SSブログ

稲城市12月市議会一般質問報告1~介護保険制度~ [市議会]

12月3日に稲城市議会12月議会の一般質問を行いました。今回は4回にわけて報告をします。
第1回目は「介護保険制度」について報告します。

1.ひとりひとりの高齢者を支えることのできる介護保険制度にむけて
(1)認知症になっても暮らしていけるまちづくりについて
①「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」で掲げられた「Ⅶ.認知症の人やご家族の視点の重視」の内容について聞きます。
→認知症の人の視点に立って認知症への社会の理解を深めるキャンペーンのほか、初期段階の認知症の人のニーズ把握や生きがい支援、認知症施策の企画・立案や評価への認知症の人やその家族の参画などの取り組みを進めるという内容です。
→市での具体的な取り組みについては、地域包括支援センター主催の介護者交流会を日常生活圏域ごとに定期的に行っています。また、自主的な認知症の家族会に対して認知症支援コーディネーターが参加や支援を行っています。
<解説>
 たとえ認知症となっても本人の権利と意思が尊重され、まさしく住み慣れた街で暮らしていくことのできる介護保険制度を求める立場から質問しました。
 認知症をめぐる施策については、6月の第2回定例会で質問をしました。その時は「認知症にならないための予防」や「認知症の早期の治療」も大事だけど、それ以上に「認知症になっても暮らしていけるまちづくり」というものを広げていく必要があるのではないか。認知症となった当事者の方が情報発信することで認知症の理解が広がるのではないか、と提案もしました。今回の質問はその延長として行いました。
 今回の質問準備にあたっては、「認知症とともに生きる希望宣言」を発表された一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループの鈴木様と東京都認知症対策推進会議委員もされている認知症介護研究研修東京センターの永田様にお話しを伺うことができました。お二人に感謝申し上げ、お二人から話されたことなども、今回の質問の中で紹介しました。

②(一財)長寿社会開発センター発行の「本人ミーティング開催ガイドブック」で示されている「本人ミーティング」の実施について認識を聞きます。
→本人ミーティングは認知症の本人が集い、自らの体験や希望、必要としていることを語りあい、自分たちのこれからのよりよい暮らしや地域のあり方を一緒に語り合う場として、厚生労働省が認知症施策の一つとして紹介している取り組みです。市としては、介護保険事業計画第7期に基づいて認知症施策を行っており、現時点では本人ミーティングの実施予定はありません。
<解説>
 この「本人ミーティング」の狙いや役割はどういうものなのか。
 認知症本人ワーキンググループのお二人との話しの中では、「認知症の人たちを困っている人、支援される人、介護される人ということだけで扱っていては、いつまでも本人たちも前向きにならない」「認知症になった人でもたくさんの能力を持っているし、街の担い手として力を発揮してもらうことができる。そういった形で本人たちの力を引き出して、自信を付けてもらうことで気持ちも安定してくる」ということが言われました。
 本人ミーティングは認知症の本人や家族が「自分たちが住みやすくなるために、一緒に街をこうしていきたい」「こうしたらもっと生きがいを持って暮らしていけるので、こういったことにチャレンジしたい」という本人たちの前向きな願いを引き出していくものとして位置付けられています。こういった本人ミーティングは認知症に対する理解を広げ、ご本人たちの自信にもつながる取り組みだと考えます。

③(独)東京都健康長寿医療センター発行の「本人にとってのよりよい暮らしガイド」の普及や配布について認識を聞きます。
→「本人にとってのよりよい暮らしガイド」は、平成29年度に日本認知症本人ワーキンググループが作成に取り組んだもので、認知症になった体験をもとに、診断を受けた後に絶望せずに、自分なりによりよい日々を暮していくためのヒントをまとめたものです。
→このガイドブックの普及や配布については、認知症に関する様々な場や資料と同様に、必要に応じて適宜提供しておりますが、市内での具体的な配布状況や活用状況については把握していません。
<解説>
 認知症本人ワーキンググループが作成した「本人にとってのよりよい暮らしガイド」については、議場で現物も示しながらその内容を紹介しました。
 ガイドブックの表紙には「一足先に認知症になった私たちからあなたへ」と書かれています。「認知症の旧い時代遅れのイメージに縛られずに、新しいイメージを持とう」「何もわからなく、何もできなくなるわけではない、お先真っ暗ではありません」「支えられる一方になるわけではなく、自分の力をいかすと一人でできることがいろいろあります」「絶望してしまうのはもったいない。希望はきっと見つかる」と書かれていて、「やりたいことにチャレンジして、楽しい日々を」「いろいろなことを無理と自分自身で決めつけず、やってみたいことの夢をふくらませましょう」と呼びかけられています。
「都道府県・市町村向け 本人の声を起点とした認知症地域支援体制づくりガイド」では、この本人ガイドを「認知症初期段階の本人と接点をもっている関係者とともに活かそう」と呼びかけています。たとえば医療機関、歯科医院、薬局、地域包括支援センター、相談窓口、介護支援専門員、介護事業者、本人の会や集い・家族の会や集い・認知症カフェの関係者、民生・児童委員、地域での本人・家族の相談役や影響力のある人等にこれを広げて活用方法などを話し合ってほしいと提案されています。
 質問では「この本人ガイドは庁舎内にありますか」「今、市では職員の認知症支援コーディネーターの養成を積極的に進めています。まずは、このガイドをそういった職員の中に広げながら、市立病院や健康センター、地域包括支援センターなどでも活用をしてほしい」と提案もしました。
120301.jpg
※「本人にとってのよりよい暮らしガイド」の表紙。ダウンロードはこちらから(厚生労働省のホームページ)。

④認知症になった本人の声を認知症対策の施策に反映させる仕組みづくりについて認識を聞きます。
→認知症の人の声を認知症施策に反映させる仕組みづくりについては、今後の研究課題であると認識しています。
<解説>
 もう一つ紹介をしたのが、日本認知症本人ワーキンググループ11月1日に発表した「認知症とともに生きる希望宣言」です。これは5つの宣言で構成されています。
1.自分自身がとらわれている常識の殻を破り、前を向いて生きていきます。
2.自分の力を活かして、大切にしたい暮らしを続け、社会の一員として、楽しみながらチャレンジしていきます。
3.私たち本人同士が、出会い、つながり、生きる力をわき立たせ、元気に暮らしていきます。
4.自分の思いや希望を伝えながら、味方になってくれる人たちを、身近なまちで見つけ、一緒に歩んでいきます。
5.認知症とともに生きている体験や工夫を活かし、暮らしやすいわがまちを、一緒につくっていきます。
 認知症本人ワーキンググループのお二人から話されたのは、「この宣言は、認知症になった本人たちが自分たちが背負ってきた苦しみを次の人たちに残してはいけないという思いで作られた」とのことです。特に5番目の「暮らしやすいわがまちを、一緒につくっていきます」が重要とのことです。全国でもいくつかの自治体で認知症支援のための条例づくりがされていますが、大事なのは「本人を支援したり、認知症を予防したりするための条例ではなく、本人が街の一員として活躍できるための条例にしてほしい」とのことでした。
 市の答弁は、「認知症の本人の声を実際に施策に反映させる仕組みづくりは、今後の研究課題」とのことでした。第7期介護保険計画で、今後3年先の認知症対策は決まっているので、今後3年間は計画外の事はできないのか?そうではなないと思います。第7期介護保険計画でも「若年性認知症施策の実施」「認知症の人とその家族へ支援に関する取組」などの項目が挙げられています。この項目の中で、様々な施策ができるのではないでしょうか。
 今回の認知症本人ワーキングループのお二人との話しの中で、最後に教えてもらったのは「いま国は『認知症の人基本法』の制定を考えている」「しかし国の動きを先取りする形で、本人が参画した形で『認知症の本人の視点にたった条例』制定を目指している自治体がある」「ぜひ、稲城市でも取り組みができるようにがんばってほしい」とのことでした。
 また、「行政以外でも、住民の中から認知症の本人たちによるミーティングや情報発信はできる」とのことでした。私の知り合いや友人にも認知症の方がいらっしゃいます。私自身もそういったご本人たちと対話をして、私も経験を積んでいく中で、一人一人の高齢者が大切にされるまちづくりのために、ぜひまたこのテーマについて問題提起をして、提案もしていきたいと思います。
120302.jpg
※「認知症とともに生きる希望宣言」の表紙。ダウンロードはこちらから。(日本認知症本人ワーキンググループのホームページ)

(2)保険者機能強化推進交付金(市町村分)について
①同交付金の概要について聞きます。
→市町村分の総額190億円を、各市町村の評価指標毎の点数に1号被保険者数をかけて算出した点数を基準にして、各市町村に一定の割合で交付されるものです。
→交付される時期は、平成31年1月に各市町村から交付申請、3月に交付決定、平成30年度内に交付される予定と聞いています。
②同交付金の評価指標の概要について聞きます。
→全61項目が評価指標となっています。
→市の評価冶王経については、現時点では国から市への評価結果は提示されていません。
③インセンティブによる調整交付金ではなく、明確な財源保障を国に求めるべきと考えるが認識を聞きます
→介護保険財政への国の財政支援に関しては、これまでも東京都市長会を通じ「保険者機能強化推進交付金については、引き続き既存の交付金とは別の財源により実施すること」を国へ要望していきているところです。

<解説>
 保険者機能強化推進交付金とは、交付金の総額を決めて地方自治体に点数を付けて点数の高いところから分配するというものです。国民健康保険では保険者努力支援制度として既に導入をされている仕組みが、介護保険制度でも始められようとしています。
 本来全額支給されるべき交付金の一部を流用して、自治体の点数競争をさせて差をつけるというのがこの中身です。点数競争そのものにも問題ありますが、少なくとも自治体に約束した交付金は余計な手を加えないで交付されるべきです。この機能強化推進交付金については、その内容と財源の在り方の2つの点で大きな問題があります。評価が明らかになった時点で、再度一般質問等でも取り上げていきたいと思います。



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:地域

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。