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稲城市議会9議会一般質問報告2~給食費の無償化・待機児童数~ [市議会]

2.子どもたちの発達と成長を支える給食制度の実現について
(1)給食の実施状況について
①市内の小中学校における給食の実施状況について聞きます。
→年間で小学校は190日、中学校は180日を原則に、約150万色の給食を調理、提供しています。
→食物アレルギーに配慮した対応や、献立や使用食材等のホームページへの掲載、給食レシピのクックパッドへの公開などを行っています。今後は第一調理場の建替え移転後には、食物アレルギー対応食を提供していくこととしています。
②市内の保育園(認可・認定こども園・認可外・企業主導型のそれぞれ)における給食の実施状況について聞きます。
→すべての園で実施しています。
→認可保育園の設置基準では食事を提供するときは、入所している者の健全な発育に必要なものでなければならないとなっています。
③市内の幼稚園における給食の実施状況について聞きます。
→私立幼稚園では給食を実施していない園が1園、週5日の給食が1園、週3日が2園、週2日が1園です。認定こども園幼稚園機能部分では週5日が1園、週3日が1園、週2日が1園です。
(2)給食の役割について
①小中学校における給食の役割について聞きます。
→学校給食は児童および生徒の心身の健全な発達に資するものであり、かつ児童および生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすものとしています。
→「今後の子供の貧困対策の在り方について」では、食育の支援について「子供の健やかな発育・発達を支えるとともに望ましい食習慣や生活習慣の形成の観点から、引き続き進めていく事が重要」としています。
②保育園における給食の役割について聞きます。
→保育所における食事の提供は、食育の一環として、子どもの健全な成長・発達に寄与・貢献するという視点をもち、取り組むものです。
→給食の充実は、心身両面からの成長に大きな役割を担っており、保育の充実につながるものであると認識しています。
③幼稚園における給食の役割について聞きます。
→幼稚園それぞれの教育方針に基づき実施されていると認識しています。
→文部科学省通知「幼稚園における給食の適切な実施について」では、「学校給食基準は、幼稚園においてもこれらの基準に準じ実施することに努めるもの」としています。
<解説>
 全国で給食費を無償にする自治体が増えています。給食はただ食事を提供するものではなく、子どもたちの発達と成長を支えるという重要な役割があります。給食費無償化により、本当の意味での教育費無償化を求める立場から質問しました。
 学校での給食の実施にあたって各地域でアレルギー対応やバイキング方式、メニュー選択制、給食レシピ公開など多様な取り組みがされています。稲城市でも様々な工夫された取り組みがされています。
学校や保育園での給食は子どもたちの健全な発達のためにあります。同時にこの間、この給食についてもう一つ重要な役割が担わされています。それは、子どもの貧困対策という役割です。
 今年の6月に改正子ども貧困対策推進法が成立しました。子どもの貧困についての実態調査が進む中で、経済的理由で十分な食事が摂れない家庭が一定数あることもわかっています。食材や弁当等を家庭に届けたり、居場所等で食事を提供するなど、必要な栄養をしっかりと摂れる食の支援を進めることが重要です。この十分に食事が摂れない子どもたちを支える最も重要な制度が給食なんだということです。

(3)給食費について
①小中学校別の給食費の納入率について聞きます。
→小学校、中学校いずれも99.9%です。
②小中学校別の給食費の滞納者数と滞納金額について聞きます。
→2018年度では小学校で9人、滞納金額は17,395円です。中学校で7人、滞納金額は296,544円です。
→滞納の理由等については、個別の事情となっています。面会等ができた場合には、個々の事情に応じて分納等の相談など対応しています。
→経済的事情に就学が困難な場合には、要保護・準要保護制度を利用してもらっていると認識していますので、貧困や生活困窮によるものでないと考えています。
→8月1日現在で要保護・準要保護を受けている数は小学校が507人で9.4%、中学校が13%です。
③小中学校での滞納者への対応について聞きます。
→文書で督促を行い、それでも支払いがない場合は電話や訪問による催告、必要におうじて分納等の相談も行っています。こうした対応を行っても支払いがない場合に限り、法的措置を行っています。
→給食費の支払いをお願いしている限りでは、貧困や生活困窮者が滞納の理由等ではないことから、生活困窮者自立支援制度に基づいて支援を行った事例はありません。
→平成30年10月1日付の文科省通知では「教育委員会等には、教育名に課題や困難を抱えているのみならず、経済的な困窮や複合的な課題を有している者が訪れることもあり、こういった複合的な課題を抱える者が相談に来た場合などは、生活困窮者本人に対して自立相談支援事業等の利用の勧奨を行うように努める」となっています。
<解説>
 給食費は様々な公会計の支払いの中でも極めて高い納付率になっています。納付率99.9%というのは、本当に皆さん協力をしてくれています。市は「給食費は払うのが当然」という姿勢ですけど、給食費ってのは決してそういうものではありません。憲法26条で「義務教育は、これを無償とする」となっているのに、その原則から外れて負担をお願いしているという立場に立たなくてはならないと思います。
 そういった中でも、給食費が滞納となってしまった家庭にはどういった事情があったのでしょうか。公費負担を受けている子どもは小学校で9%、中学校で13%ということでした。厚労省の統計では子どもの相対的貧困率は16%と推計されています。公費支援を受けてない家庭でも、貧困状態の可能性があるわけです。そして、様々な理由で生活保護にも就学援助にもうまく当てはまらないという家庭だってあるかもしれません。そういった困難を抱えている人たちにどのように支援をするのかということが、求められているのではないでしょうか。
 生活困窮者自立支援制度の中では、多様で複合的な課題を有する生活困窮者を早期に発見するとともに包括的な支援を適切に行うためには、関係機関において事業が連携し効果的に実施されることが重要であると、されています。特に子供の貧困に関する部分では、教育部門と福祉部門が部門横断的に情報を共有しながら支援を行うべきではないでしょか。

(3)給食費の無償化について
①小中学校の給食費を無償化するために必要な金額を聞きます。
→小学校で概ね2億3700万円、中学校で概ね1億2千万円、合計で3億5700万円です。
②2018年度に保育園の給食費補助として支出された金額について聞きます。
→給食費だけでなく保育士の配置や賠償保険への加入、食物アレルギー対応や軽度障害を持つ児童への適切な対応などの4つの条件を満たすことで、一般保育所対策事業として約2億8500万円を一般財源から支出しています。
→東京都の子育て推進交付金については、市町村における安心して子供を産み育てられる環境の整備を図るため、市町村に交付されます。使い道については市町村独自の様々な事業の中から補助対象事業を選定し、充当しています。
③給食費を無償にすべきと考えますが市長の認識について聞きます。
→給食費については、自己負担が原則であると認識しています。なお、低所得者・生活困窮者については、要保護・準要保護等の公費負担制度があります。
→学校給食法では「学校給食に要する経費(「学校給食費」)は、学校給食を受ける児童及び生徒の保護者の負担とする」としています。
<解説>
 給食費無償にするには小中学校合わせて約3億5千万円です。決して安い金額ではありません。市単独ですべて賄うにはなかなか大変です。しかし、そういった状況でも完全無償化や一部無償化に足を踏み出している自治体が増えてきています。平成30年7月に文科省が公表した調査結果によれば、全国で給食完全無償化を実施しているのは71自治体で4.4%とのことです。一部無償化、例えば第2子以降は無償だとか、第3子以降は無償だとしているのは119自治体。合わせると全国190自治体、約1割の自治体が何らかの学校給食費無償化を行っているというのです。東京でも、例えば北区などが来年10月から第2子は半額、第3子は無償にすることを明らかにしています。
 保育園の給食費については、2019年6月5日の第2回定例会一般質問でも取り上げました。保育料の無償化と引き換えに給食費を新たに徴収しようという内容です。保育園の給食費は2本立てになっています。ご飯などの主食費とおかずなどの副食費です。これまでは、副食費は保育料に含まれるという説明のもと、各保育園に直接支払われる国の公定価格でカバーされていました。
 それでは、主食費はどうか。これは、東京では東京都が補助をしてきました。先ほどの答弁では、給食費の補助約2億8千万円は市の一般財源で負担していると答弁されました。しかし、これにはからくりがあります。東京都は2005年度まで給食主食費補助などの目的を明示した認可保育所運営費補助としてお金を出していましたが、これを2006年度から子育て推進交付金という、自由に使える「交付金化」しました。これにより、市がよく言いますよね「お金に色はついてない」方式で、都からは実質的には給食費補助も含んだお金が入ってきているのに、こちらが聞くと「いや、すべて市が負担をしています」というような答え方をするわけです。
 今回の保育園給食費の徴収について、多摩26市の中では国の公定価格から外された副食費のみを徴収するという自治体が18自治体です。その自治体は主食費は、おそらく都の交付金も活用しながら市が補助するという形を取るのではないでしょうか。ちなみに主食費も副食費も両方とも徴収しないで無償にすると言っているのは2市です。主食費も副食費も両方とも合わせて徴収すると言っているのは26市の中で6市だけ、その中で稲城市は最高額の7500円となっています。保育園の給食費について、本当にこのまま進めていい中身なのでしょうか。
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 昨年度平成30年度の決算では都の子育て推進交付金は4億7900万円です。今年度平成31年度の予算では5億1400万円と増額されています。ちゃんとお金もあるわけです。これまでは実質的にはこの交付金を使って給食費の補助をしてきたのに、この補助を打ち切ろうとしています。これまで通り、この交付金を活用すれば使えば少なくとも主食費の分は徴収をしなくてもすむわけです。
 市長は「給食費は自己負担が原則」だと答えました。この考えを変えていく必要があります。
 学校給食法第11条の2項は「学校給食に要する経費は、学校給食を受ける児童又は保護者の負担とする」となっています。しかし、この規定について文部科学省に問い合わせましたら「法の規定はあくまでも負担の在り方を示したものであり、補助金を出すことによって実質無償化にすることを禁止するものではない」ということです。
 当然です。既に1割の自治体でなんらかの給食費無償化が取り組まれていて、国が実態を調査して公表までしているわけです。教育費の無償化というなら、一丁目一番地として給食費の無償化に足を踏み出すことが求められています。当然、国や都の財政援助が必要ですが、そのためにも市としてまずは必要だという姿勢を持つことが求められています。今後も、学校だけでなく保育園も含めた、子育て支援としての給食費の無償化を求めていきます。


4.認可保育園の新設による待機児童の解消について
(1)待機児童数について
①直近の待機児童数(新々基準・旧基準)と前年同月の待機児童数(新々基準・旧基準)とそれに対する認識について聞きます。
→待機児童数は以下の表の通りです。市の認識としては、認可保育所の新設や認証保育所の認可化に取り組んできた結果、着実に成果を上げていると認識しています。
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→「2021年4月に待機児童を解消する」という方針は変わっていません。
(2)認可保育園新設等の待機児童対策について
①今後の認可保育園新設等の待機児童対策の計画について聞きます。
→2020年4月に大丸都営アパート跡地に市立第四保育園の建替え民営化により保育定員228人のいなぎのぞみ保育園(仮称)を、矢野口地区に保育定員90人のにじいろ保育園(仮称)を開設する予定です。2021年4月に小田良区画整理地内に市立第三保育園の建替え民営化により保育定員150人規模の保育園を予定しています。
②認可保育園の設置について、特定の地域に設置がされていないなどの地域的な偏りがあると考えますが認識を聞きます。
→認可保育所の設置については人口、地理的条件、交通事情や通勤経路などを総合的に勘案したうえで、保護者や子どもが居宅から通うことが可能な区域として、稲城市を3つの区域に分け設定しています。この区域を基本として実施しており、地域的な偏りはないと認識しています。
→平成25年7月26日付内閣府の資料では教育・保育提供区域の設定について、「市町村は地域の実状に応じて保護者や子どもが居宅より容易に移動することが可能な区域を設定」となっています。また例として「小学校区、中学校区、行政区などを想定」となっています。
<解説>
 4月の時点で「認可保育園を希望して入れなかった児童数」は192人にのぼることが明らかになっています。認可保育園の新設で待機児童を解消することを求める立場から質問しました。
4月時点では認可保育園を希望して入れなかった子ども、いわゆる旧基準の子ども数は192人でしたが、7月では236人と増えています。しかし、去年との比較では67人減少しており、認可保育園新設の効果が発揮されています。来年4月は大丸と矢野口に認可保育園ができ、再来年4月に坂浜の小田良地域にできるとのことです。
 市は保育園の配置について、地域的な偏りはないとのことです。稲城市の子ども子育て支援計画では、矢野口・東長沼・大丸・百村・押立をひとまとめに第一地区、向陽台・長峰・若葉台で第2地区、坂浜・平尾で第3地区と定めています。その根拠として、保護者や子どもが居宅から通うことが可能な区域であるからだということです。
 それでは、この区域を定めるにあたって国のどのような指針を提示していたのでしょうか。国の資料では小学校区や中学校区などを例にしながら、根拠として「保護者と子どもが居宅より容易に移動することが可能な区域を設定すべき」と求めています。
 市の認識と違うのは、「容易に」という言葉が入っていることです。ただ通えればいいという事ではありません。安全に、そして簡単に通うことができるような地域設定が必要なんだと言っているわけです。2019年6月7日の第2回定例会一般質問でわが党の田島きく子議員は、南武線より北側のイチョウ並木通り周辺には認可保育園が一つも無くて不便ではないかと質問しました。まさに、稲城大橋周辺にお住いの方が同じ第一地区だからと南山や百村の保育園に通うのは、容易に通えるとは言い難いのではないでしょうか。認可保育園の偏りのない配置についても、必要な対応を求めていきます。
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