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稲城市議会9月議会が終わりました。 [市議会]

 昨日、平成30年度第3回稲城市議会定例会(9月議会)が閉会しました。
 日本共産党稲城市議団は市長提案議案21件中19件に賛成し、議員提出議案4件中3件に賛成し、陳情1件に賛成しました。各議案の賛否は、以下の通りです。(議案名称は一部省略しています)

<総務委員会関係>
〇個人番号及び個人情報の利用に関する条例の一部改正 賛成:全員

<福祉文教委員会関係>
〇地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正に伴う関係条例の整理 賛成:全員
〇訴えの提起について 賛成:全員
〇教育委員会教育長の任命について 賛成:全員
〇教育委員会委員の任命について 賛成:全員

<建設環境委員会関係>
〇下水道事業の設置等に関する条例 賛成:全員

<補正予算委員会関係>
〇一般会計補正予算 賛成:全員
〇土地区画整理事業特別補正予算 賛成:全員
〇介護保険特別会計補正予算 賛成:全員

<決算委員会関係>
〇平成29年度一般会計決算の認定について 賛成:中山、原島、渡辺、坂田、池田、つのじ、大久保、市瀬、小沢、荒井、藤原、榎本、佐々木、中田、鈴木、伊藤、梶浦、村上/反対岡田、山岸
〇平成29年度国民健康法保険事業特別会計決算の認定について 賛成:全員
〇平成29年度土地区画整理事業特別会計決算の認定について 賛成:中山、原島、渡辺、坂田、池田、つのじ、大久保、市瀬、小沢、荒井、藤原、榎本、佐々木、中田、鈴木、伊藤、梶浦、村上/反対岡田、山岸
〇平成29年度下水道事業特別会計決算の認定について 賛成:全員
〇平成29年度介護保険特別会計決算の認定について 賛成:全員
〇平成29年度後期高齢者医療特別会計決算の認定について 賛成:全員
〇平成29年度病院事業特別会計決算の認定について 賛成:全員

<議員提出議案>
〇稲城市議会委員会条例の一部改正 賛成:全員
〇東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の自転車競技ロードレースコース整備への財政支援を求める意見書 賛成:全員
〇モニタリングポストの継続配置について地元自治体の意見を十分に尊重することを求める意見書 賛成岡田、山岸、荒井、藤原、榎本、佐々木、伊藤、村上/反対:中山、原島、渡辺、坂田、池田、つのじ、大久保、市瀬、小沢、中田、鈴木、梶浦
〇伊藤ちか子議員に3回目の辞職を勧告する決議 賛成:中山、原島、渡辺、坂田、池田、つのじ、大久保、市瀬、小沢、榎本、佐々木、中田、鈴木、伊藤、梶浦/反対岡田、山岸、荒井、藤原、村上

<陳情>
〇保育士等人材不足解消・処遇改善及び待機児童解消に関する陳情書 賛成岡田、山岸、荒井、藤原、榎本、佐々木、伊藤、村上/反対:中山、原島、渡辺、坂田、池田、つのじ、大久保、市瀬、小沢、中田、鈴木、梶浦

<解説>
 9月議会は昨年度の決算を審査する決算議会でした。日本共産党は一般会計決算と区画整理特別会計決算に反対をしました。私が行った、反対討論について掲載をします。

〇一般会計決算と区画整理特別会計決算への反対討論
 日本共産党稲城市議団を代表して、第39号議案「平成29年度東京都稲城市一般会計歳入歳出決算の認定について」と第41号議案「平成29年度東京都稲城市土地区画整理事業特別会計歳入歳出決算の認定について」の2つについて反対の立場から一括して討論します。
 私たちは本決算審査にあたって1.市民の切実な願いにどう応えたのか、2.予算の執行が適切に無駄なく効率的にされたのか、3.開発優先から自然環境を守り暮らし・福祉・教育最優先になっているのか、という3点を基準に質疑を行いました。
 平成29年度一般会計決算では、市民の声に答えて職員の努力により前進や改善をした項目も多くあります。
 上平尾消防出張所の開所により、救急出場が大きく改善されています。特に平尾地域では救急出場してから現場に到着するまでの時間が前年度の9分14秒から3分43秒と大幅に短縮されています。それにより、市全体での到着時間も短縮され、より迅速に救急の要望に応えることができるようになっています。引き続き、地域の防災や救急の要とした役割を発揮してもらうことを期待します。
 iバスについては路線の見直し・改善を行ったことで乗車実績が前年度より増加し、収支も改善をしました。これからも市民や利用者の要望をしっかりと聞いて更なる本数や路線の増便などの改善を求めます。
 市職員の労働環境の改善として時間外勤務の削減も重要です。時間外勤務の一人当たり年間平均時間が131時間から97.7時間に下がり、月あたりにすると10.9時間が8.1時間と約2時間削減されています。それぞれの部署の中で管理職を先頭に工夫をされているということです。職員の健康を守り、長く働ける環境を作っていくためにも、労働環境の改善はこれからも重要な課題ではないでしょうか。
 その他にも、就学援助費新入学学用品費の前倒し支給、公民館の施設修繕、選挙管理委員会による平成29年衆議院選挙の運営、平和コンサートやくらしフェスタの開催、介護分野での通いの場支援補助金など、暮らし・福祉・教育の市民生活の改善のために施策が実施されたことは重要であると考えます。
 次に改善を求める施策についてです。
 多摩サービス補助施設の返還と共同利用について、東京都市長会を通じて返還を求めたということですが、米軍基地施設がある自治体として直接米軍に対して返還を求めるべきではあります。また、共同利用についても公園利用や自然散策だけではなく、施設内にある旧日本軍の火工廠施設の調査研究や見学ができるようにこちらも直接米軍に求めることが必要です。
 中高生の居場所づくり事業については、市内で子どもたちの暮らしや生活を支援し、放課後の居場所を提供する多彩な活動が広がっている実態を把握し、そういった様々な活動に対して援助をしていくことが求められるのではないでしょうか。
 受験生チャレンジ支援貸付事業についても、子どもたちの学習や教育について支援する活動が市内でも様々な形で行われています。貸付そのものは相談した人の1割程度にしか実施されていません。しかも、社会福祉協議会への委託ということで内容について市は関与をしていないという立場です。市として子どもたちの学びを支援する施策の実施が求められるのではないでしょうか。
 子育て対策では認可保育園の一時保育の利用について、その数しか把握をしていないということですが、一時保育は子ども子育て支援計画でも事業計画が位置付けられているものです。実施についてもできる保育園がやればいいということではなくて、どういったニーズに基づいて利用がされているのか、どういった事業が求められるのかを市として主体的に把握していくことが求められます。また、保育士確保対策としての宿舎借上支援金については、予算よりも利用が大きく下回っています。利用しやすい補助制度にしていくためにも十分なニーズの把握や意見聴衆などを求めます。
 マイナンバー関連施策では、コンビニでの住民票と印鑑署名書の発行について、総発行数の5%を目途にしたもののその半分程度の発行に留まっています。マイナンバー事業についてコンビニ交付によって市民サービスの向上に寄与すると答弁されていますが、実態としては活用がされていない状況があります。
 公園駐車場使用料についても、5千万円を超える収入があり必要経費は2千万円程度しかかかっていません。3千千万円を超える黒字が出ているのなら、それを市民や利用者に還元をすべきであり、無料時間の延長などについて検討が求められるのではないでしょうか。
 こういった課題のある事業については、今後も一般質問等で見直しを求めていきます。
 最後に決算認定に反対する理由について述べます。
 まず、子育ての問題では認可保育園の待機児童問題は深刻な実態です。年度当初の時点で認可保育園を希望して入れなかった子どもの数は254人だったのが、年度末には469人にまで膨れ上がっています。これではとても市民や待機児童解消を願う保護者の声に答える内容とはなっていないのではないでしょうか。
 待機児童対策が遅れる中で、開発にはお金を注ぎ込む状況は変わりません。歳出合計335億円のうち土木費が37億円と11%を占めており、引き続き支出の1割超が土木費となっています。多摩地域26市でも土木費が歳出の10%以上となっている自治体は数えるほどしかありません。
その中でも、多3・4・36号線小田良上平尾トンネル整備工事の支出は重大です。本来であれば小田良と上平尾の区画整理組合が実施するはずであったトンネル工事を市が肩代わりをするような形で実施をしています。29年度決算では工事費4億5400万円が支出されています。半分は東京都の予算から支出し、残り半分を市が負担している。地方債と一般財源を組み合わせて2億2700万円を市からお金を出しています。なお、平成29年度予算を審議する予算特別委員会建設環境分科会において、わが党の岡田議員の質問に対して市は「純然たる一般財源は51万3千円」と答弁していますが、今回の決算審議では私の質問に対して「純然な一般財源が1億2410万円」と答えています。50万円のはずだった一般財源の支出が1億2千万にまで膨らんでいる。この点をふまえても支出としての在り方に疑問をつけざるを得ません。
 また土木費37億円のうち14億8600万円、約4割が区画整理特別会計への繰出金となっています。区画整理特別会計では事業費16億円のうち南山東部区画整理と小田良区画整理に3億1千万円の補助金が支出されています。南山東部区画整理には2億5千万円の補助金が出され、総計では19億円を超えています。貴重な里山を削り取り、危険な盛土工事を進める区画整理事業に補助金を支出しつづけることについては認められません。
 以上の理由により、第39号議案平成29年度一般会計決算と第41号議案平成29年度区画整理特別会計については、開発優先の内容であり市民の切実な願いに応えたものではないと判断をして反対いたします。

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※帰宅時に出迎えてくれたわが家の猫
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稲城市9月市議会一般質問報告3~第四保育園民営化と市長の教育への姿勢~ [市議会]

一般質問の最後は、「都営大丸跡地の福祉利用(第四保育園民営化)」と「市長の教育に関する姿勢」について報告します。

5.都営大丸跡地の福祉利用で誰もが集える福祉のまちづくりについて
(1)大丸都営跡地の新保育園について
①新保育園の歳児別の定員について聞きます。
→0歳児が22人、1歳児および2歳児がそれぞれ30人、3歳児が46人、4歳児および5歳児がそれぞれ47人で合計222人を想定しています。
→現在の第四保育園の定員との差は0歳児が13人、1歳児が15人、2歳児が10人、3歳児が26人、4歳児および5歳児が22人、それぞれ増を想定しています。
②第4保育園で実施された保護者説明会で出された声について聞きます。
→8月3日と21日に開催した保護者説明会と意見募集で出された意見等につては、駐車場の設置や駐輪場の屋根の設置、主任保育士の人数増など、施設面や運営面に関する意見がありました。また、民営化の心配はないという意見もありました。
→今後は9月19日に保護者説明会を開催する予定です。
③「公募条件」と「民営化ガイドライン」の関係制について聞きます。
→民営化ガイドラインで事業者の選定方法や選定基準など民営化に向けての方向性を定め、これを基に公募要項で公募条件を詳細に定めるものです。
→8月3日と21日の保護者説明会にて「第四保育園民営化ガイドライン(案)」を基に保護者から意見を集約し、さらに9月19日に予定している保護者会でも意見を集約して作成する予定です。
(3)都営跡地の福祉利用について
①地域住民の声を聞いて、さらなる跡地利用として高齢者や障がい者(児)のための施設づくりを決断すべきと考えるが認識を聞きます。
→高齢者や障がい者のための福祉利用も含めた構想提案について、包括的な視点から庁内で検討し、東京都へ要望しています。
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現在の第四保育園

<解説>
 大丸都営跡地への新保育園建設に伴い、第四保育園の民営化について保護者説明会などが行われました。第四保育園の民営化については、7月30日のブログ記事にて紹介しましたが、さらに詳細が明らかになっています。
 第四保育園と大丸新保育園の定員の差は0歳が9人から2.4倍の22人、1歳と2歳は2倍に、3歳から5歳は1.8倍の定員数になります。4歳児と5歳児は47人です。小中学校の1クラス分よりも大きくなります。第四保育園の保護者や園児にとってはいきなり巨大な保育園に移行することになります。
 私の手元には、8月3日と21日に市が行った説明会で配られた資料があります。ここではこういった保護者の声が載っています。
「他の公立保育園の民営化と比べてスケジュールが短くないのか。選定までの時間が短いように感じる。いきなり説明会をして2週間で意見を募集、一か月あまりで公募開始とは保護者の意見を精査する時間が短い」
「200人越えの保育園を稲城市では運営していない。移管に問わず人数が多いことでのリスクの抽出と対応をまとめてほしい」
「いきなり200人超えはしてほしくない。段階をおって人数を増やすようにしてほしい」
「第四保育園のアットホームな雰囲気が好きなのでできる限り少人数の保育園にしてほしい」「説明会や懇談会の開催のお知らせから実施までの日数が少ない」
「クラスの人数について、40人で1クラスになるのか、20人で1クラスになるのかによっても、変わってくる。実際にどのような運営方法で行うか」 等々です。
 8月3日に配られた資料では今後のスケジュールについて、8月3日に保護者説明会、8月4日の土曜日に資料配布と意見募集、8月16日に意見を締切、8月21日に説明会。9月22日には近隣説明会を行って、9月下旬に公募を開始するというものです。つまり9月19日の説明会で民営化ガイドラインを決定して、公募に向けて段取りを取りたいということでしょう。
 今回の第四保育園の民営化についてですが、私はそのプロセスや内容に大きな問題があると考えています。
 問題点の1は、そもそも「民営化をしなくても、大丸都営跡地に新保育園を作ることはできる」ということです。都営跡地に作る新しい保育園については、東京都は「公募を行って民間の事業者を決定してください」と求めているだけです。現在の公立保育園を民営化することは条件にはふくまれていません。第四保育園を民営化しなくても、公募を行って新しい民間保育園を作れば東京都との関係ではなんの問題もありません。基本的に、「第四保育園の民営化」と「都営跡地の新保育園の建設」はまったく別物の話だということです。
 問題点の2は、「過去の保育園民営化、第一保育園や第二保育園に比べて保護者への説明が短すぎる」ということです。第2保育園の建替と民営化では、「2014年8月と9月に市からの説明会」「9月に保護者会内に園舎建設推進委員会設置」「10月に保護者会から市に要望書を提出」「12月に民営化ガイドライン作成懇談会を3回開催」「11月~12月に全保護者へ民営化ガイドラインの賛成反対を聞くアンケート実施」「翌年1月に民営化ガイドライン完成」という、約半年近い段取りを踏んで民営化について検討がされました。
 ところが、今回の第四保育園は「8月3日と21日に市から説明会」「9月下旬民営化ガイドライン完成」というほぼ1ヶ月半で決定をしようとしています。第二保育園は定員が約110人から民営化後150人になりましたが、第四保育園は112人が222人以上と2倍になります。たったこれだけの期間で議論で進めていいのでしょうか?
 そして問題点の3は、「第四保育園民営化の本当の理由はなんなのか?」ということです。第四保育園が民営化された後に、空になった園舎を第6保育園の園児が使うことが予定されています。第六保育園は建物の耐震が基準以下だということが以前から判明しており、建物の耐震工事を行う必要がある。工事期間中は第六保育園が使えないので、代わりに第四保育園の園舎を仮園舎にするという計画です。
手元にある東京都の資料よれば、2012年の時点で第六保育園の耐震基準がNGであることが、市に報告されていました。しかし、市は「市長判断により第六保育園の耐震工事を行う場合の工事中仮園舎費用を鑑みて建設実施せず」として、耐震工事を先送りしてきました。そして、今回の話です。
 たまたま第四保育園が空くので、渡りに船で第六保育園の仮園舎に使おうということではなくて、そもそも第六保育園の仮園舎として第四保育園を使いたいがために第四保育園を民営化してカラにする必要があったということではないでしょうか。実際に委員会答弁でも、第四保育園を仮園舎にすることで費用が安くなるという説明がされています。
 東京都は方針で2020年度中にすべての都所有の建物の耐震工事を終わらせることを決めています。そのためには、とうしでも第四保育園を2020年度にカラにしなくてはいけない。逆算すると、ここで公募を始めなければ民営化できなくなる。第六保育園の耐震工事のための仮園舎費用を出したくないために、なんとしても第四保育園を民営化し、園舎をカラにして第六保育園の仮園舎にすることが今回の大きな目的なのではないでしょうか。だからこそ、ここまで短期間で強引とも思えるやり方で民営化を実施させようとしているのではないでしょうか。とても園児や保護者、働いている職員の事を第一に考えたやり方とは私は思えません。
 日本共産党は基本的に公立施設の民営化については反対の立場です。しかし、同時に保護者の思いや考えなども大事にして、仮に民営化されるにしても丁寧な説明と対応を求めてきました。少なくとも第二保育園などは民営化されるまでの対応については、だいぶ気を使って丁寧に要望なども聞いてもらったと思います。
 しかし、今回の第四保育園の民営化については、これまでの民営化とは異質なやり方だと言わざるを得ません。あまりにも「期日ありき」で強引に進めようとしています。こういったやり方について私たちは断固反対です。待機児童対策として都営跡地に新保育園を建てるのはおおいに賛成です。どうぞ、第四保育園の民営化と切り離して作ってください。第六保育園の耐震工事については、仮園舎を建てるために東京都にも財政支援をお願いして、やはり第四保育園の民営化とは切り離して早急に工事を進めてください。今後、第四保育園の民営化問題については地域の皆さんや保護者の皆さんに情報提供をしながら、しっかりと声を集めていきたいと思います。


6.髙橋市長の教育に関する姿勢について
(1)「教育再生首長会議」の目指す目的や理念について聞きます。
→教育再生首長会議については、「教育再生こそ地域再生、日本再生の根本」という理念のもと、義務教育をあずかる基礎自治体が連携し、地域の特性を活かした教育施策を展開していくことを目的としております。
(2)市長が「教育再生首長会議」に参加する理由について聞きます。
→同会議の理念が私個人の考えと一致していることから、参加しています。
(3)政治による教育への介入は行うべきではないと考えるが市長の認識を聞きます。
→教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保しつつ、市長は教育委員会と十分な意思疎通を図り、地域の教育の課題やあるべき姿を共有して、より一層民意を反映した教育行政の推進を図るものと認識しています。

<解説>
 髙橋市長が幹事の一人となっている教育再生首長会議について、会費が特定の教科書支援団体に使われていることが新聞報道で報じられるなど、組織の在り方や目的について疑念が生じています。こういった組織に参加をすべきではないという立場から質問しました。
〇教育再生首長会議の成り立ち
 教育再生首長会議は2014年6月に山口県防府市の松浦市長を会長にして設立されました。今年の6月4日現在で会員数131人、東京では6人の区長・市長が会員になっています。高橋市長は昨年度から会の運営側である幹事になっており、熱心に参加をしています。規約に明記されている事業内容は「1.教育基本法の理念・目標を実現するための事業」「2.ふるさと教育、偉人教育に関する調査研究」「3.先進的な教育の取り組み事例に関する調査研究」「4.道徳・歴史・公民教育に資する調査研究」「5.適正かつ公正な教科書採択に関する調査研究」「6.本会からの広く関係機関等への情報発信・政策提言」となっています。
〇教育再生首長会議の実態
 この間、教育再生首長会議の運営について新聞報道がされています。教育再生首長会議の会員から集められた会費の中から約1200万円のお金が日本教育再生機構という組織に事務局委託金という名目で支出されていたというのです。
 日本教育再生機構というのは2006年に「新しい歴史教科書をつくる会」が分裂してできた団体のひとつで、歴史教科書の育鵬社教科書の執筆者や編集関係者が役員として複数参加をしており、この育鵬社教科書の採択拡大を活動の柱に位置付けています。理事長は八木英次さんという大学教授で、安倍晋三首相の政策ブレーンとして知られています。
 この間、教育再生首長会議に首長が参加をしている自治体で公費の支出などについて情報が公開がされています。幸い高橋市長は私費で参加をされているようですが、例えば九州・沖縄地区から参加している21人の首長の皆さんは全員年会費等を公費から支出していました。そういった形で支出された公費が、教育再生首長会議を経由して、結果として特定の教科書採択を目指す団体に還流をしていたというわけです。そもそも、八木英次さんは教育再生首長会議の設立を目指す第1回準備会から参加をしていて、設立趣意書や規約の作成に密接に関わっています。この教育再生首長会議のそもそもの出発点や組織の在り様からしてちょっと通常とは違うという感じがします。
〇市長と教育委員会の在り方
 政治と教育の関わりがどうあるべきなのか、私たち政治に携わる者は本当に慎重にならなくてはいけないと思います。学校の課題などについて質問することもたくさんありますが、それは教育環境の問題として聞くのであって、学校運営や教育内容について質問するときは慎重に行うように心がけています。
 2012年に先ほど紹介した日本教育再生機構の地方組織である日本教育再生機構大坂がシンポジウムを開催し、八木英次さんを司会に安倍晋三さん~当時は民主党政権時代だったのでまだ自民党は野党でした~と、松井大坂府知事が対談をしています。教育再生機構ですから、育鵬社の教科書採択の拡大を目指す組織としてその進め方などについて議論する中で、安倍氏は「首長が教育について強い信念をもっていれば、その信念に基づいて教育委員を変えていくんですよ」「そうすればそういった教育委員によって育鵬社の採択ができる」と語っています。特定の教科書を採択させるために首長が自分の意に沿う教育委員を選べいいんだと、堂々と言っています。
 もう一点、昨年ある歴史の教科書を採択して私立の中学校に対して県議会議員や国会議員、自治体の首長なども含めた200枚以上の抗議のハガキが送り付けられたということが大きな話題になりました。中学校の校長はこれをふりかえって「政治的圧力と感じざる得ない」と見解を公表しています。そのハガキの差出人の中に、先ほど紹介した教育再生首長会議の初代会長で現在は顧問になっている山口県防府市の松浦市長もいるというのです。ちなみに当該の私立中学校は兵庫県にあります。山口県ではありませんが、なぜか松浦市長は実名で「防府市長」とか「教育再生首長会議会長」などの肩書をつけて送ったことが明らかになっています。報道番組のインタビューで松浦市長はこの教科書については「読んだことはなくて、見たことはある」「20~30通はおくった」「もし政治的圧力と感じたのならごめんなさいね」と話されています。
 教育再生首長会議について調べるとこういった話しが様々出てきます。市長が参加する団体として適切なのでしょうか。疑念を持たれるような組織には参加をすべきではないと思います。これからも、市長がどういった姿勢で教育にのぞんでいくのかを注視していきます。

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稲城市9月市議会一般質問報告2~地域猫活動とブロック塀~ [市議会]

稲城市議会一般質問の報告の2回目は「動物愛護と地域猫活動」と「危険なブロック塀の撤去」についてです。

3.猫や犬が大切にされる地域づくりについて
(1)「地域猫活動」の理解促進と支援について
①「地域猫」とそれを支援する活動について認識を聞きます。
→「地域猫」については、環境省のガイドラインにおいては「地域の理解と協力を得て、地域住民の認知と合意が得られている、特定の飼い主のいない猫」であるとされています。地域猫を支援する活動については「これ以上猫をふやさない」「エサやりによる迷惑を防止する」などを目的とした活動であると認識しています。
→これまでも飼い主のいない猫への無責任な餌やりやふん害についての苦情・相談が寄せられた際は、市内のボランティア団体と情報を共有しながら、職員が現場に出向いて飼養三原則のチラシを配布するなどの対策に努めています。地域猫活動も飼い主のいない猫対策の一つとして認識しています。
②市内における飼い主のいない猫への餌やり活動の現状と課題について聞きます。
→市で把握している餌やり活動の現状は、ボランティア団体が27か所で餌やりを実施していると聞いています。課題としては、住民の中には猫が嫌いな人やアレルギーで近寄れない人もいることから、地域の合意形成が困難な場合があることなどです。
→市の役割としては、これまでも苦情や相談が寄せられた際は、市内のボランティア団体と情報を共有しながら対策に努めています。
③近隣自治体で実施されている地域猫活動をするボランティア等の登録制度の概要について聞きます。
→飼い主のいない猫の世話をするボランティアグループの登録制度を実施し、登録グループに対して行政が支援を行うとともに、地域の猫問題について、行政とグループが協力しながら対応している事例などがあると聞いています。
→飼い主のいない猫については、適切な管理を行うことにより、自然と猫が減少していくとされています。このことから、地域特性を踏まえた上で登録制度だけでなく、様々な手法について他自治体の先進事例なども参考に研究していきます。
→すでに市では、無責任な餌やりやふん害などについての苦情・相談が寄せられた際は、市内のボランティア団体と情報を共有しながら、対応しているところです。
④「地域猫活動」の市民理解を広げ、啓発していくことについて認識を聞きます。
→「地域猫活動」については、将来的に飼い主のいない猫をなくしていくための取り組みであり、市としては飼い主が責任ある飼い方をする終生飼養の理解を進めていくことが大切であると考えており、引き続き飼養三原則について啓発していきます。
→具体的な取り組みについては、市ホームページやチラシ等により周知を行っているほか、市内のペットショップに協力してもらい、新たにペットを購入される方に終生飼養や飼養三原則が記載されたリーフレットを配布してもらっています。
<解説>
 これまでも、飼い主のいない猫と地域が共生できる街づくりを求めてきました。市としてより一層の支援を求めるとともに、高齢の飼い主に対する施策の実施を求める立場から質問しました。
 地域猫活動のボランティア登録制度の根幹は、登録したボランティアに対して行政が支援をしながら、一緒に協力しながら対応をしていくということです。適切な餌やりを行うことで、結果として猫が減少していくことになります。そうすることで、それこそ猫が苦手な人にとってもプラスな状況が生まれるわけです。そういう意味では適切な餌やり、つまり地域猫活動を行う人たちを市が支援し、一緒に協力をしていくということがとても重要になってくるのではないでしょうか。
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※川崎市のサポーター登録制度のパンフレット

 これまでのやり取りで、現在の市の立場は「ボランティア団体と情報共有をする」ということまでは実施しますが、「ボランティアの人たちと一緒に協力して活動を進める」とか「支援をする」という立場にはまだなっていないわけです。ここに矛盾が出てきています。以前は情報共有もなかなかできていなかったから、その頃に比べれば一定の前進はしています。しかし、情報の共有はしていても、実際に物事を進める段になるとギャップが生まれています。
 この間、餌やりや避妊・去勢のための猫の保護に関して地域住民とボランティア団体との間でトラブルが起きる事例が何件か起きています。私自身も関りをもった事例もあります。そういった時に市がどういう対応をするのか、どちらの立場につくのかが、今問われています。
 私が関わった事例でも住民の人の方が飼養3原則を無視していて、飼い猫に避妊や去勢の手術をしないで自由に放し飼いにしていました。結果としてその猫が、地域の野良猫と交配して子猫が生まれて、その地域の中で飼い主のいない猫が増えてしまっています。ボランティアの皆さんが猫を保護して避妊や去勢手術をしようとしたら、それに対して暴言を浴びせたり暴力的な行為にまでおよんで妨害したりした事例です。
 明らかに動物愛護法にも、東京都動物愛護管理推進計画にも外れた行為です。本来であればこういった人には市として毅然と対応をしてほしいわけです。現在の社会状況と法や指針が求める内容を説明して、「あなたの飼い方はまちがっていますよ」と言ってほしいわけです。ところが、現場でそれが言えません。なぜなら、市としての基本的な指針が定められていないからです。飼養三原則についてもあくまでも「お願い」という立場で、要請や指導という立場でものが言えないわけです。そうすると、いざトラブルが起きても中立的な立場となってしまい、本来のあるべき形としての解決がされないわけです。
 ボランティア団体の人からは「いろいろ情報共有をしていて、こちらが目指す方向や内容についてよくわかっているはずなのに、いざトラブルになると我々の味方をまったくしてくれない」と逆に不信が増してしまっています。これは現場の職員の問題ではありません。現場の職員のみなさんは置かれた立場の中でがんばってくれていますが、上の方で指針や行動規範が定まっていないものだから、よく言えば「中立的」悪く言えば「どっちつかず」みたいな対応にならざるを得なくなってしまうんです。
 ボランティア団体のみなさんは必死です。一匹でも不幸な猫を増やしたくない、地域の中で猫が邪魔者扱いされて虐待みたいなことは絶対起こしたくない。だから、一匹一匹猫を捕まえてカンパでお金出し合って手術もして、なるべく地域に迷惑の掛からないように対策を取ろうとしている。日中なんか捕まえられないから、夜の8時とか9時とかにわざわざ現場に出向いて地道に猫を保護しているんです。そういった皆さんを、応援していく、協力していくという立場に市は立ってほしいわけです。
 市は、基本は飼養三原則の啓発だけという立場です。もう論点は明らかです。飼養三原則だけでは、現在すでに存在している飼い主のいない猫を取り巻く問題については対応できません。動物愛護法および東京都ハルスプランに基づいて、市が飼い主のいない猫を地域猫にしていくための活動指針を定めること、それが今後の進むべき方法です。そろそろ現場任せにしないで、上が決断すべき時です。次回は、近隣市の実態を調べて具体的に提案をしていきたいと思います。今後もこの問題に取り組んでいきたいと思います。

(2)高齢者の飼い主への援助について
①猫や犬などの「多頭飼育崩壊」について認識を聞きます。
→飼い猫や飼い犬が多量に繁殖して、飼育できなくなることについては、不妊去勢手術を実施していないことや、繁殖の知識が飼い主にないことなどから、飼育当初は数匹であったものが多量に繁殖することによるものです。
→市内においては平成29年に1件、個人宅で猫が多量に繁殖しているのではないかと相談がありましたが、多頭飼育により飼育できなくなっている状態ではないということを確認しています。
②高齢者が入院等の理由で猫や犬の飼育困難な事例が起きていることについて認識を聞きます。
→高齢者の入院等に伴い、猫や犬が飼育できなくなったという事例については、調べられる範囲では平成30年度に相談が1件ありました。
→こういった飼育困難を未然に防げるよう、飼い主の責任において新しい飼い主を自分で探すことについても啓発していきます。
③飼育崩壊や飼育困難を防ぐための取り組みについて認識を聞きます。
→市ホームページにて周知しています。また、毎年開催している犬の飼い方講習会で避妊去勢手術についてお勧めをしています。
→稲城市はこれまで個々の状況に応じ、健康課と環境課が連携しあい、市内の動物愛護団体とも連携を図りながら対応ができている状況であり、特に多頭飼育崩壊による問題は発生していません。今後も引き続き現状の対応を継続していきます。

<解説>
 市内で猫や犬の多頭飼育崩壊についての具体的な問題は、今のところ発生していないということです。この間、ニュースなどでは愛知県名古屋市で相当深刻な多頭飼育崩壊が発生して、行政が介入をしたという事が報道されました。実はお隣の多摩市でもそれに近いような状況が起きているようで、知り合いのボランティア団体の人が関わっています。どこでも起こりうる可能性があるし、一度起きてしまうと解決のために多大なコストが必要になります。未然に防ぐことが最大の解決策です。
 今後ポイントとなるのは健康課と環境課だけではなく、そこに高齢者福祉部門を加える必要があることです。多くの飼育崩壊や飼育困難の事例を見ると、かなりの割合で高齢者が飼い主とのことです。
 犬は最低限の登録制度はありますが、猫はありません。高齢者で猫を飼っていて、将来的に飼育困難な状況になりそうかどうかは、介護職の皆さんが一番わかっているはずです。そういった情報なども組み合わせながら、飼育崩壊や飼育困難を未然に防いでいく。その仕組みづくりを今後作っていく必要があるのではないでしょうか。
 この問題についても、他市の事例を調べながら具体的に今後具体的に提起をしていきたいと思います。引き続き、猫や犬が大切にされる地域づくりについて取り上げていきたいと思います。


4.危険なブロック塀の撤去による安全なまちづくりの推進について
(1)公共施設のブロック塀について
①6月21日の調査で判明した公共施設のブロック塀の精査状況について聞きます。
→対策が必要なブロック塀は5か所で、対策が必要な万年塀は3か所です。
(2)民有地のブロック塀について
①民有地のブロック塀の調査状況について聞きます。
→9月末までに市内全域の道路等に面した1.2メートルを超えるブロック塀等を対象に調査を実施しています。
→調査が終了して集計を行った結果、目視確認で危険と思われるブロック塀等がある場合、痛ましい事故を防ぐために、再度、ブロック塀等の関係者へ専門家による点検を受けるようにお願いをします。
②ブロック塀の撤去等に関する補助制度の内容について聞きます。
→補助制度の内容は、生垣の造成に必要な経費の一部を補助することにより、接道部の緑化を推進するとともに、ブロック塀等の倒壊による災害の発生を防止することを目的にした補助を実施しています。この補助制度は、ブロック塀等の撤去だけの場合は補助の対象外となります。
→補助制度の活用状況は平成25年度は5件、平成26年度は2件、平成27年度は0件、平成28年度は2件、平成29年度は4件となっています。
→補助制度の対象の拡大や新たな補助制度の実施については、他市の事例なども調べながら研究していきます。

<解説>
 大坂北部地震の発生を受けて、全国で危険なブロック塀の調査と撤去が行われています。当市でも市内公共施設におけるブッロク塀の状況について調査がされました。民有地も含めた早急な安全対策の実施で、安全で安心な街づくりの実施を求める立場から質問しました。
 公共施設のブロック塀だけではなく、民有地のブロック塀の調査については行われています。実際に旧鶴川街道の周辺地域や根方地域などでは、昔ながらのブロック塀が残っています。子どもたちが通学路として使う歩道に面したブロック塀でもひび割れていたり、欠けていたりする物があります。
 現在、市にある補助制度はあくまでも「接道部の緑化のための生垣造成」に補助がされるというものです。決して使い勝手がいいものではなく、実際に毎年2件とか4件としか使われていません。これをもっと使いやすい補助制度にしていく必要があるのではないでしょうか。都内の自治体でも、ブロック塀の撤去や安全な塀への建て替えに対して補助制度を新たに作る自治体が増えています。安全な街をつくり、安全な通学路を作っていくために、危険なブロック塀の建て替え補助の拡充についてこれからも求めていきます。


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稲城市9月市議会一般質問報告1~介護保険制度と学校の暑さ対策~ [市議会]

9月4日に稲城市議会9月議会の一般質問を行いました。
今回も3回にわけて報告をします。
第1回目は「介護保険制度」と「学校の暑さ対策」について報告します。

1.誰もが利用することのできる介護保険制度に向けて
(1)利用料負担増について
①自己負担利用料が3割になる人の基準について聞きます。
→利用者負担割合が3割となる基準は、介護サービスを受けた高齢者本人の合計所得金額が220万円以上の場合です。ただし、いくつかの条件にあてはまる人は2割または1割負担となります。
②1号被保険者の1割負担・2割負担・3割負担の人数と割合について聞きます。
→1割負担は2524人で86.6%、2割負担は206人で7.1%、3割負担は184人で6.3%です。

<解説>
 8月から一部の介護保険サービス利用者の自己負担割合が増え、さらに10月からは生活援助サービスの回数制限の導入が予定されています。このままでは保険料を納めているのに、必要なサービスが利用できない人が本当に出てしまいます。必要な人が必要なサービスを利用できる介護保険制度を求める立場から質問しました。
 ただし書きはついていますが、基本的に所得金額220万円の人は8月から3割負担になるということです。この間、2015年に所得160万円以上の人が2割となりましたが、今度はさらにその上が設けられるということです。
平成29年度に実施された「介護保険における2割負担の導入による影響に関する調査」という厚労省の研究事業で行われた調査報告書があります。この調査はその名の通り、2015年に実施された2割負担の導入が介護保険サービスの利用にどのような影響を与えたのかを明らかにする数少ない調査報告になっています。
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 この調査では、2割負担導入以降のサービスの利用状況について、1割負担の人と1割から2割になった人にそれぞれ聞いています。「サービスの数を減らした、もしくはサービスを中止した」人の割合は、1割負担の人は全体の1.3%に比べて、2割負担の人は全体の3.8%になっています。それぞれ割合は決した多くありませんが、明らかに1割負担の人に比べて2割負担の人の方がサービスを減らしたり、中止をしたりしている人が多くなっています。
 サービスを減らしたり、中止した理由を聞いたら、2割負担の人は圧倒的に「介護に係る支出が重く、サービスの利用を控えたから」と答えています。支出が重くてサービスを減らした人の状況をみると、9割以上が男性で、7割以上が配偶者と、5割以上が子どもと同居しているとのことです。男性で家族に介護力がある人は家族介護で吸収をすることができるので負担を重くなったら介護サービスを減らすことはできるけど、そうでは無い人は支出が重くてもサービスを使い続けなくてはならないということです。介護の社会化といって介護保険を導入してきたのに、費用負担に耐えられずに家族介護に戻ってしまう事例が示されています。逆に家族に介護力が無い人は高いサービス料を負担することで、消費や生活を切り詰めなくてはならなくなるということです。
 2割負担が導入された直後の2015年12月の第4回定例会で、「3割負担になって負担増を理由にサービスを減らした人はいないのか」質問していました。その時の答弁は「サービス利用につきましては、身体状況や利用料負担、本人等の希望などにより、ケアマネジメントを通じて、利用者とサービス提供事業者との個別の契約に基づいて決めることとなっております。このため、サービス利用の個別理由につきましては、把握する仕組みとなっておりません」というものでした。本当にそれで良いのでしょうか。厚労省の調査報告書にだって費用負担を理由にサービスを減らしている実態が表れています。利用者や家族の声をほんとうに掴んでいくことが必要ではないでしょうか。引き続き、費用問題は注視をしていきます。

(2)生活援助の回数制限について
①厚生労働省告示「厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護」の内容について聞きます。
→生活援助が中心の指定訪問介護について、要介護1は一月につき27回、要介護2は一月につき34回、要介護3は一月につき43回、要介護4は一月につき38回、要介護5は一月につき31回となっています。
→この回数を超えた場合は、ケアマネージャーが市町村にケアプランを届け出ることとなっています。そして、市主催の地域ケア会議等において、そのケアプランの利用者支援等について検討を行うと想定しています。
→この回数の根拠は、国の資料によれば全国での利用回数を統計的に見て通常のケアプランよりかけ離れた回数としたとのことです。
②2017年度の実績において同告示の回数を超えるサービスの発生状況について聞きます。
→市町村への届出の義務化は、平成30年10月1日以降の適用となることから、平成29年度の実績については市で把握していません。
③ケアマネージャーの専門性や利用者の選択権を尊重し、一律で機械的な回数制限を行うべきではないと考えるが認識を聞きます。
→ケアマネージャーの専門性や利用者の選択権を尊重しており、また一律で機械的な回数制限を行うものではないと認識しています。

<解説>
 厚労省によるいわゆる「生活援助サービスの回数制限」について、本当にあちこちから悪評となっています。もともとは財務省が「生活援助サービスを使い過ぎだ、上限設定をすべきだ」と横槍を入れてきたことが議論の発端になっており、明らかな「利用制限」となるような仕組みではないでしょうか。
数字の根拠は統計上のものでしかないということです。厚労省の資料を見ましたが、要介護1の人の生活援助の利用回数は全国平均で月あたり9.2回だけど、そのうちの5%くらいの人は月あたり26回になっている。同じく要介護5の人は全国平均は月9.3回だけど、そのうち4.3%の人は月31回使っている、というものです。
 全体の統計をとれば真ん中の平均が出されて、平均から多い人と少ない人がでてきます。それでは、統計上平均より多い人はなにか問題がある人なのか、ということです。この資料では、そのことがまったく説明されていません。飛びぬけて多い人について、わざわざ自治体に聞き取りをしているけどほとんどが「必要なサービスとして適切なものです」と答えています。何も問題が無いのに、たまたま統計上で平均より多かった人の分について、どうしてわざわざ報告させて地域ケア会議なんかで検討しなきゃいけんでしょうか。
 市は「選択権を尊重していて、機械的な回数制限を行うものではない」ということです。実際に適正かどうかを検討するのは、市が主催する「地域ケア会議」で検討されますからそうそう簡単に回数が多いから不適正だなんて言うことはないと思います。しかし、「施設に入るな」「入院するな」「なるべく自宅で過ごせ」ということを「在宅中心の介護」って言ってきたのではないでしょうか。在宅中心になれば、薬の管理や料理や買い物などそれだけ手がかかります。それを今さら、使いすぎている人がいるかもしれないから報告させて、調べろなんて言ってくる。国は利用者や家族やケアマネやヘルパーを信用してないで、疑いの目で見ているのでしょうか。
 市も立場はあるかと思いますが、私ははっきりと言った方が良いと思います。「冗談じゃない。ただでさえ少ない人数で介護現場を回しているのに、これ以上余計な手間をかけさせるな」「現場がそんなに信用できなのか」と。今回は生活援助サービスのみですが、この仕組みを使えばいくらでもどんなサービスでも上限回数を決めて制限かけるのが可能となります。そして、その都度現場の介護職の人たちが疲弊し、自治体の担当者の皆さんが板挟みになってしまうのではないでしょうか。こういった理不尽なやり方については、市としてもはっきりと意見表明をすべきではないでしょうか。今後もこの問題については利用者の皆さんの声も聞きながら、取り上げていきたいと思います。


2.子どもたちの命と健康を守るための学校の暑さ対策について
(1)学校現場における熱中症事故の防止について
①学校における熱中症事故防止の基本的な考えについて聞きます。
→児童・生徒の健康や安全を守るために、天教や気温、活動内容や活動場所等の状況により、教育計画の変更や注意喚起など、適切に対策を講じることです。
→夏季休業期間中の水泳指導や部活動における熱中症予防の対策については、活動当日の天候や気温等の状況により、実際に水泳指導や部活動を中止にしたり、部活動の活動時間を短縮して活動したりするなどの対策を講じています。
②市内の小中学校での「暑さ指数(WBGT)」の測定について現状を聞きます。
→WBGT等の指数の測定については、学校に設置されているWBGT指数を確認できる温湿度計の数値を確認するなどして、教職員が毎日状況を確認しております。
→市内のすべての小中学校において、暑さ指数を確認できる温湿度系の計測器がされています。

<解説>
「災害級」とも言われる今夏の暑さの中で、学校での抜本的な暑さ対策を求める切実な声が寄せられています。2学期が始まっていますが残暑が残り、最高気温34度、35度という日もありました。子どもたちの命と健康を守り、教職員の負担を軽減するための施策の実施を求める立場から質問しました。
 熱中症予防対策として教育計画の変更もあるということです。実際に夏休みの水泳授業や部活動を中止にした状況もあったということです。私の子どもが通う学校や、その他の学校でも一時的にプール授業を中止したり時間を短くしたりした事があったと聞きました。各学校の判断で行われたようですが、適切な対応だったのではないでしょうか。
 また、暑さ指数(WBGT)についても対応を聞きました。暑さ指数とは、環境省のホームページによると「暑さ指数とは、人間の熱バランスに影響の大きい気温、湿度、輻射熱の3つを取り入れた暑さの厳しさを示す指標です」とのことです。今年の夏は熱中症の予防が強く叫ばれました。強調されているのが熱中症のリスクは暑さだけではなく、湿度も大きく関係しているということです。湿度が高いと気温28度程度でも熱中症にかかることもあり、屋外だけではなく屋内でも十分に危険性はあるということが注意喚起されています。
 今までのように気温計で気温を計ったり、それこそ天気予報を見て「今日は暑そうだから校庭の使用や校外活動を控えましょう」という単純なことではなくて、湿度や輻射熱などの複合的な条件を考慮して屋外での活動を判断することが求められているわけです。そういった意味では、答弁に合ったように暑さ指数を図れる温湿度計で校庭やプールサイドの状況などを確認してから判断を下すというのは適切な対応ではないでしょうか。

(2)教室への冷房設置について
①2017年度までの冷房設置状況について聞きます。
→すべての小中学校の普通教室、音楽室、視聴覚室、パソコン室、そして全ての中学校の理科室に設置が完了しています。学校図書館については、構造上設置の難しいニュータウンの一部の学校を除き、設置が完了しています。
②2018年度の冷房設置計画について聞きます。
→現在、小学校12校の理科室と中学校の普通教室1室について、空調設備の設備を進めています。設置完了は10月末を予定しています。
③2019年度以降の冷房設置予定について聞きます。
→空調が未設置の特別教室については、財源の確保等を含めて引き続き対応を検討していきます。
→子どもたちの健康面などの教育環境の向上を図る上で、小中学校への空調設備の設置について重要であることは十分認識していいますが、すでに児童・生徒が使用する教室の全体の9割近い教室に空調設備の設置が完了していますので、非常に暑さの厳しい時期にはまずは空調設備のある教室を有効活用してほしいと考えております。
→国による新しい補助金については詳細もまだわかりませんので、今後その内容について注視していきます。

<解説>
 この間、改修や建て替えの終わった学校がありますが、そういった学校でも家庭科室や図工室、美術室にはエアコンがついていません。学校の関係者や保護者からは「わざわざ全面的に改修したのに、なぜエアコンのついている教室とついていない教室がわかれるんだ。そこが理解できない」という声がだされています。けっきょくすべての特別教室にエアコンがつけるということになっていないために、全面改修した学校でも一部の教室にエアコンをつけないで工事終了をせざるを得ないという状況があります。学校の先生からは「わざわざエアコン専用のコンセントだけつけて、肝心のエアコンがついてない。なんなんだ、これは」という声が、保護者の方から「どう考えたって一緒に工事をしてしまえば、後から取り付けるより費用だって安く済むはず。わざわざ高い工事費払ってエアコン後付けしているんだから、無駄使いそのものじゃないか」という声が率直に寄せられています。
 今後の特別教室への空調設置は、財源が確保されなければやらないということです。ここでもう一度問いたいのは、全ての教室への空調設置は子どもたちとそこで働く教職員の健康を守る問題として取り組むべきではないかということです。
 市は健康面については認識しているが、暑かったら他の教室を融通してなんとかしてくれという答えです。本当に教育委員会が、こういう認識でいいんでしょうか。それでは、図工室や美術室や家庭科室や技術室は、なんのために存在しているんでしょうか?子どもたちに正しい知識や技術を身に付けてもらうために、そういった特別教室は存在しているはずです。調理実習を、木工彫刻を、デッサンを、ハンダ付けを普通教室でやっていいということなんでしょうか?
 今回、質問準備をするにあたって多摩地域26市の学校へのエアコン設置状況について調べてもらいました。東京都教育委員会が調査を行い、それを議会事務局に整理をしてもらいました。これによると、普通教室については全地域で設置率が100%になっていますが、特別教室で設置率にばらつきがでています。
 稲城市は小学校の特別教室の数は205でそのうち冷房設置済みが111、未設置が94で、冷房設置率は54%です。中学校は特別教室の数は148で冷房設置済み65、未設置が83で、設置率は44%になっています。26市全体はどうか、26市全体の小学校の特別教室への冷房設置率は平均約79%、中学校は約75%になっています。多くの自治体で7割、8割の特別教室に冷房が設置されています。は
 設置率9割以上の自治体が26市中11市になっていて、稲城市の冷房設置率の順位は小学校は26市中24番目でワースト3位、中学校は26市中23番目でワースト4位という状況です。全体の平均が5割程度なら、どこの自治体も苦労しているんだと、もっと都や国が補助すべきだとなりますが、そうではありません。多くの所が7割とか8割とか9割の設置率になっています。
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 小学校で5割台にとどまり、中学校で5割にもとどかない自治体は、片手で数えるほどしかありません。これは教育委員会だけの問題ではなく、まさしく市長の責任ではないでしょうか。市長として、子どもたちや教職員の健康を守っていくという立場からも、すべての特別教室への冷房設置を計画化すべきではないでしょうか。国もようやく重い腰をあげて、冷房設置の補助金を新たに作るようなことも言っています。そういったものの活用も含めて、すべての特別教室への冷房設置を決断すべきではないかと、市の対応を求めました。

(3)体育館の暑さ対策について
①体育館使用時の暑さについて教職員や保護者、利用者から寄せられている声について聞きます。
→PTA連合会や体育館の利用団体から、体育館の騒音に対する近隣からの苦情や故障が原因で、窓や一部の扉を開けられないために、熱中症を心配する声が寄せられていることは認識しています。
→故障している排煙窓等については、速やかに修繕をしていきます。
②体育館使用時の熱中症事故予防について特に重視をしている点について聞きます。
→夏季休業期間中の部活動による体育館使用については、活動当日の天候や気温等の状況により、熱中症事故防止対策として体育館使用を中止にしたり活動を制限したりするなどの対策を講じました。
③体育館への冷房設置に対する認識について聞きます。
→学校体育館については教室に比べて体積が非常に大きく、設置する空調設備については高い能力が求められることから工事費や維持管理など膨大な経費を要することになります。近年の猛暑による学校運営への影響や、体育館が地域活動や災害対策などの重要な拠点となっていることは十分認識しておりますが、現時点では空調設備の設置は困難と考えています。
→学校体育館における暑さ対策としては、可能な限り備品として学校に整備しているスポットクラーラーや大型扇風機を活用して対応しています。大型扇風機が整備されていない学校については、各学校の状況を確認するなど整備に向けた検討をすでに始めています。

<解説>
 この間、PTA連合会が毎年要望書を提出していますが、その中では「体育館の排煙窓が壊れていて換気ができない」「体育館の換気や空調を改善してほしい」という要望が出されています。夏休み期間中の部活動でも、実際に使用中止になった状況もあるということです。今年の尋常じゃない暑さの中で、本当に体育館の中が熱くなっているようです。「30分も中にいると頭がくらくらしてしまう」という声も寄せられています。抜本的な対策が必要ではないでしょうか。
 市も対策の必要性は十分認識しているということです。ただ、体育館への冷房の設置は財政的にも早々できるものではないというのは理解しています。そこで、暑さ対策として例えば大型扇風機を設置するなどをすべきではないかと、提案もしました。
 市も大型扇風機については検討を始めているという事で、これは一歩前進として捉えたいと思います。ぜひ早急に進めてもらいたいと思います。そして、これで終わりということでは無くて、これを一歩として考えて体育館の暑さ対策を行ってほしいと思います。なによりも子どもたちの命と健康を守り、そこで働く教職員の負担を軽減するために、学校における暑さ対策とすべての教室への冷房設置をこれからも求めていきます。

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