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稲城市議会12月議会一般質問報告1~介護保険と保育園給食費~ [市議会]

12月2日に市議会一般質問を行いました。今回も3回に分けて報告をします。
1回目の報告は「介護保険制度」と「保育園給食費への補助」についてです。

1.高齢者が安心してサービスを受けることのできる介護保険制度の実現について
(1)介護予防・生活支援サービス事業について
①2019年3月のサービス毎の実績件数と前年同月比について聞きます。
→以下の表の通りです。
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→緩和型の件数が増加した理由は給付相当サービスが2018年3月末に終了したことから、2019年度以降は緩和型サービスのみとなっていることから件数は増加しています。
→給付相当サービスを交えたサービス件数の比較については訪問型は微増、通所型は増加しています。
②2019年3月末時点でのサービス毎の事業者数と前年同月比について聞きます。
→以下の表の通りです。
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→緩和型の事業者数が増加した理由は給付相当サービスが2018年3月末に終了したことから、2019年度以降は緩和型サービスのみとなっていることから事業者数は増加しています。
→給付相当サービスを交えた事業者数の比較については微減しています。理由として、市外事業者が緩和型の指定申請をしなかったことですが、利用者へのサービス提供は市内の事業者に引き継がれています。
③総合事業の現状に対する市の認識を聞きます。
→稲城市は総合事業に早期に移行したことから、介護保険事業計画第6期に実績を重ねて、それをふまえて第7期で実施を進めてきていることから、順調に事業実施ができています。
→介護予防生活支援サービスの費用については、平成29年度決算額が1億9059万円、平成30年度決算額が1億4639万円で、差額は4420万円の減です。差額の主な要因は、給付相当サービスが減る一方で、人員基準や運営基準を緩和した緩和型サービスが増加したことによるものです。
④介護保険1・2の生活援助サービスの総合事業への移行は行うべきではないと考えるが認識を聞きます。
→国の動向を見守っていきます。
<解説>
 第7期介護保険計画も折り返しとなる中で、次期介護保険計画の概要がだんだん明らかになってきました。サービス範囲の縮小や国の財源削減に反対し、必要な高齢者が必要なサービスを受けることのできる介護保険制度の実現を求める立場から質問しました。
 第6期介護保険計画から導入され、要支援1と2の方の訪問介護や通所介護が介護保険給付から、介護予防・生活支援サービス事業、いわゆる総合事業に移されてから5年が経とうとしています。どのような変化が起きてきたのでしょうか。
 最大の変化は、介護保険本体と同等のサービスが受けられる「給付相当」サービスが終了して、「緩和型」サービスのみになったということです。その結果、お金は動きはどうなったのでしょうか。この総合事業で事業者に対して支払われた費用の総額が前年よりも減少しているということです。1億9千万円が1億4600万円になり、4400万円、約2割強の減少です。市の支出が削減されたので、これは喜ばしいことなのか?私は、そう単純ではないと思います。
 今、介護人材の不足や介護事業所の経営難が大きな問題になっています。特に小規模の訪問事業所で人手が確保できなくて事業継続ができなくなっています。人手不足の最大の理由は、何度も言われているように待遇の問題です。待遇改善のための人件費にかける余裕が、今の介護報酬ではまったく無いというのが実態です。そもそも要支援の方を対象にした訪問介護や通所介護は利益率からいってもけっして高くない、ギリギリの中で行われている事業なわけです。そういった中で、給付が減少しているということは事業者の収入減少になっているということであり、結果として事業者の事業継続を困難にする要因となってしまうのではないでしょうか。
 そういった中で、この総合事業を要介護1や2の人にも拡大するかどうかが、今後の大きな問題となっています。先週の11月27日付朝日新聞の記事でこう報じられました。「厚生労働省は要介護1、2の人への生活援助サービスを市区町村事業に移す改革を見送る方向だ」「要介護1、2の生活援助サービスの移行は、地域の実状に合わせたサービス実施とコスト削減を進める狙いがあった。ただ、今でも自治体は介護人材の不足などに苦しんでおり、さらなる対応が難しい実情を踏まえて見送る」とのことです。
 これは、当然の判断だと思います。コスト削減と言っていますが、削減されたコストは結局、介護現場で働く人の待遇に跳ね返り、そのまま人材不足の負のスパイラルに突っ込んでいくだけです。まだあくまでも新聞報道なので、実際はどうなるのかはまだ分かりません。しかし、毎回の一般質問でしつこく取り上げてきましが、いかに安上りにするのかを前提にした制度設計は、やっぱり無理が来るということなのではないでしょうか。なお、前回の一般質問で取り上げました「ケアプランの自己負担導入」についても、見送る方向だと同じ記事で報じられています。これからもこの問題については状況を注視しながら、取り上げていきたいと思います。

(2)保険者機能強化推進交付金について
①交付金の概要について聞きます。
→国が市町村や都道府県に対して、指標ごとの評価点数の合計得点に応じて、交付金を交付するものです。
→指標の主な項目は大項目3点で、設定されている理由については高齢者の自立支援・重度化防止等に関する市町村の取り組みに関するものとして、国が設定したものです。
②稲城市の評価指標と交付額の実績について聞きます。
→以下の表の通りです。
→2019年度の点数と交付額については、配点や指標の変更があったことにより、点数も公金も減ったものと認識しています。交付金っ買う得を目的として、施策を推進する認識はありません。
③インセンティブによる調整交付金ではなく、明確な財源保障を国に求めるべきと考えるが認識を聞きます。
→現在も財源は保証をされており、東京都市長会においても同じように要望書を提出しています。
<解説>
 この保険者機能強化推進交付金とは、市の取り組みを指標毎に点数化をして、その点数に応じて交付金が出されるという仕組みです。その指標については、国が設定しています。
 ここで重要なのは、自治体のやってきた事や内容とは関係なく、国がいきなり指標を変えてそれに合わなければ結果として点数が下がり、交付金額も下がっていくという仕組みです。交付額をもらいたいと思ったら、国の思うような事業を優先的にやらなければならない。本当に振り回されるような状況になってしまう。国民健康保険事業などにも導入をされていますが、この制度は大きな問題があるのではないでしょうか。こういった交付金を多く得るために点数を増やすことを目的にしたような、計画づくりや施策の推進にすべきではないと考えます。
 これも報道では、来年度からこの交付金を倍額にして、指標も取り組み次第ではマイナス項目となるようなものにすると言われています。点数競争に巻き込まれて、結果としてとんでもない状況を生み出すようなことはあってはならないと思います。第8期計画をどう作っていくのかは、年明けから本格化していくと思います。今後も必要な方が、必要なサービスを、必要な分ちゃんと受けられる介護保険制度の実現を求めていきます。


2.民間保育園の事業を支え、安全で質の高い保育の実現について
(1)「民生費・私立保育所運営委託料」について
①委託料の目的・役割について聞きます。
→保育の内容の充実に要する経費および市が委託する事業の経費について必要な事項を定め、児童の健全な育成の図るものです。
→市基準の項目の中の「一般保育対策事業」については、保育所等の運営の充実を図ることを目的に補助事業として実施しています。
②給食費実費徴収に伴い、平成31年度予算で削減された金額の総合計と各園毎の内訳を聞きます。
→以下の表の通りです。
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→減額の単価は国が定めた主食費3000円です。
(2)私立保育園の給食費について
①給食費6000円の金額の根拠について聞きます。
→主食費1500円、副食費4500円です。
②安全で質の高い給食が実施されるために市として役割を果たすべきと考えるが認識について聞きます。
→市の役割は指導検査や私立保育園園長会を通じて情報提供や情報共有を行い、安全で質の高い給食の確保に努めることです。
→給食費については原則自己負担であり、私立保育所等運営委託については保育所等の運営に要する費用にたいして支払うものであり、給食費に特化して増額をするということは考えていません。
<解説>
 先の9月議会で大問題となった、幼児教育保育の無償化にともなう保育園給食費の徴収についてです。保育園給食費の徴収に伴い、私立保育園に対する委託料が削減されているという実態があります。保護者からは今後の給食の実施について不安の声が出されています。安全で質の高い保育事業の実現に市が責任を果たすことを求める立場から質問しました。
「私立保育園委託料」、民間の私立保育園の保育の内容の充実により、児童の権限な育成を図るために支出されているということです。そして、この委託料の中に「一般保育対策事業」という項目があり、その目的は保育園の運営の充実のために補助をしているという事です。
 そして、年度当初予算で委託料から出していた給食費のための予算を削減したということです。それは、総額で約1700万円、計算根拠は園児一人当たり主食費分3000円の給食費の補助について減額をしたという事です。
 当初予算では給食費の自己負担分は7500円になっていました。内訳は主食費3000円と副食4500円です。副食費4500円は国が出していた公定価格を削ったので、保育園にとっては自動的に収入減になります。そして主食費3000円については、市が私立保育所運営委託料の一般保育対策事業の中から、あえて「主食費補助@3000円削減」と記載をして私立保育園に対する補助金からカットをしました。
 しかし現在は、給食費は6000円になっています。その計算根拠は、主食費1500と副食費4500円を合わせて6000円だということです。もし、当初予算の段階で主食費1500円と副食費4500円の6000円の給食費自己負担になった場合は、どうだったのでしょうか?
 当然、私立保育所運営委託料の削減額は「主食費補助@1500円削減」となって、私立保育園に対する委託料の削減額も現状の約1700万円ではなく、半分の850万円ほどにとどまったのではないでしょうか。それでは、結果的に削減する必要のなかった850万円の補助金は、いったいどうなったのでしょうか?給食費の保護者負担額が当初予算と変わった以上は、減額した私立保育所運営委託料を増額して、私立保育園の給食事業を支えるべきではないでしょうか。
 しかし、市の答弁は「給食費だけ特化して増額はしない」というものでした。この答弁については、率直に言って大きな怒りを覚えます。最初に給食費に特化して、予算を減額したのは誰でしょうか?市の資料では、「一般保育対策削減分・主食費補助@3000円削減」とはっきり書かれています。
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 減らす時だけ給食費補助を名指しで減らして、増やす時は「いえいえ、給食費だけ増額できません」と答える。とても、納得できないです。矛盾にみちた答弁だと指摘しました。
「給食費については、原則自己負担であり」とも答弁しています。けっきょく、この部分にずっとこだわっているから、矛盾のある答弁になってしまいます。
 2019年3月20日衆議院内閣委員会での当時の宮腰大臣の答弁は「今般の無償化により、それまで地方が独自に負担していた部分に国、都道府県の負担が入ることで、全体として結果時に市町村の財政負担は軽くなります。給食費の負担が増えるような自治体においては、その財源を用いて、子育て支援のさらなる充実として、給食費負担にもご配慮いただいきたいというふうに考えております」とのことです。「給食費負担にもご配慮を」と言っている。全額自己負担なんていう立場は、そもそも国ももう取っていません。
 私は給食費については幼稚園も含めた全額無料を、その前段階としても少なくとも副食費4500円のみにすべきだと思っています。今度の議会の福祉文教委員会にも陳情も出されています。しかし、さらにその前段として、市が子育て支援として保育園の給食費に対して補助をするかどうかという、そこから議論を始めなくてはならないのが現状です。子育て支援の充実を願う保護者や、質の高い安全な保育事業の継続をしようと努力している保育事業者の皆さんの声をどのように受け止めるのか、本当に姿勢が問われていると思います。
 今の市の姿勢について保護者の皆さんや保育事業所の皆さんがどのように感じるのか?これは本当に振り返ってもらった方がいいと思います。この問題はこれでは終わりなりません。これからも何度でも取り上げていくつもりですし、あらゆる機会を通して子育て支援の充実と給食費補助の復活、増額を求めていきたいと思います。
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