②猫の餌やり場所に掲示している看板の内容とその位置づけについて聞きます。
→市が餌やり場所に掲示する看板の内容につきましては、ボランティア団体が見守っている猫への「適切な餌やり活動」であることをご理解いただくための看板や、ボランティア団体が関わっていない猫への餌やりに対して、やめるように注意喚起するもの、「適切な餌やり」をお願いする内容のものなどがあります。どちらの看板につきましても、環境に配慮し、不幸な猫を増やさないボランティア団体の活動をサポートする位置づけとなっております。
→看板を掲示している場所につきましては、不適切な餌やりに関する苦情が寄せられた公園や道路、民有地に、適切な餌やりを周知する内容の看板を掲示する場合や、ボランティア団体の方々が適切な餌やりを行っている場所に、ボランティア団体の活動を地域住民にご理解頂くための看板を掲示する場合がございます。看板の掲示に関して明確な判断基準は定めておりませんが、看板を掲示する場合は、ボランティア団体の方々とよく相談し、地域の環境保全に配慮した掲示を行っております。
③適切な餌やり活動を広げていくための地域のボランティア団体との協力連携体制について聞きます。
→地域のボランティア団体との協力連携体制につきましては、猫の餌やりに関する苦情や相談が市に寄せられた際に、ボランティア団体へ情報を共有し、係わりを確認した上で、近隣の方々に向けた「適切な餌やり」などを周知する看板の掲示を行うことや、市広報紙や市ホームページでボランティア団体の活動を掲載し、市民の理解を得られるように協力しています。また、ボランティア団体が係わっていない、不適切な餌やりに対しては、ボランティア活動の妨げになる行為を控えるよう、注意喚起の看板を設置するなどの体制をとっております。
→看板の文面等につきましては、以前、ボランティア団体の方々に相談したものを使用しており、看板の設置個所につきましても、ボランティア団体の方々にご意見を伺いながら対応しているところでございます。
④適切な餌やり活動を広げていくための広報啓発活動について聞きます。
→適切な餌やり活動を広げていくための広報啓発活動につきましては、不適切な餌やりを抑制するためにも、引き続き、市広報紙への定期的な掲載や、市ホームページで案内をしてまいります。
→「餌やりボランティア登録制度」につきましては、他自治体の事例なども参考に研究してまいります。

<解説>
 地域猫の餌やりについては、「不適切な餌やり」をちゃんと定義づけできるかどうかが重要であると思います。
 以前は餌やり場所に掲示している看板の文面は一種類だったのですが、今は場所によって複数の文面の看板を使い分けています。適切な餌やりがされている場所では「地域の人の理解を促す」看板を、不適切な餌やりだと思われる場所では「適切な餌やりをお願いする」看板をということです。
 餌やりについては、TNRM活動のMの活動をどのように支援をしていくのかという点が問われます。答弁で「不適切な餌やりの定義が無い」と答えていますが、稲城市として「これが不適切な餌やりです」という確たる定義がされていない状況があります。私はこの点はもう少し明確にして、不適切な餌やりを減らしていくための踏み込んだ対策が必要ではないかと考えます。
 いくつかの自治体では「餌やりボランティア登録制度」を設けることで、適切な餌やりと不適切な餌やりを明確にしている自治体もあります。稲城市でも導入について検討が必要ではないかと提案しました。
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※調布市の「ボランティア届出制度」

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※川崎市の「サポーター登録制度」

 地域猫活動への支援ということでは、TNRMのNの「避妊・去勢手術への補助」というのがよく注目されますし、それは私も求めるところです。けれど、ただ手術だけすればいいということではなく、その後にM管理も含めて考えていくことが必要です。
 猫を間に挟みながら、人にとっても猫にとっても暮らしやすいまちづくりを進めていくことが重要ではないでしょうか。私自身もボランティアの皆さんと一緒に実践を続けながら、市としてのさらなる施策の推進をこれからも求めていきます。



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稲城市議会3月議会一般質問報告1~介護保険と通学路の安全対策~

 3月3日に稲城市議会3月議会で一般質問を行いました。今回は「介護労働者の処遇改善」「通学路の安全対策」「地域猫活動の推進」「南山区画整理の計画変更」「平尾近隣公園の安全対策」の5点について質問しました。3回に分けて報告します。
 1回目は「介護保険」と「通学路」について報告します。

〇働く人の処遇改善と人員増による介護の質の向上について
(1)介護施設の人員配置基準の改悪について
①内閣府規制改革推進会議「第7回 医療・介護ワーキング・グループ」において、介護施設等の人員配置基準についてどのような議論がされたのか聞きます。
→介護施設等の人員配置基準についての議論については、委員から「ユニット型の夜間配置の見直し」や「ICTの活用や業務全体の見直しによる人員配置の見直し」などの意見が出されています。
→ワーキング・グループで紹介された北九州市でのモデル事業の主な内容は、ICT・介護ロボット等を活用した介護現場の新たな業務改善手法として「時間を生み出す介護」の実践事例です。
→令和4年2月17日規制改革推進会議の「これまでの議論の取りまとめ」の主な内容は、先進的な特定施設(介護付き有料老人ホーム)の人員配置基準について、介護施設の人員配置基準の柔軟化に関する考え方についてまとめられています。
②介護施設の人員配置基準の緩和は介護の質の低下や職員の負担増をもたらすものであり、行うべきではないと考えるが認識を聞きます。
→介護施設の人員配置基準につきましては、国において、適切に議論されているものと認識しています。
→介護従事者の処遇改善は、国において、運営基準や介護報酬の見直しなどを通じて、これまでも適切に行われて来ているところです。市としては、こうした動向をしっかりと把握していきます。

<解説>
 介護施設で働く人の人材不足を理由に、特別養護老人ホーム等での人員配置基準の緩和が国で検討されています。人員削減ではなく、働く人の処遇を改善し人員増を求める立場から質問しました。
 現在、特別養護老人ホームでは職員の配置基準を入所者3人につき職員1人とすることが最低限の基準として定められています。またユニット型と言われる施設でも1ユニットの入所者を概ね10人以下にするべきとされています。これらの基準を規制改革推進会議では、職員配置は入所者4人に職員1人にすること。ユニット型も1ユニット入所者15人以下まで広げるべきということを求めています。そして、その手法としてICT機器の活用と生産性の向上によって、人の配置を少なくしても現場が回るようにしていくと言っています。
 ワーキング・グループで紹介されている北九州市の事例では、職員が日中最大9人、夜間3人で通常は運営している特養ホームで、いろいろな対策をすることで介護士を一部介護助手に変更しながら日中最大8人、夜間2人で運営することができるようになったとのことです。
 そのために、2種類の見守りセンサーや記録システムの導入、清掃や洗濯等の外注化、業務の整理等を行っているということです。システムの導入や業務の整理は必要なことですし、結果としてスタッフにゆとりが生まれて利用者と関わる時間が増えることは重要だと思います。しかし、介護の現場は最後は人が携わることが求められる業種なわけで、業務整理だって限界はあるのではないでしょうか。
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 このワーキング・グループでは稲城市内にも施設がある大手介護事業者SONPOケアも参加をして提案をしています。自動で体位交換ができるベッド、睡眠センサー、車いすごと入れる介護用シャワーなどを活用していく、さらに利用者とコミュニケーションを取るためのコミュニケーションロボットまで導入して効率化すれば、人員を今の半分にできると言っています。そして、人にしかできない業務として「自分の歴史」「これからの夢」「終末期の医療」について利用者と職員が対話する時間を増やすんだと言っています。別世界のような内容に感じます。
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 そしてこのワーキング・グループ会議を受けて、規制改革推進会議の本体が人員配置基準の柔軟化を検証検討するための実証事業・モデル事業を今年の4月から行っていくということを決めました。しかし、これが本当に介護現場の人手不足解消につながるのでしょうか。
 今回の人員配置基準の緩和が明らかになってから、介護現場で働く多くの人たちや団体から反対の声や懸念の声が出されています。
 医療労働者や介護労働者で結成されている日本医療労働者組合連合会、医労連は「介護に生産を求めないで」と表明しています。「高齢者は『物』でな無い、感情を持った一人の人間です。生産性とは何なのか。理解できない」という現場の声が紹介されています。同じような声は、介護現場に携わる様々な団体や個人から出されています。
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 私は今行うべきは処遇改善によって介護現場で働く人を増やすことであり、安易な形での基準緩和による結果としての人員削減につながるようなことは行うべきではないと考えます。市内の介護施設で働く人たちの実態も良く聞き取りながら、市として介護労働者の処遇改善を推進していくべきではないかと求めました。
 国の方針ありきではなく、稲城市として現場で働く人たちの声も聞き、実態もつかみながら、処遇の改善によって働き続けることのできる介護現場にしていくことが必要です。これからも、私も実際に話を聞きながらこの問題について取り上げていきます。

〇子どもたちが安心して通学することできる通学路の安全確保について
(1)通学路の点検状況について
①令和3年(2021年)7月9日付文科省依頼「通学路における合同点検の実施について」の内容について聞きます。
→令和3年(2021年)6月に千葉県八街市において発生した事故を受けて、従前から行っている通学路の合同点検等を補完するものとして、子供の視点にも配慮しながら、これまでの合同点検等の蓄積を十分に活用し、地域の実情を踏まえた効率的・効果的な点検の実施を通じて、通学路の安全対策を依頼するものです。
→「通学路における合同点検等実施要項」の「5.その他」の内容については「過去に危険箇所の指摘がありつつも、継続的に関係機関等で認識されていない課題が見られるところ、危険個所や対策必要箇所については、児童・保護者、地域住民、関係機関の認識を高め、広く協力を得られるよう、地域の実情に応じ、具体的な対策の予定の有無に関わらず、可能な限り幅広く、各市町村のホームページ等に公表等することが望ましい。」というものです。稲城市としましては具体的な改善事項について教育委員会が取りまとめ、各学校及びPTAに報告して情報共有を図ってきています。
→今後、ホームページ等での公表により事故抑止などの改善が確認できるようならば公表について検討をしていきます。
②点検によって判明した市内の通学路の状況について聞きます。
→市では、令和3年(2021年)6月に千葉県八街市において発生した事故を受けて、令和2年度(2020年度)の合同点検で課題となっていた21箇所を緊急点検として現地調査を実施し、点検状況について関連部署と情報共有を行いました。令和3年(2021年)10月にPTA及び学校から提出された154箇所の改善要望をもとに現地確認を行っております。
→ 課題となっていた21箇所の主な内容につきましては、「信号の設置や変更」「道路の拡幅」「商店敷地内の灰皿の撤去」「下り坂の自転車減速のための柵増設」などです。具体的な改善状況は、信号については多摩中央警察署で交通量調査を行うなど一部変更の検討をしています。また、下り坂の自転車減速のための柵増設については、通行する方の利便性に考慮し前年度にポストコーンや看板を設置し対応しています。

(2)安全な通学路の確保について
①これまでの通学路の安全対策について認識を聞きます。
→通学路の安全対策につきましては、PTA及び学校、道路管理者、警察署等と教育委員会による通学路合同点検の実施及び学校における児童・生徒への交通安全指導等により対応しております。
→令和3年度(2021年度)合同点検で実施した対策の種別ごと件数につきましては、今後実施する予定のものを含めまして「ガードレール」の延長が1件、「ポストコーン」の設置が12件、「横断歩道や信号機」の設置又は移設が3件、「注意看板」の設置又は交換が19件、「カラー舗装や道路標示」の塗り直しが22件、でございます。
②今後の通学路の安全対策について認識を聞きます。
→今後も通学路合同点検の実施及び学校における児童・生徒への交通安全指導等により対応しております。
→通学路の交通安全対策につきましては、通学路合同点検などで、対策が必要とされた危険箇所につきまして、これまでにも補助金等も活用し、安全施設の拡充を講じてきております。今後につきましても、補助金等の有効活用を含め安全対策に取り組んでまいります。

<解説>
 通学路の安全確保については、市議会でもたびたび取り上げられてきました。特に2021年6月に千葉県で起きた通学中の児童が死傷した事故を受けて、全国で緊急点検が行われて同年の9月議会でも議論がされました。その時に議論を踏まえながら改めて市としての取り組み状況を確認し、子どもたちが安心して歩くことができる通学路にしていくことを求める立場から質問しました。
 文科省は千葉県での事故を受けて、2021年7月に通学路の緊急点検を全国の自治体に依頼をしました。そしてその時の依頼文書の付属資料として「通学路における合同点検等実施要項」というものを一緒に送っています。その中では、通学路の点検内容については「可能な限り幅広く、各市町村のホームページ等に公表等することが望ましい」としています。 030406.jpg  多くの自治体では「通学路の安全対策」とホームページを検索すると、点検箇所と結果が一覧で分かるようになっています。稲城市は「PTAと情報共有している」と言いますが、これでは「可能な限り幅広く」とはなっていないのではないでしょうか。国の実施要項に準じて安全点検の内容をホームページにも掲載をする必要があるのではないかと提案をしました。
 緊急点検では21か所を点検したということですが、けっきょくこの21か所も具体的にどの地域のどの部分なのかわからない状況です。まずは、全容が誰でもちゃんとわかるようにすることが必要ではないでしょうか。
 教育委員会は安全対策として「子どもたちへの交通安全指導を行っている。今後も交通安全指導を行う」と答えています。これまでの議会答弁でも、ソフト面の対策として子どもたちへの安全指導や必要に応じて通学路の変更などを行ってきたと答弁しています。しかし、それこそ千葉県で起きた交通事故はそもそもガードレールの無い歩道に車が突っ込んできたわけで、とうていソフト面だけで対応できるものではありませんでした。ソフト面だけでなくハード面の対策も必要ではないでしょうか。
 ハード面の対策として今年度は57件の対策をしているということです。重要なのはソフト対策とハード対策をしっかりと組み合わせていくことです。国の新年度予算案の中に通学路のガードレール整備等に使える新たな補助金の新設を行うということも明らかになっています。そういった制度も活用してハード面の整備を進めるべきではないかと提案しました。
 もう一つ重要なのは、区画整理施工中の地域内での対策です。本来であれば早急な対応が必要にもかかわらず、区画整理中であるということで通学路の安全対策が未実施になっている地域があるのではないでしょうか。
 例えば、榎戸区画整理地域の「多摩7・5・2号公園通り梨の道線」です。ここは一部区間はガードレールがありますが、ほとんど区間が歩道と車道の区別がない状況になっています。ここを普通に車が通って、子どもたちが通学時に横断しています。いつまでこういった状況にしておくのかということです。
030407.jpg

 個別の課題はそれぞれあると思います。しかし、区画整理地域ということで看板を置いてドライバーに注意を促すということだけではなく、ハード面の対策も含めたもう少し明確な対応が必要だと指摘しました。交通安全や子ども安全対策は気の回しすぎと言われるくらいの配慮が必要だと思います。今後も通学路の安全対策について取り上げていきます。
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学童クラブの定員増について [市議会]

 1月31日に市議会福祉文教委員会が開かれ、行政報告が行われました。その中で、2022年4月からの学童クラブの定員増が市から報告されたのでご報告します。

〇学童クラブの受入定員の拡大について(緊急対策)
1.緊急対策の基本的な考え方
 2022年度の学童クラブの需要増に対して、緊急対策として受入定員を拡大する。また、現在の育成室で受入定員の拡大ができない場合は、可能な範囲で他に育成室を確保する。
 ・現在の市内の総定員数:855人 → 新たな総定員数:1,016人(161人増)

2.定員を増やす学童クラブ
・以下の表の通り
0131.jpg

3.今後について
 学童クラブの保留(待機)児童については、今回の緊急対策により概ね解消することができるが、地域によっては状況が異なるので今後も検討していく。

<解説>
 日本共産党稲城市議団からは田島議員が福祉文教委員として参加をしました。田島議員および参加した議員の質疑を紹介します。

Q8か所161人の定員拡大だが、これまでこの規模の定員増をしたことはあるのか?
→緊急対策として行うのは初めてです。
Q今のタイミングで定員拡大をすることになった理由は?
→宅地開発等による人口増と学童クラブの需要増による学童の申し込みが年々増加していたために、緊急対策として実行することとなりました。
Q「今後について」で「地域によって状況が異なるので、今後も検討していく」としているが、募集状況によってはさらなる定員拡大も行うべきではないか?
→個々の定員増は予算を伴う内容だが、必要な対応については検討していきます。
Q「新たな育成室を確保する」学童の対応はどうするのか?
→第一小学校、第六小学校、南山小学校では他の教室を活用する予定です。
→平尾小学校については第3文化センターにかつて学童クラブとして使っていた部屋があるので、そこを活用します。これについては公設公営の学童とします。

 学童の定員拡大についてはこの数年にわたって議会質問などで要望されてきました。私も2021年6月議会から3回連続で定員拡大を求め、保護者の方からも2千近い署名が提出されました。今回、ついに定員拡大がされるということで大きな前進であると考えます。
 引き続き、学童を必要とする子どもたちが安心して学童を利用できるように子育て支援の強化を求めます。ぜひ、ご意見ご要望がありましたらお寄せください。
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稲城市議会12月議会一般質問報告2~学童の待機児解消と保育園での感染防止について~ [市議会]

一般質問の報告の2回目は「学童クラブの待機児解消」と「保育園の感染防止対策」について報告します。

2.必要な人が利用できる学童クラブの定員増について
(1)稲城市の学童クラブの現状について
①市内の学童クラブにおいて、学校内設置と学校敷地外設置の施設の役割や入所要件等の違いについて聞きます。
→それぞれで役割や入所要件に違いはありません。
→入所にあたっては、すべての児童が市内のすべての学童クラブに申請することが可能です。
②市内の学童クラブ毎の児童1人あたりの専用面積の値について聞きます。
→以下の表の通りです。
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(2)待機児解消のための取り組みについて
①特別教室等の学校施設を臨時的に学童として活用することについて、これまでの取り組み状況を聞きます。
→これまでの取り組みとしてはありません。
→放課後に使用しない教室を学童として使うことに法的な問題はありません。
②「安心して働くためにも学童を利用させてほしい」という保護者の切実な声をしっかりと聴く必要があると考えるが認識を聞きます。
→市では、学童クラブを利用できない児童につきましては、希望するすべての児童が利用できる放課後子ども教室を全校で実施することで対応しておりますが、令和4年度以降の受け入れ定員増につきましては、放課後児童支援員の配置等、様々な課題の解決に向けて検討しております。
→市民から出された要望内容については「来年度以降の学童クラブの受け入れ数増員」と「学童クラブに入る資格のある全ての児童の受け入れ」が要望されました。
<解説>
 利用資格があるのに学童を利用できないことに対して解決を求める保護者の声が多数寄せられています。他市の事例も参考にしながら、様々な工夫による受け入れ枠拡大を求める立場から質問しました。
 学童について質問をするのは3回連続です。6月の第2回定例会では待機児の数を含めた現状認識について、9月の第3回定例会では「学童クラブ」と「放課後子ども教室」の違いや学童の必要性について明らかにしてきました。ここまで言ってきましたので、市としても学童クラブに対するニーズはあるということ、学童を増やす必要があるということは理解してもらっていると考えます。そのうえでどのように増やしていくのか、どのような増やし方があるのか提案的に質問しました。
 前回の一般質問で指摘をしたように、稲城の学童の待機児は地域的に偏りが大きくあります。待機児が集中をしている地域と逆に定員の空きが増えている地域の差が出ています。これを平準化していくということが一つの対策としてはあるのではないでしょうか。
 他市においては学校内設置学童の入所対象はその学校に通っている児童のみに限定し、学校敷地外設置の入所対象は限定をしないと区別をしている自治体があります。人口密度が高く平坦な地形の自治体などでは、学校と学校の中間地点の児童館などに新たな学童を設置してそれぞれの学校内の学童で待機児となった児童が通えるように誘導したりして分散的に受け入れるようにしています。
 稲城の場合は既存市街地やニュータウン地域、坂浜平尾地域といった地形的な制約がどうしてもあります。城山小や向陽台小の学童に空きがあるからといって、矢野口や大丸の地域からすんなりと通えるという訳ではありません。しかし、稲城の学童は誰がどの学童に申し込んでも良いとなっています。この受け入れ状況のギャップをうまく慣らしていくというのは、臨時的な対策としてはひとつあるのではないでしょうか。
 また、各学童の児童一人当たりの面積もかなりばらつきがあります。最大で一人当たり2.48平方メートルから、最小で1.65平方メートルということです。前回の質問で、市は児童1人あたり1.65平方メートル以上を面積の基準としていると答弁しています。人の配置の問題もありますので、面積に余裕があるからその分を単純に増やせるということではありませんが、一定の余地はあるのではないでしょうか。ただ、数字上で余地があるからといってぎりぎりまで詰め込めば良いと言っているわけではありません。それぞれの学童の部屋の構造も違いがあると思います。子どもたちの安全が確保できるような形で、必要なら新たな部屋の確保しながら定員を増やしていくということが求められるのではないでしょうか。
 そういった意味では、音楽室や家庭科室などの特別教室を臨時的に活用することも一つの方策です。稲城ではそういった取り組みはこれまでしてこなかったということですが、「法的には問題ない」という答弁もされました。当然、運用上の課題などあることは理解していますが、教育委員会や学校現場とも話し合ってもらいながら対策の一つとして検討してほしいと求めました。
 そして、最後にともて重要な答弁がされました。今後の対応について、従来の「放課後子ども教室の活用」という点は変わりありませんが、そこに追加して「来年度の定員増については課題解決に向けて検討をしている」ということです。前々回および前回の答弁から大きく前進をしています。
 保護者の皆さんも学童の定員を増やしてほしいと要望されています。私たち議員にも保護者の皆さんの要望書が届けられました。市の内外から1800を超える署名がされたということです。署名を提出された皆さんにお話しをお聞きしましたら、追加の分を合わせて1900を超える署名数となったとのことです。
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※届けられた要望書

 実際に署名活動を始めたのが11月の初めで、実質的に三週間程度の短い期間にもかかわらず多くの人たちが協力をしてくれたこと、自治会や保育園が協力をしてくれる地域もあったとのことです。前回の答弁から大きく前進をしたというのは、こういった市民の皆さんの声も大きかったのではないでしょうか。
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※要望書に添付されていた資料

 要望書を出された皆さんや何とかしてほしいと願っている保護者の皆さんの置かれている状況は切実ですので、ぜひ期待にこたえられるように市にはがんばってほしいと思います。この学童クラブの待機児がちゃんと解消されるようにこれからも市民の皆さんと力を合わせていきます。


3.感染症から子どもたちを守るための保育所等における感染拡大防止の取り組みについて
(1)緊急事態宣言下の保育所等のあり方について
①緊急事態宣言中の保育所等の開所閉所および児童の登園休園についての市としての考え方を聞きます。
→厚生労働省から出された令和3年4月23日付事務連絡では、保育所等については感染防止策を徹底しつつ原則開所となっており、市としてもそれに基づき対応を行いました。
→「登園自粛」」の要請については令和2年4月10日から5月6日までと、令和3年8月26日から9月30日までの2回行いました。保護者への周知については、保育園等の施設長から保護者へ文書等により周知を行い、市ホームページに掲載しました。登園を控えた場合の保育料の減免については、感染防止の理由から休所届を提出された場合には1か月単位で免除の取り扱いとしました。
②家族や児童本人が濃厚接触者およびその疑いがあるとなった際の登園休園についての市としての判断基準について聞きます。
→児童本人が濃厚接触者となった場合は、従来は保健所の判断としていましたが、今後は登園停止を要請していきます。児童の家族が濃厚接触者または児童本人が濃厚接触者疑いがある場合は、従来は保護者の判断としていましたが、今後は登園自粛を要請していきます。
→見直した内容については、私立保育園園長会において説明し、市から保育所等の施設長に文書で通知を行い、施設長から保護者に伝えてもらいます。市ホームページにおいても周知します。
③緊急事態宣言下において感染拡大を防ぐため、市内の各保育園と市が連携しながら対策を取っていくことが必要であると考えるが認識を聞きます。
→これまで私立保育園園長会等で情報共有し、連携を図り対応してきております。
<解説>
 新型コロナ感染症の第5波は収束をしましたが、第6波について警鐘が発せられています。諸外国では感染者が増加傾向にあり、新たな変異株も明らかになっています。子どもたちが集まる保育所等において、感染拡大を防ぐために保育園と市による連携強化を求める立場から質問しました。
 緊急事態宣言の最中、国は「保育園は原則開所」という方針を出していました。しかし、多くの市で「登園自粛」の要請が出されました。稲城市も登園自粛要請を出したということですが、他市では自治体が直接保護者に手紙を作って配ったのに対して稲城はホームページに掲載しただけで、保護者に対しては「保育園側」から連絡するように指示をしていました。保育料についても、他の自治体では自粛要請中に保育園を休んだらその期間だけ保育料等を日割りで減額するような対応をしたのに、稲城は「休所届を出して、1か月単位での保育料減額」というものでした。決して、柔軟な対応であったとは言い難いと感じます。
 濃厚接触や濃厚接触疑いの際の対応は、これまでは保健所や保護者の判断としていましたが、今後は市の基準として登園停止や休止を求めていくということです。これらのお知らせについては、市として文書を作って各保育園を通じて案内をするということです。これは大事なことだと思います。例えばさいたま市では、子どもや家族が感染や濃厚接触またその疑いとなった場合の詳細なフローチャートをつくり、それを市長名でホームページに掲載したり保護者に配布したりしています。市としての判断基準ですので、それがちゃんとわかるようにすることが必要ではないでしょうか。
 やはり、感染状況が拡大をしていく中では保育園側と市がしっかりと連携を取っていくことが重要ではないでしょうか。市内の保育園の皆さんにお話しを聞くと、市としてももう少し前に出てほしかった。濃厚接触疑いの時の判断なども、市としてもう少し早く統一基準を決めてほしかったという声があります。ぜひ、そういった声については、稲城市としてもしっかりと受け止めてほしいと述べました。

(2)クラスター発生時の対応について
①クラスターが発生した際の保育園関係者、児童、保護者への市としてのサポートやフォロー体制について聞きます。
→保健所の指示に従うことを基本に、保育園関係者と連携して対応していきます。
→市内で発生したクラスター疑い事例の際には、クラス休園と児童の登園停止、クラス休園等必要な情報を市ホームページで周知し、PCR検査の手配、登園停止期間中の保育料の減免などを行いました。
②クラスターが発生した際の情報の公表基準について聞きます。
→日時や発生場所など必要な情報を公表していくこととしています。
③クラスター終息後も安心して保育が実施できるように、保育園と市が連携しながら対策を取っていくことが必要であると考えるが認識を聞きます。
→これまで同様に市と保育園等が連携して対応していきます。
<解説>
 新型コロナ第5波の中で、稲城でも市内の保育園で子どもの感染が分かり当該保育園のクラスを一時休園をする状況となりました。結果的に複数人の感染はなくクラスターとはならなかったのですが、クラスター疑いという事例になりました。その際に、市としては登園停止の要請、検査の実施、保育料の減免やクラス休園についてホームページで周知をしたということです。
 このホームページでの周知について、市民から声が届いています。「休園をしたのは必要な対応だが、保育園名やクラス名までホームページに掲載する必要があったのだろうか」というものです。保育園名やクラス名まで明らかになれば、地域の中ではそこに通っている子どもや家庭までわかってしまうわけです。もう少し、この点については配慮をしてほしかったという声が出されています。市は「プライバシーには配慮をしている」と答えました、実際にはこういった声が届いています。今後の対応として、さらなる配慮を求めました。
 今回、初めての事態で保育園も市も苦労をしたとは思いますが、やはり他市などでは感染予防や登園休園について市が文書を作成して保護者に伝えるようにしています。児童福祉法で保育の実施義務は自治体の側にあるのですから、それが果たされるように市が積極的に責任を果たしていくことが必要ではないでしょうか。引き続き、安全で安心な保育事業が行われるために保育園と市による連携強化を求めていきます。

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稲城市議会12月議会一般質問報告1~介護保険制度~ [市議会]

12月1日に一般質問を行いました。今回も3回にわけてご報告します。
1回目の報告は「介護保険制度」についてです。

1.社会全体で高齢者の暮らしを支える介護保険制度の実現に向けて
(1)令和2年度東京都福祉保健基礎調査「高齢者の生活実態」について
①この調査の結果概要の「第4章-2-(2)介護の状況」の内容について聞きます。
→「介護を受けている」割合は73.7%520人、「介護をうけていない」割合は20.0%141人でした。介護を受けている人のうち、介護者が「子供」である割合が54.2%で最も高いという結果でした。
→平成27年度と令和2年度の調査との比較については、「対象者本人の介護をしている人」の回答割合が増加したのは「子供」及び「ホームヘルパーなどの介護職員」で、減少したのは「配偶者」です。「最も介護をしている時間が長い人」の回答割合が増加したのは「子供」で、減少したのは「配偶者」及び「ホームヘルパーなどの介護職員」です。
②同調査の結果概要の「第6章-2介護が必要になったときの高齢期の住まい」の内容について聞きます。
→上位の回答として「現在の住宅に住み続けたい」は44.5%、「介護保険で入居できる施設に入所したい」は19.1%、「わからない」は11.9%、「高齢者向け住宅に入居したい」は11.3%でした。
→「介護保険で入居できる施設に入所したい」と回答した人の世帯構成別では単身世帯では22.0%、配偶者と2人暮らしでは19.9%、二世代では17.4%、三世代では14.3%でした。また、「現在の住宅に住み続けたい」と回答した人の割合については、配偶者ありでは48.3%、配偶者なしでは38.3%です。
③同調査の結果概要の「第11-1高齢者に対する必要な施策や支援」の内容について聞きます。
→上位の回答として「年金や医療など国の社会保障制度」が54.2%、「ひとり暮らし高齢者に対する支援」が52.0%、「特別養護老人ホームなどの施設の充実」が49.3%でした。
→平成27年度と令和2年度の調査との比較については、回答割合が増加したのは「年金や医療など国の社会保障制度」及び「ひとり暮らし高齢者に対する支援」、減少したのは「特別養護老人ホームなどの施設の充実」及び「夜間の訪問介護や訪問看護などの、介護者が自宅を訪問する形態の在宅サービス」です。
④今回の調査結果は、今後の稲城市の介護保険事業にも反映をさせていくべきではないかと考えるが認識を聞きます。
→本調査は、東京都全域の傾向を知るものとして重要ではございますが、市の介護保険事業におきましては、市内高齢者を対象とした「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」結果等を踏まえ策定した、稲城市介護保険事業計画に基づき推進してまいります。
<解説>
 東京都が5年毎に行っている「高齢者の生活実態」調査の結果が明らかになりました。「介護の社会化」という介護保険制度の理念の実現のために、市としてもこれらの調査結果を検証、反映させていくことを求める立場から質問しました。
 今回の調査で最もクローズアップされているのが、介護を受けている人のうち介護者が「子供」である割合が54%で最も高いということです。夫や妻などの配偶者や、ヘルパーなどの介護職員ではなく、子供が介護をしているということです。
 5年前の調査との比較でも、介護者が子供である割合は前回の47.8%から54.2%と6ポイントの増です。逆に配偶者は38%から30%へと8ポイント減っています。最も介護している時間が長い人は、子供がプラス5ポイント、配偶者がマイナス10ポイント、介護職員はマイナス5ポイントです。前回調査では介護者は子供が一番高く、介護時間が長い人は配偶者でしたが、今回調査はどちらも子供が一番高い割合を示しました。
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 これまで国を挙げて「介護離職ゼロ」だと言われてきました。「親の介護で、子供が離職するようなことはあってはならない、そのための対策が必要」だと言われてきましが、実態はこういう状況です。
 もう一つ深刻なのは、最も介護をしている時間が長い人の割合で介護職員が5ポイントも減少しているということです。この間、介護報酬が改訂されるたびに訪問介護等でサービスにあたる時間がどんどん細切れにされてきています。生活援助や身体介護をもっと時間をかけて関わりたいのに、それがやりづらくなっているという介護現場からの声がずっと出されていますが、その実態がここに反映されているのではないでしょうか。
 住居の問題では、約半分の人が今の家にそのまま住みたいと思い、約2割の人が介護保険で入居できる施設に住みたいと回答されています。ただ世帯別や配偶者の有無別でみると、単身の人ほど今の家ではなく介護施設などの入居を望む傾向が高いということです。今後、この傾向はますます増えてくるのではないでしょうか。
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 政治や行政に求めるものとしては、「社会保障制度」「一人暮らし高齢者の支援」「特養ホームなどの施設の充実」が上位3つの回答となっています。やはり社会保障制度全般を何とかしてほしいという、その意識が表れているとみるべきではないでしょうか。
 今回の都の調査は東京都全域の傾向を知るものとしては十分な役割を持っているのではないでしょうか。これまでの一般質問で指摘をしてきましたが、介護保険制度の改定がされるたびに利用に制約がかかり、負担が増えていき、ますます使いづらくなっている現状があります。社会全体で介護を支えるという最初の介護保険制度の理念がだんだん遠くなり、家族介護に回帰をしているかのような気さえします。
 必要な人が必要なサービスを受けられる介護保険制度にしていくことがますます求められているのではないでしょうか。これからも、介護保険制度の改善を求めていきます。


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稲城市議会12月議会が始まります。 [市議会]

 11月26日から、令和3年(2021年)稲城市議会第4回定例会(12月議会)が始まります。新型コロナ第6派に備えるための対策、子育て支援、まちづくりの課題などについて議論がされます。
 また今議会から、1年以上にわたって“自粛”となっていた議会傍聴が再開をされます。インターネット中継とともに、ぜひ議会傍聴に足をお運びください。

<議会の主な日程>
11月26日(金) 議会開会(議案説明)
12月 1日(水) 一般質問 ※山岸は1日の10時頃から、岡田議員は2日の14時頃から、
   ~6日(月)  〃    田島議員は6日の10時半頃からの予定です。
    7日(火) 補正予算委員会
    8日(水) 総務委員会
    9日(木) 福祉文教委員会
   10日(金) 建設環境委員会
   16日(木) 最終日(報告、討論、採決)

<山岸・一般質問の項目>
1.社会全体で高齢者の暮らしを支える介護保険制度の実現に向けて
 東京都が5年毎に行っている「高齢者の生活実態」調査の結果が明らかになりました。「介護の社会化」という介護保険制度の理念の実現のために、市としてもこれらの調査結果を検証、反映させていくことを求める立場から質問します。

2.必要な人が利用できる学童クラブの定員増について
 利用資格があるのに学童を利用できないことに対して解決を求める保護者の声が多数寄せられています。他市の事例も参考にしながら、様々な工夫による受け入れ枠拡大を求める立場から質問します。

3.感染症から子どもたちを守るための保育所等における感染拡大防止の取り組みについて
 新型コロナ感染症の第5波は収束をしましたが、第6波について警鐘が発せられています。子どもたちが集まる保育所等において、感染拡大を防ぐために保育園と市による連携強化を求める立場から質問します。

4.資源ごみ集団回収補助金制度の維持継続について
 この間、議会質問でも取り上げられているように古紙単価の低下により資源ごみ回収に苦労しているという声が出されています。大事な制度である集団回収補助金制度を今後も維持継続していくことを求める立場から質問します。

5.新たな道路整備に伴う交通安全対策の実施について
 市街地開発や区画整理事業の進展により新たな道路整備がされていますが、それに伴って様々な課題も発生しています。事故が起きる前に対策を取っていくことを求める立場から質問します。

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※市役所から見える風景はまだ秋の気配です

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稲城市議会9月議会一般質問報告4~大規模高盛土工事の見直しと安全なまちづくり~ [市議会]

一般質問報告の最後は、「大規模盛土工事」について報告します。

〇.危険な大規模盛土工事の点検と見直しによる安全なまちづくりに向けて
(1)市内の大規模盛土造成地の全容について
①国の「大規模盛土造成地の滑動崩落対策」に基づく変動予測調査の内容について聞きます。
→既存の宅地について、大規模盛土造成地の有無とそれらの安全性の確認をする調査です。この調査のうち、大規模盛土造成地の抽出を行う調査を「第一次スクリーニング」、対象地が地震時に崩落を起こすかどうかを計算等により確認する調査を「第二次スクリーニング」としています。
②第一次スクリーニングの実施状況と市内の大規模盛土の状況について聞きます。
→東京都が調査を行い、平成26年に大規模盛土造成地マップを公表しています。それによる、市内の大規模盛土造成地は76か所となっています。
→これら既存の大規模盛土造成地において、崩落や土砂崩れなどの事故が起きたことはありません。
③第二次スクリーニングの実施状況および今後の予定について聞きます。
→現在、第二次スクリーニングを行うべき盛土造成地を抽出するための評価手法について、検討を進めていると発表されています。第二次スクリーニングに着手している自治体は多摩地域には未だありません。
<解説>
 熱海市伊豆山で起きた土石流災害は甚大な被害となっています。その大きな原因としてあまりに杜撰な盛土工事であったことが指摘されています。市内の盛土造成地の現状について総点検を行うこと、危険な盛土工事は見直すことを求める立場から質問しました。
 まず前提として熱海で起きた災害については、その工事内容も含めてあまりにも杜撰すぎるもので、市内で過去に行われた、またこれから行われる盛土工事について同じ状況のものであるとは思っていません。ただ同時に、こんどの熱海での災害は盛土工事が終了して11年たってから起きています。盛土というのはできた直後は何ともなくても、10年、20年、50年経つ中で事故や災害が起きてくるということです。これは、盛土工事に根本から存在している問題ではないでしょうか。それにどう向き合っていくのか、そこが問われていくのだと思います。
 この間、国の方針を受けて東京都が都内の大規模盛土の状況調査を進めてきました。それによる、面積3000平方メートル、高さ5メートル以上のものを大規模盛土造成地として定義しているとのことです。分布状況調査(第一次スクリーニング)と安全性確認調査(第二次スクリーニング)の2段階に分けながら2009年から開始されているということです。
 第一次スクリーニング調査によると、市内の大規模盛土造成地は76か所あり、主にはニュータウンや区画整理の地域で行われています。本来は、ここから安全性を確認する第二次スクリーニング調査に入らなければならいのですが、第二次スクリーニングについてはどれを調査すべきかどうかの基準が定まっていないので、そもそも調査に入れていないということです。これまで、既存の大規模盛土で崩落等の事故が起きたことはないとのことですが、第二次スクリーニングまで行って調査としては完了するので、早期な着手を求めました。
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※東京都が公表している大規模盛土造成地マップ。データはこちからから

(2)「根方谷戸高盛土工事」・「ランド谷戸高盛土工事」について
①それぞれの工事の概要について聞きます。
→以下の表の通りです。
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→盛土造成については学識経験者による「造成工事検討委員会」の答申に基づき、雨水を堤体内部に滞水させないように盛土内に排水シートや砕石層などによる排水施設や、計測機器として挿入式傾斜計、層別沈下計、間隙水圧系を設置しています。
→排水施設として盛土内の地下水を集水して盛土から排除する集水ドレーンや、盛土内に地下水等の侵入を防ぐため地山からの浸透水を集水して排除する暗渠排水を設置しています。
②平成19年6月12日付「造成工事検討委員会答申書」における「雨水、湧水排水処理対策」および「施工に対する要請事項」の審議結果の主な内容について聞きます。
→雨水排水処理については、盛土内に排水施設を設置し、堤体内部に滞水させないように十分配慮すること。また盛土施工期間だけではなく、完成後も沈下、安定に関する懸念が無くなるまで十分長期に渡る観測を実施することとなっています。
→盛土造成の計測については、公園・緑地として組合から市に移管された後は、関係部署とも連携しながら、公園・緑地を所管する部署が安定性を継続的に把握していきます。
③「根方谷戸高盛土」について、区画整理組合解散後の監視・保全・補修を市の責任で行うことについて市長の認識を聞きます。
→根方谷戸の盛土造成後については、公園として組合から市に移管されましたら、市が適切に管理を行っていきます。
④「ランド谷戸高盛土工事」について、最新の知見や気象環境を取り入れた見直しが必要ではないかと考えるが認識を聞きます。
→盛土造成工事については、最新の法令・基準に基づくとともに、盛土災害対策の専門家による技術的知見を取り入れ、最善の工事計画とされています。この工事計画に基づき、東京都の許可を得ており、高盛土造成として十分な安全性が確保さています。
<解説>
 南山区画整理工事の一部である、2つの高盛土工事についてはこれまでも何度も一般質問で取り上げてきました。2つの高盛土の1つである根方谷戸高盛土は完成をして、ランド谷戸高盛土は今年の11月から工事が開始をされます。
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※南山区画整理の全体図(赤線)と高盛土工事個所(青線)

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※完成した根方谷戸高盛土と、ランド谷戸高盛土の工事予定箇所

 東京都は盛土の高さ5メートル以上を「大規模盛土造成地」として定義していますが、この高盛土は48メートルや38メートルと5メートルどころではない高さとなっています。
 根方谷戸高盛土はすでに完成をしています。工事そのものに反対をしてきましたが、これから必要なことは何か。それは、今後長期間にわたってこの盛土が崩れないに管理していくことです。盛土工事にお墨付きを出した「造成工事検討委員会答申書」で繰り返し指摘されているのは、「盛土の中に水を溜めないようにすること」と「盛土完成後も雨水や地下水がすぐに排水できるようにすること」です。そのために、この盛土の中には莫大な数の排水シートがひかれていて、パイプや溝が縦横に通っています。こういった排水管や排水溝が目詰まりしないように整備していくことも重要です。
 区画整理は工事が終われば、その主体者である区画整理組合は解散をしてしまいます。そうなったら、盛土の管理責任は稲城市が果たしていくしかありません。市長は「適切に管理をしていく」と答えましたが、この盛土が存在していくかぎり管理責任がずっと問われるということです。ランド谷戸の工事はこれからです。危険な工事の中止、完成した盛土の責任もって管理・監視体制の構築をこれからも求めていきます。


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稲城市議会9月議会一般質問報告3~介護保険の利用者負担軽減について~ [市議会]

市議会一般質問報告の3回目は、介護保険制度について報告します。

〇利用者負担の軽減によって、誰もが安心して利用できる介護保険制度に向けて
(1)「補足給付」の見直しによる大幅値上げについて
①8月から実施された「補足給付」の見直し内容について聞きます。
→主な見直し内容は、食費の助成について第3段階を2つの段階に区分して、第3段階②を新設したことや、ショートステイでの食費についての見直しがされております。また、所得段階に応じて、助成要件となる預貯金等の基準の見直しが行われております。
②「補足給付」を利用している人数と、8月の見直しによって影響を受ける人数について聞きます。
→7月末現在で349人です。新たに設定された第3段階②となった人は107人です。
→食費の見直し額は利用者が直接事業者に支払うことから、市では利用者の負担額の正確な把握はできませんが、標準的な見直し額としては施設入所では日額710円、ショートステイでは、日額650円程度の増額です。
→「食費」等の負担が増えたことで生活が厳しくなった場合の負担を軽減する制度は介護保険にはありませんが、状況をお聞きして必要に応じて生活保護等の福祉制度において支援をいたします。
→「介護保険サービスに係る利用者負担額軽減制度事業」については、低所得者で生計が困難な高齢者に対し、社会福祉法人等が利用者負担を軽減する福祉制度です。軽減の申し出をした社会福祉法人等が実施する介護サービスが本制度の適用となります。現在、市内で介護サービスを提供している社会福祉法人5法人のうち3法人が対象となります。市窓口や地域包括支援センターなどで冊子を配布しており、またホームページに制度に関する掲載をするなど、事業の周知を行ってきております。
③国に対して「補足給付」の要件を2005年10月のスタート時点に戻すことを求めるべきと考えるが認識を聞きます。
→今回の見直しについては、高齢化が進む中で負担の公平性と制度の持続性を高める観点から、負担能力に応じた負担となるよう必要な制度改正が行われており、以前の内容に戻す必要はないものと認識しています。
<解説>
 今年の8月から介護保険の施設利用者の負担軽減制度の「補足給付」が見直され、一部の利用者のさらなる負担増が実施されました。負担の実態を明らかにし、負担軽減により安心して利用できる介護保険制度実現を求める立場から質問しました。
「補足給付」とは、2006年に介護保険の報酬改定されたときに特養や老健などの施設やショートステイに新たに家賃が導入されたことからはじまっています。家賃や食費が負担できない所得の低い人が施設から出されてしまうという声が上がり、それを補うため住民税非課税世帯などの一定の所得段階の人については家賃や食費を減額して、その差額分を介護保険から施設に対して給付をすることにしたものが補足給付です。
 補足給付の対象者は所得の状況によって第1段階から第3段階に分かれてきました。今回の見直しは第3段階とされてきた人を、第3段階①と②に分けるということです。これまで、世帯全員が住民税非課税で本人の年金収入が年80万円以上の人は第3段階だったのが、80万円の区切りで第3段階①に、120万円の区切りで第3段階②に分けたということです。そして、現在の補足給付の利用者349人中107人、約3割の人が新しい「第3段階②」に移行して、値上げになるということです。
 この107人の方が特養などの個室なのか、大部屋なのか、ショートステイのどれを利用しているのかによって、負担額の幅は変わってきます。例えば、施設入所の大部屋の方だと1日710円、ひと月だと約2万2千円、年間だと約26万円の値上げになるということです。年金なので、本人の収入は前年と変わっていません。収入はまったく変わっていないのに、26万円も値上げされるわけです。年金収入がぎりぎり120万円の人にとっては、年収の2割に相当する値上げです。
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 それでは、生活が厳しくなったらどうすればいいのでしょうか。市は「生活保護がある」ということでしたが、本当にそれだけなんでしょうか。厚労省は過去の補足給付の見直しの際に「社会福祉法人等による生計困難者に対する利用者負担軽減制度事業」の利用についても周知をするようにしています。こういった制度についても、ちゃんと案内をするべきではないでしょうか。
 今回の補足給付の値上げについては、制度の持続性のためだということです。しかし、今のままでは、制度の前に利用者の生活が破綻してしまうほうが早いのではないでしょうか。そもそも、補足給付の対象は住民税非課税世帯の方々です。もともと厳しい暮らしをしている人たちの負担をあえて引き上げる、しかもこのコロナ禍で様々な困難を多くの人が強いられている中で実施をする。これはあまりにも冷たいのではないでしょうか。
 しかも、対象はショートステイも含めて施設を利用している方々です。在宅介護に困難があるから、施設を利用しているわけです。この負担増によって施設の利用が継続できなかったらどうなるのか。これまでさんざん介護離職ゼロだと言ってきた。親の介護を理由にした離職はなくそうと旗を振ってきたのに、施設介護の利用を制限して、困難な在宅介護にどんどん戻していこうというのでしょうか。
 国はまずは自助だと、言ってきました。年金収入は決まっていて、これ以上上がる可能性のない人たちにどうやって自助をしろというのでしょうか。弱い立場の人を弱い立場に追いやっていく、まさしく自己責任と自助の政治そのものだと思います。介護保険利用者と家族に最も近い地方自治体こそが、こういう弱い立場の人たちを守る姿勢を持つべきです。これからも、高齢者の権利と暮らしを守ることのできる介護保険制度を求めていきます。
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