SSブログ

稲城市議会9月議会一般質問報告2~必要な子が利用できない学童クラブ待機児の解消にむけて~ [市議会]

市議会一般質問報告の2回目は「学童の待機児童」について報告します。

必要としている人が利用できない学童クラブ待機児の解消にむけて
(1)待機児と定員の根拠について
①「待機児」の定義について聞きます。
→稲城市では「希望している学童クラブが定員を満たしているため利用できない児童のうち、放課後子ども教室を利用している児童を除いた児童数」としています。
→厚生労働省が実施している全国の学童クラブの「実施状況調査」での待機児童数の定義は、「学童クラブの対象自動で、利用申し込みをしたが利用できなかった児童」となっており、厚労省への報告は「学童クラブに入所できなかった児童数」を報告しています。
②各クラブの定員の決め方について聞きます。
→児童1人につきおおむね1.65平方メートル以上の専用面積の確保と、1クラスの児童数をおおむね40人以下として、各学童クラブ別に定員を決めています。
→市では「学童クラブの設備及び運営に関する基準を定める条例」により基準を定めて運営をしていますので、その基準内であれば定員を増やすことは問題はありません。
<解説>
 前段で放課後子ども教室について質問をしましたが、私は放課後こども教室の課題と学童の待機児童問題は表裏一体のものだと考えています。学童の待機児童を放課後子ども教室で解消させるというやり方は、稲城市だけの特異な現状になっているということです。
 多摩地域のすべての自治体の学童の待機児の状況とそれに対する対策を調べてもらいました。すると、少なくない自治体が「学童クラブは全員入所を基本としている」「入所要件を満たしているなら全員入所できるようにしている」と調査にこたえています。また明記をしていなくても個別に実態を聞くと、「基本的には資格のある人は全員受けられるように柔軟に対応している」「空き教室の活用や、空き教室がなくても敷地内に簡易の建物を整備して受けるようにしている」という答えが返ってきています。子育て支援の基本である、学童を必要としている人が必要な時に利用できることを求める立場から質問しました。
091002.jpg

 実は待機児対策に入る前に、その前提の部分から議論をしなくてはなりません。稲城市の学童クラブの待機児童数は、「利用を希望していて利用できなかった子どものうち、放課後教室を利用している子どもの数を抜いている」ということです。当然ながらその中には、「本当は学童クラブを利用たいけれど、やむなく放課後子ども教室を利用している」という子どもも含まれます。結果として、本来の待機児童数よりも数が少なく出てしまいます。なぜ、わざわざそんなことをするのか、待機児は待機児としてそのままの数を出せばいいのではないでしょうか。
 多摩地域の他市調査では、こういう集計の仕方をしているのは稲城市ただ一つでした。稲城市だけです。他の多くの市は「申し込みをして、入れなかった児童数」を待機児として集計しています。その際に少なくない自治体が、厚労省の実施状況調査に合わせて集計していると答えています。
これは、毎年厚労省が全国の自治体の学童クラブの実施状況や待機児童数などを調べて公表をしているものです。稲城市はその調査にどのように答えているのか?
 実は、国の調査は「利用申し込みをしたが、利用できなかった児童数」を待機児童としているので、国に対しては「放課後教室云々」を入れずにありのままの待機児童数を報告しています。国に対して報告している待機児童数と、市民や議会に対して答えている待機児童数に違いが出ています。議会や市民向けの待機児童数のほうが少なく出るようになっています。こういった2種類の待機児童数を使い分けるようなやり方はやめるべきです。
 厚労省の実施調査に準拠した待機児童数定義を基本にするべきではないでしょうか。市は「今のままでいく」と突っぱねましたが、引き続き改善を求めます。
091003_edited.jpg
※厚労省の待機児童の定義

 逆に定員に関しての答弁では、必要な敷地面積と人員が確保されれば定員を増やすことは法的には問題ないと答えました。基準をちゃんと満たすなら、定員を増やすことはできるということです。これは重要な答えだと思います。法的に問題がないのなら、必要に応じて定員を増やせばいいはずです。あとはやる気の問題ではないでしょうか。

(2)待機児解消について
①直近のクラブ毎の定員数、入所者数、空き数、申し込んだけれど入所できていない数について聞きます。
→以下の表のとおりです。
091001.jpg
→来年度、学童クラブに入所できない児童が出た際には、希望するすべての児童が利用できる放課後子ども教室で対応していますので、現時点では定員増を行うことは考えていません。
②学童の入所要件を満たした希望者が利用できていない状況に対する認識について聞きます。
→希望するすべての児童が利用できる放課後子ども教室を全校で実施することで対応しています。
→「学童クラブを希望しているが、放課後子ども教室を希望していない」児童や家庭のがいることについては、すべての児童や家庭の希望を満たすことは難しいと考えています。
<解説>
 学童クラブ毎の入所状況で分かるのは、学童の待機児童は地域差が大きいということです。空きがゼロで入所できていない子どもが二けたになっているところと、逆に空きが二けたになっているところ、この差が大きくあります。だからこそ、待機児童が多い学童に対して集中的に対応すればかなりの部分は解決ができると思います。
 現時点で空き数ゼロの学童では、来年度の年度初めに入所できない児童が多く出ると思われます。そもそも、待機児童が出るとわかっているなら定員増を早めに計画をすべきです。学童は保育園と違って単年度申し込みなので、今年学童が利用できていても、来年も引き続き利用できるとはなっていません。過去の答弁で、学童の入所については1年生と2年生を優先的に行っているとのことなので、そうすると2年生まで学童を利用できていたのに、翌年は新1年生と新2年制で定員がいっぱいになってしまい、3年生になったとたんに学童が利用できない子どもが多く出てしまいます。
 2年間学童に通ってきて、指導員とも打ち解けて、学童内での友達もできていた。3年生になっても通えると思っていたら、大人の事情で通えなくなってしまった。これは、子どもの教育や育成にとってプラスの結果となるのでしょうか。もっと、そういった子どもたちの心情を慮るべきではないでしょうか。少なくとも現在学童に通っている子どもについては次年度も通えるように配慮をすべきではないかと求めました。
 市は答弁で「すべての人の希望を聞けない」と開き直るようなことを言いました。これは本当に「良くない答弁」だと思います。市が決めた基準をクリアしている子どもが、学童を希望しているのに入れないわけです。入所資格を決めたのは市であり、その資格をクリアしているんだから、利用をさせてほしいというのは当たり前のはなしです。子どもたちや保護者の方々にはなんの落ち度もありません。それを、そうやって開き直るような答えをされるのは本当によくないと思います。
 放課後子ども教室の質問で述べた、国の新・放課後子ども総合プランでは「学校、学童、放課後教室が一人一人の児童の状況を共有の上で、きめ細やかに対応するように努める必要がある」と言っています。一人一人にきめ細やかに対応することが求められています。
 3年生くらいの子どもだと、周りに誰も友達のいない放課後教室ではなじめない。よく知っている大人と友達がいる学童に通いたいと、子ども自身がそう言っています。その声にこたえる責任が、市にも、市議会にもあるのではないでしょうか。
 そして、何よりも多摩地域の多くの自治体が、「入所資格があるなら入所できる」ように柔軟で積極的な対応をしているわけです。稲城市が取り残されてしまっています。学童が必要な子どもは学童に通えるように、市も努力すべきです。
 今度の質問では、稲城市の特異な状況とそれにしがみつく姿勢が明らかになりました。どう考えても矛盾そのものの内容です。学童を希望している子どもがちゃんと学童に入れるという、当たり前の状況を作っていくために、この問題についてこれからも取り上げていきます。


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。