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稲城市9月市議会一般質問報告1~介護保険制度と学校の暑さ対策~ [市議会]

9月4日に稲城市議会9月議会の一般質問を行いました。
今回も3回にわけて報告をします。
第1回目は「介護保険制度」と「学校の暑さ対策」について報告します。

1.誰もが利用することのできる介護保険制度に向けて
(1)利用料負担増について
①自己負担利用料が3割になる人の基準について聞きます。
→利用者負担割合が3割となる基準は、介護サービスを受けた高齢者本人の合計所得金額が220万円以上の場合です。ただし、いくつかの条件にあてはまる人は2割または1割負担となります。
②1号被保険者の1割負担・2割負担・3割負担の人数と割合について聞きます。
→1割負担は2524人で86.6%、2割負担は206人で7.1%、3割負担は184人で6.3%です。

<解説>
 8月から一部の介護保険サービス利用者の自己負担割合が増え、さらに10月からは生活援助サービスの回数制限の導入が予定されています。このままでは保険料を納めているのに、必要なサービスが利用できない人が本当に出てしまいます。必要な人が必要なサービスを利用できる介護保険制度を求める立場から質問しました。
 ただし書きはついていますが、基本的に所得金額220万円の人は8月から3割負担になるということです。この間、2015年に所得160万円以上の人が2割となりましたが、今度はさらにその上が設けられるということです。
平成29年度に実施された「介護保険における2割負担の導入による影響に関する調査」という厚労省の研究事業で行われた調査報告書があります。この調査はその名の通り、2015年に実施された2割負担の導入が介護保険サービスの利用にどのような影響を与えたのかを明らかにする数少ない調査報告になっています。
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 この調査では、2割負担導入以降のサービスの利用状況について、1割負担の人と1割から2割になった人にそれぞれ聞いています。「サービスの数を減らした、もしくはサービスを中止した」人の割合は、1割負担の人は全体の1.3%に比べて、2割負担の人は全体の3.8%になっています。それぞれ割合は決した多くありませんが、明らかに1割負担の人に比べて2割負担の人の方がサービスを減らしたり、中止をしたりしている人が多くなっています。
 サービスを減らしたり、中止した理由を聞いたら、2割負担の人は圧倒的に「介護に係る支出が重く、サービスの利用を控えたから」と答えています。支出が重くてサービスを減らした人の状況をみると、9割以上が男性で、7割以上が配偶者と、5割以上が子どもと同居しているとのことです。男性で家族に介護力がある人は家族介護で吸収をすることができるので負担を重くなったら介護サービスを減らすことはできるけど、そうでは無い人は支出が重くてもサービスを使い続けなくてはならないということです。介護の社会化といって介護保険を導入してきたのに、費用負担に耐えられずに家族介護に戻ってしまう事例が示されています。逆に家族に介護力が無い人は高いサービス料を負担することで、消費や生活を切り詰めなくてはならなくなるということです。
 2割負担が導入された直後の2015年12月の第4回定例会で、「3割負担になって負担増を理由にサービスを減らした人はいないのか」質問していました。その時の答弁は「サービス利用につきましては、身体状況や利用料負担、本人等の希望などにより、ケアマネジメントを通じて、利用者とサービス提供事業者との個別の契約に基づいて決めることとなっております。このため、サービス利用の個別理由につきましては、把握する仕組みとなっておりません」というものでした。本当にそれで良いのでしょうか。厚労省の調査報告書にだって費用負担を理由にサービスを減らしている実態が表れています。利用者や家族の声をほんとうに掴んでいくことが必要ではないでしょうか。引き続き、費用問題は注視をしていきます。

(2)生活援助の回数制限について
①厚生労働省告示「厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護」の内容について聞きます。
→生活援助が中心の指定訪問介護について、要介護1は一月につき27回、要介護2は一月につき34回、要介護3は一月につき43回、要介護4は一月につき38回、要介護5は一月につき31回となっています。
→この回数を超えた場合は、ケアマネージャーが市町村にケアプランを届け出ることとなっています。そして、市主催の地域ケア会議等において、そのケアプランの利用者支援等について検討を行うと想定しています。
→この回数の根拠は、国の資料によれば全国での利用回数を統計的に見て通常のケアプランよりかけ離れた回数としたとのことです。
②2017年度の実績において同告示の回数を超えるサービスの発生状況について聞きます。
→市町村への届出の義務化は、平成30年10月1日以降の適用となることから、平成29年度の実績については市で把握していません。
③ケアマネージャーの専門性や利用者の選択権を尊重し、一律で機械的な回数制限を行うべきではないと考えるが認識を聞きます。
→ケアマネージャーの専門性や利用者の選択権を尊重しており、また一律で機械的な回数制限を行うものではないと認識しています。

<解説>
 厚労省によるいわゆる「生活援助サービスの回数制限」について、本当にあちこちから悪評となっています。もともとは財務省が「生活援助サービスを使い過ぎだ、上限設定をすべきだ」と横槍を入れてきたことが議論の発端になっており、明らかな「利用制限」となるような仕組みではないでしょうか。
数字の根拠は統計上のものでしかないということです。厚労省の資料を見ましたが、要介護1の人の生活援助の利用回数は全国平均で月あたり9.2回だけど、そのうちの5%くらいの人は月あたり26回になっている。同じく要介護5の人は全国平均は月9.3回だけど、そのうち4.3%の人は月31回使っている、というものです。
 全体の統計をとれば真ん中の平均が出されて、平均から多い人と少ない人がでてきます。それでは、統計上平均より多い人はなにか問題がある人なのか、ということです。この資料では、そのことがまったく説明されていません。飛びぬけて多い人について、わざわざ自治体に聞き取りをしているけどほとんどが「必要なサービスとして適切なものです」と答えています。何も問題が無いのに、たまたま統計上で平均より多かった人の分について、どうしてわざわざ報告させて地域ケア会議なんかで検討しなきゃいけんでしょうか。
 市は「選択権を尊重していて、機械的な回数制限を行うものではない」ということです。実際に適正かどうかを検討するのは、市が主催する「地域ケア会議」で検討されますからそうそう簡単に回数が多いから不適正だなんて言うことはないと思います。しかし、「施設に入るな」「入院するな」「なるべく自宅で過ごせ」ということを「在宅中心の介護」って言ってきたのではないでしょうか。在宅中心になれば、薬の管理や料理や買い物などそれだけ手がかかります。それを今さら、使いすぎている人がいるかもしれないから報告させて、調べろなんて言ってくる。国は利用者や家族やケアマネやヘルパーを信用してないで、疑いの目で見ているのでしょうか。
 市も立場はあるかと思いますが、私ははっきりと言った方が良いと思います。「冗談じゃない。ただでさえ少ない人数で介護現場を回しているのに、これ以上余計な手間をかけさせるな」「現場がそんなに信用できなのか」と。今回は生活援助サービスのみですが、この仕組みを使えばいくらでもどんなサービスでも上限回数を決めて制限かけるのが可能となります。そして、その都度現場の介護職の人たちが疲弊し、自治体の担当者の皆さんが板挟みになってしまうのではないでしょうか。こういった理不尽なやり方については、市としてもはっきりと意見表明をすべきではないでしょうか。今後もこの問題については利用者の皆さんの声も聞きながら、取り上げていきたいと思います。


2.子どもたちの命と健康を守るための学校の暑さ対策について
(1)学校現場における熱中症事故の防止について
①学校における熱中症事故防止の基本的な考えについて聞きます。
→児童・生徒の健康や安全を守るために、天教や気温、活動内容や活動場所等の状況により、教育計画の変更や注意喚起など、適切に対策を講じることです。
→夏季休業期間中の水泳指導や部活動における熱中症予防の対策については、活動当日の天候や気温等の状況により、実際に水泳指導や部活動を中止にしたり、部活動の活動時間を短縮して活動したりするなどの対策を講じています。
②市内の小中学校での「暑さ指数(WBGT)」の測定について現状を聞きます。
→WBGT等の指数の測定については、学校に設置されているWBGT指数を確認できる温湿度計の数値を確認するなどして、教職員が毎日状況を確認しております。
→市内のすべての小中学校において、暑さ指数を確認できる温湿度系の計測器がされています。

<解説>
「災害級」とも言われる今夏の暑さの中で、学校での抜本的な暑さ対策を求める切実な声が寄せられています。2学期が始まっていますが残暑が残り、最高気温34度、35度という日もありました。子どもたちの命と健康を守り、教職員の負担を軽減するための施策の実施を求める立場から質問しました。
 熱中症予防対策として教育計画の変更もあるということです。実際に夏休みの水泳授業や部活動を中止にした状況もあったということです。私の子どもが通う学校や、その他の学校でも一時的にプール授業を中止したり時間を短くしたりした事があったと聞きました。各学校の判断で行われたようですが、適切な対応だったのではないでしょうか。
 また、暑さ指数(WBGT)についても対応を聞きました。暑さ指数とは、環境省のホームページによると「暑さ指数とは、人間の熱バランスに影響の大きい気温、湿度、輻射熱の3つを取り入れた暑さの厳しさを示す指標です」とのことです。今年の夏は熱中症の予防が強く叫ばれました。強調されているのが熱中症のリスクは暑さだけではなく、湿度も大きく関係しているということです。湿度が高いと気温28度程度でも熱中症にかかることもあり、屋外だけではなく屋内でも十分に危険性はあるということが注意喚起されています。
 今までのように気温計で気温を計ったり、それこそ天気予報を見て「今日は暑そうだから校庭の使用や校外活動を控えましょう」という単純なことではなくて、湿度や輻射熱などの複合的な条件を考慮して屋外での活動を判断することが求められているわけです。そういった意味では、答弁に合ったように暑さ指数を図れる温湿度計で校庭やプールサイドの状況などを確認してから判断を下すというのは適切な対応ではないでしょうか。

(2)教室への冷房設置について
①2017年度までの冷房設置状況について聞きます。
→すべての小中学校の普通教室、音楽室、視聴覚室、パソコン室、そして全ての中学校の理科室に設置が完了しています。学校図書館については、構造上設置の難しいニュータウンの一部の学校を除き、設置が完了しています。
②2018年度の冷房設置計画について聞きます。
→現在、小学校12校の理科室と中学校の普通教室1室について、空調設備の設備を進めています。設置完了は10月末を予定しています。
③2019年度以降の冷房設置予定について聞きます。
→空調が未設置の特別教室については、財源の確保等を含めて引き続き対応を検討していきます。
→子どもたちの健康面などの教育環境の向上を図る上で、小中学校への空調設備の設置について重要であることは十分認識していいますが、すでに児童・生徒が使用する教室の全体の9割近い教室に空調設備の設置が完了していますので、非常に暑さの厳しい時期にはまずは空調設備のある教室を有効活用してほしいと考えております。
→国による新しい補助金については詳細もまだわかりませんので、今後その内容について注視していきます。

<解説>
 この間、改修や建て替えの終わった学校がありますが、そういった学校でも家庭科室や図工室、美術室にはエアコンがついていません。学校の関係者や保護者からは「わざわざ全面的に改修したのに、なぜエアコンのついている教室とついていない教室がわかれるんだ。そこが理解できない」という声がだされています。けっきょくすべての特別教室にエアコンがつけるということになっていないために、全面改修した学校でも一部の教室にエアコンをつけないで工事終了をせざるを得ないという状況があります。学校の先生からは「わざわざエアコン専用のコンセントだけつけて、肝心のエアコンがついてない。なんなんだ、これは」という声が、保護者の方から「どう考えたって一緒に工事をしてしまえば、後から取り付けるより費用だって安く済むはず。わざわざ高い工事費払ってエアコン後付けしているんだから、無駄使いそのものじゃないか」という声が率直に寄せられています。
 今後の特別教室への空調設置は、財源が確保されなければやらないということです。ここでもう一度問いたいのは、全ての教室への空調設置は子どもたちとそこで働く教職員の健康を守る問題として取り組むべきではないかということです。
 市は健康面については認識しているが、暑かったら他の教室を融通してなんとかしてくれという答えです。本当に教育委員会が、こういう認識でいいんでしょうか。それでは、図工室や美術室や家庭科室や技術室は、なんのために存在しているんでしょうか?子どもたちに正しい知識や技術を身に付けてもらうために、そういった特別教室は存在しているはずです。調理実習を、木工彫刻を、デッサンを、ハンダ付けを普通教室でやっていいということなんでしょうか?
 今回、質問準備をするにあたって多摩地域26市の学校へのエアコン設置状況について調べてもらいました。東京都教育委員会が調査を行い、それを議会事務局に整理をしてもらいました。これによると、普通教室については全地域で設置率が100%になっていますが、特別教室で設置率にばらつきがでています。
 稲城市は小学校の特別教室の数は205でそのうち冷房設置済みが111、未設置が94で、冷房設置率は54%です。中学校は特別教室の数は148で冷房設置済み65、未設置が83で、設置率は44%になっています。26市全体はどうか、26市全体の小学校の特別教室への冷房設置率は平均約79%、中学校は約75%になっています。多くの自治体で7割、8割の特別教室に冷房が設置されています。は
 設置率9割以上の自治体が26市中11市になっていて、稲城市の冷房設置率の順位は小学校は26市中24番目でワースト3位、中学校は26市中23番目でワースト4位という状況です。全体の平均が5割程度なら、どこの自治体も苦労しているんだと、もっと都や国が補助すべきだとなりますが、そうではありません。多くの所が7割とか8割とか9割の設置率になっています。
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 小学校で5割台にとどまり、中学校で5割にもとどかない自治体は、片手で数えるほどしかありません。これは教育委員会だけの問題ではなく、まさしく市長の責任ではないでしょうか。市長として、子どもたちや教職員の健康を守っていくという立場からも、すべての特別教室への冷房設置を計画化すべきではないでしょうか。国もようやく重い腰をあげて、冷房設置の補助金を新たに作るようなことも言っています。そういったものの活用も含めて、すべての特別教室への冷房設置を決断すべきではないかと、市の対応を求めました。

(3)体育館の暑さ対策について
①体育館使用時の暑さについて教職員や保護者、利用者から寄せられている声について聞きます。
→PTA連合会や体育館の利用団体から、体育館の騒音に対する近隣からの苦情や故障が原因で、窓や一部の扉を開けられないために、熱中症を心配する声が寄せられていることは認識しています。
→故障している排煙窓等については、速やかに修繕をしていきます。
②体育館使用時の熱中症事故予防について特に重視をしている点について聞きます。
→夏季休業期間中の部活動による体育館使用については、活動当日の天候や気温等の状況により、熱中症事故防止対策として体育館使用を中止にしたり活動を制限したりするなどの対策を講じました。
③体育館への冷房設置に対する認識について聞きます。
→学校体育館については教室に比べて体積が非常に大きく、設置する空調設備については高い能力が求められることから工事費や維持管理など膨大な経費を要することになります。近年の猛暑による学校運営への影響や、体育館が地域活動や災害対策などの重要な拠点となっていることは十分認識しておりますが、現時点では空調設備の設置は困難と考えています。
→学校体育館における暑さ対策としては、可能な限り備品として学校に整備しているスポットクラーラーや大型扇風機を活用して対応しています。大型扇風機が整備されていない学校については、各学校の状況を確認するなど整備に向けた検討をすでに始めています。

<解説>
 この間、PTA連合会が毎年要望書を提出していますが、その中では「体育館の排煙窓が壊れていて換気ができない」「体育館の換気や空調を改善してほしい」という要望が出されています。夏休み期間中の部活動でも、実際に使用中止になった状況もあるということです。今年の尋常じゃない暑さの中で、本当に体育館の中が熱くなっているようです。「30分も中にいると頭がくらくらしてしまう」という声も寄せられています。抜本的な対策が必要ではないでしょうか。
 市も対策の必要性は十分認識しているということです。ただ、体育館への冷房の設置は財政的にも早々できるものではないというのは理解しています。そこで、暑さ対策として例えば大型扇風機を設置するなどをすべきではないかと、提案もしました。
 市も大型扇風機については検討を始めているという事で、これは一歩前進として捉えたいと思います。ぜひ早急に進めてもらいたいと思います。そして、これで終わりということでは無くて、これを一歩として考えて体育館の暑さ対策を行ってほしいと思います。なによりも子どもたちの命と健康を守り、そこで働く教職員の負担を軽減するために、学校における暑さ対策とすべての教室への冷房設置をこれからも求めていきます。

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