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稲城市議会12月議会福祉文教委員会報告~保育園給食費の陳情~ [市議会]

 12月10日に市議会福祉文教委員会が開かれました。その中で、今議会で問題になっている様々な公共料金の値上げ案についての審議と一緒に、2つの陳情が審議されました。1つが全国福祉保育労働組合ひらお保育園分会が出された「幼児教育・保育無償化に伴う給食費についての陳情」、もう1つが矢野口や平尾にお住いの保護者の方が889人の賛同署名をつけて出された「保育園給食食材料費に関する陳情」です。
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※労働組合から出された陳情

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※保護者から出された陳情

 2つの陳情とも主な内容は、保育園の給食費について「市が補助をしたうえで4500円にしてほしい」というものです。残念ながら私は福祉文教委員ではないので、審議には参加をできませんでした。保育園の給食費については、一般質問で何度も行ってきました。ちょっとえらそうですが22人の市議の中で、この制度について最も詳しいという自負もあります。そういった意味では、委員会でのやり取りは歯がゆいものがあり、「自分ならここを聞くのに」「この答弁に矛盾があるから、ここをつくのに」という気持ちで委員会のやり取りを聞いていました。
 そこで、審議の中でやり取りをされた中で重要だと思うポイントと、それに対する私の考えを掲載します。

<陳情審査>
Q「給食は保育の一環」であると考えるが認識は?
→保育内容の一環として食育が位置付けられています。
Q給食費の補助についての考えは?
→給食費が原則自己負担なのは、国の方針により進めてきている内容です。
Q今後、東京都や国が給食費の補助について方針が変わってきたらどうするのか?
→国の政策としてそのような方向性がでれば、それに合わせて検討していきます。
Q「食の位置づけが後退につながる」という意見についての認識は?
→各市で給食費にかかる費用が明確になっていない中で、食の位置づけの後退や自治体間の格差はないと考えます。
Q「他市は給食を7500円で提供していて、稲城市が6000円での提供なのは質が下がるのではないか」という意見があるが認識は?
→他の自治体が月額1人あたり7500円で給食を提供しているのが事実かどうかわからない中で、不公平感というのは陳情者の個人的な見解ではないかと考えています。
→稲城市の給食にかかる費用を調査した際に最も安い園が5097円、最大が7771円でした。6000円以下は5園でした。
Q5園以外は6000円以上ということで、その差額について市としてどのように補助をしていくのか?
→1つの基準として6000円で一定の給食の保育、給食費の水準は保てると考えています。それ以上のプラスになる部分については、それぞれの園の工夫の中でやるものと考えています。
Q多摩地域13市で主食費を補助して副食費のみに、3市ではさらに上乗せしているが、そういった他市の取り組みについてどのように考えるのか?
→国の政策で進めるものなので、都内だけで比較するものではないと考えます。
→それぞれの市町村の中で、できる水準の中で決めていくものと考えています。

<解説>
 市の答弁の基本にあるのは「保育園の給食費はすべて自己負担」「稲城では6000円で十分」というのが貫かれています。それを補う形で、「他市が7500円で行っているのが事実かどうかはわらかない」などと言い、さらには「不公平だと感じるのは個人的見解」などと心配をされている保護者の気持ちを逆なでするようなことを平気で答弁しました。本当に、事実かどうかわからないのでしょうか?例えば、給食費を全額無料にしている小金井市は、市のホームページに「主食費(月額3,000円)副食費(月額4,500円)を上限に小金井市の独自補助を行う」をはっきり書いてあります。つまり、少なくとも小金井市は7500円で給食を提供できるようにしているのです。小金井市ができているのに、なぜ稲城市ができないのか?保護者の方が疑問に思うのは当然ではないでしょうか。それを「個人的見解」などと言い放つ市の姿勢は、本当に冷たいものだと思います。
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※小金井市のホームページ

 しかも、答弁の中で6000円の保護者負担だけでは、多くの園が給食を提供できないということを市自身が認めています。市が調べたら私立保育園全14園のうち、給食の実費が月6000円以下はたった5園しかありませんでした。後は、どの園も「給食の提供は月6000円以上」なのです。そのオーバーした分をどうするのか?けっきょく園に背負わせて、市はそれに対しては何もしないという態度に終始をしています。私が一般質問で言ったように、年度予算で削った「一般保育所対策費」の一部を戻さない限り、けっきょくは各園の負担が増えるばかりです。その結果、「ご飯が少し減らされた」「パンの質が落ちた」なんてことが起きたときに、市は責任を取れるのでしょうか?本当に無責任な態度だと思います。
 これも一般質問の時に言ったのですが、「保育園の給食費は原則自己負担」などというのは国も言っていませんし、多摩地域の中でも極めて特異な姿勢です。例えば、武蔵野市の松下市長は「給食は保育を構成する要素として保育のガイドラインにも記載していること、保育事業者や保護者の新たな負担が発生すること、無償化の財政負担などを総合的に判断し、給食費の徴収をしない」と答弁しています。
 また、立川市では「保育園では、これまで主食費は都の負担の補助を市が引き続いて負担することによって、主食費部分は負担してまいりました」「国の方針をそのまま実施しますと、これまでの市の施策の継続性が損なわれ、保育園を利用する保護者の負担が無償化前と比べてふえる懸念がありました」「保育園を利用する保護者へは、給食費の負担額を月額1,000円程度とし、差額を保育園へ直接補助する仕組みとし、幼稚園を利用する保護者の方へは、所得制限を撤廃し、月額単価を増額しました5,300円の園児補助金を交付することで、同じように保護者の負担軽減を図ってまいるという考えに基づいたものです」と、保育園だけでなく幼稚園利用者の負担軽減にも足を踏み出しています。
「給食費自己負担は国の方針だから」という、市の態度はごまかしそのものです。いみじくも、最後の方で言った、「それぞれの市町村の中で、できる水準の中で決めていくものと」というのが良く表しています。稲城市にとって、「稲城市の保育園児の給食は6000円で、他市と1500円低くても構わない」というのが、稲城市の「水準」であり、市の姿勢そのものだということです。
 しかし、同時に伏線もはっています。「今後、国(また都)の方針が変わったら、その時に考える」と答弁しました。これは、国や東京都が給食費の補助を付けるようになれば、それは拒否しないということです。この点は重要です。市の冷たい姿勢についてこれからも徹底的に追及をしながら、国政や都政の場でも給食費の補助の復活や増額を求めていく。そんな、取り組みをこれからも行っていきたいと思います。

<補足>
 今回の陳情で、ひらお保育園分会から出された陳情に誤字や勘違いによる言葉の取り違えなどが何カ所かありました。そういったものは無いにこしたことはないですし、必要なら訂正をしてもらえれば良いと考えています。委員会の中でも、誤字や誤記載について指摘をされていました。そういった、指摘をするのは一定必要だとは思います。
 しかし、ある議員がそういった指摘をする中で「このような陳情を私どもは審議しなければならない」と発言しました。私は、これは言い過ぎだと思います。私たち議員は市民の代表として選ばれ、様々な要望やご意見、時には批判を受けることもあります。しかし、そういったものをひとつひとつ謙虚に受け止めていく姿勢が必要ではないでしょうか。「審議しなければならない」と、いかにも「してあげている」かのような態度は慎むべきではないかと考えます。率直に言って、聞いていて気分は良くありませんでした。これは、個人的な見解として述べておきます。

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