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稲城市9月議会一般質問の報告③~雨水排水対策について~ [市議会]

一般質問の報告の最後は「雨水排水対策について」です。

4.雨水排水対策について
(1)風水災害に対する防災対策について
①大雨や暴風に関連する警報や注意報の基準について聞きます。
→大雨警報、大雨注意報、暴風警報、暴風注意報についてそれぞれ基準が設けられています。
→各種警報が発表された際は、稲城市メール配信サービスや公式ホームページ、必要に応じて防災行政無線を活用して市民へ周知します。
②市内の土砂災害危険個所の把握状況について聞きます。
→東京都が公表した土砂災害危険個所マップによると45か所で気球傾斜地崩壊の危険があると指定されており、毎年現場調査を実施して実態を把握しています。
→東京都の土砂災害危険個所マップは平成15年度に作成されており、それ以降の情報は更新されていません。
③市内の浸水予想区域の把握状況について聞きます。
→国土交通省が公表している多摩川の浸水想定区域図と、東京都建設局が公表している三沢川流域浸水予想区域図により把握しています。
→市街地を流れる用水路に限定した浸水被害リスクについては把握していません。

<解説>
 今年の夏は日本の各地で豪雨や暴風雨による災害がおきています。風水災害に対する備えとして日常的な排水対策の向上を求める立場から質問しました。
 台風などが近づくとニュースなどでも報道がされるわけですが、こういった警報や注意報が発表された際の市民への周知方法についてはメール配信サービスが重要になってくるわけです。しかし、高齢者で携帯電話の電話機能を使っていてもメールは使われていない人もけっこういます。当然、インターネットもほとんどしないのでホームページなどを見ることもできません。防災無線も場所によっては聞き取るのが大変な状況です。高齢者への対応については特段の配慮が必要になるのではないでしょうか。
 また、土砂災害マップについては作成から15年近く経とうとしていますし、浸水被害マップについても市街地を流れる用水路については把握をしていないといことです。それぞれ、必要なリスクの把握と市民に対する情報公開は進めてほしいと求めました。

(2)雨水貯留・浸透施設の設置について
①「東京都雨水貯留・浸透施設技術指針」で示されている貯留施設と浸透施設の機能について聞きます。
→貯留施設は公園・緑地貯留や地下貯留、屋外貯留などがあり、降雨のピーク時に雨水の流出量を抑える機能があります。
→浸透施設は浸透枡や浸透トレンチ、浸透側溝などがあり、降雨量に関わらず土壌の浸透能力に応じて一定の浸透機能を発揮するため、長時間の降雨に対する流出抑制効果があります。
②稲城市における貯留施設および浸透施設の設置基準について聞きます。
→平成22年度に「稲城市雨水貯留・浸透施設基準」を定めています。宅地などの敷地から排水される雨水について雨水流出抑制を図るため、適切な指導を行うことを目的としています。「稲城市宅地開発等指導要綱」に適用となる事業について、事業者との協議を行う際に指導を行っています。
→対策量については多摩川・三沢川流域は1ヘクタール当たり500㎥を単位対策量としています。設置については指導による設置です。届出の必要はなく、設置後の維持管理は設置者がすることとなっています。
③押立地域の第四中学校裏付近において、大雨の際に敷地外へ大量の雨水が流れ出し周辺地域に影響を与えているような状況について、市民から寄せられた苦情や改善要望について聞きます。
→大雨の際に、周辺の商業施設などから敷地外へ大量の雨水が流出していることを市職員が確認しています。現地で市職員が住民と立ち会った際に、豪雨時に商業施設ながら敷地外に雨水が流出して、市道の冠水や宅地内への浸水が心配とのご意見をいただきました。円滑な雨水排水機能が確保されるように改善を求められ、平成29年5月に集水桝や雨水排水管を一部増設する工事を実施し、改善を行いました。
→隣接する商業施設は平成17年に建設されており、「稲城市雨水貯留・浸透施設基準」の適用はありません。施設内には雨水流出対策として、浸透桝や浸透トレンチなどが設置されていることは認識していますが、対策量については把握をしていません。
→商業施設に対しては、平成28年8月に本社に1度、同年9月と平成29年3月に店舗に2度指導を行いましたが、雨水の流出改善対策については商業施設からの相談や提示などは現在のところありません。引き続き、改善に向けて指導を行っていきます。

<解説>
 東京都は雨水の流出抑制対策として施設技術指針を定めていて、この中ではタンクや地下の貯留槽に水をためる貯留施設と、地面に水を浸み込ませるための浸透施設の2種類があるということです。
稲城市も雨水貯留・浸透施設基準を設けていますが、対象となる建物や開発の規模が定められていなかったり、そもそも指導要綱としてあくまでもお願いをするという位置づけになっています。近隣市でも同じように雨水排水施設の設置基準を定めていますが、府中市などはまちづくり条例の一環として基準をつくり「大規模開発の際には雨水の流出の抑制を図るため、開発区域内に雨水浸透施設を設置しなければならない」と設置を義務化しています。
 この雨水の流出について、押立地域の「くろがねや」周辺で問題になっています。私も以前から相談を受けていました。雨が降ると「くろがねや」の駐車場からそのまま雨水が道路に流れ出して、少し低くなっている押立1744番台の住宅街の方に流れていってしまうのです。実際に流れている現場を市職員と一緒に確認したこともありました。住宅街の方の排水施設を整備してくれたことで雨水の流れが良くなって、道路そのものの冠水がなくなりました。これについては、住民の皆さんからも大変喜ばれています。しかし、根本的には駐車場からの雨水の流出を止めなくては解決にはならないのではないでしょうか。
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※周辺地図

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※雨で水没する側溝

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※駐車場に水が溢れて大きな水たまりに

 建物が平成17年に作られていて雨水浸透施設も設置されていますが、具体的にどの程度雨水を処理できるのか市も把握していないという事です。もともと、あの周辺の地域は水はけの良くない土地だと以前から言われていました。そういった場所で地面に浸み込ませることを目的にした浸透施設だけで雨水を処理するのは厳しいと思います。また、経年劣化で処理量も減少しているのではないでしょうか。私は駐車場の地下なりに貯留槽をちゃんと作って、一時的に水を溜められようにすることで、浸透施設も含めた複合的な排水管理をするべきだと思います。法的な義務はともかくも道義的にはそういった責任は事業者の側に求められるのではないでしょうか。
 実際には、この夏の雨でも駐車場から雨水が流出している状況を把握しています。市としても改善状況や今後の改善計画を把握して、当該事業者に対して必要な指導は継続して行うべきであると求めました。

(3)道路の水溜りの解消について
①市内での道路のへこみなどによる水溜りの発生状況について聞きます。
→平成26年度は18件、平成27年度は22件、平成28年度は11件の市民からの報告がありました。
→市民からの報告については、有力な情報の提供としており、情報をいただいた後にすみやかに現場の確認を行ってきています。今後も引き続き、市民からの情報を受けた際には、できる限り速やかに現場確認を行っていきます。
②水溜りの解消に向けた道路のへこみなどの補修について認識を聞きます。
→必要に応じて舗装補修工事や雨水排水施設の清掃を実施し、水溜りの解消に努めています。
→市民からの報告により水溜りを補修した件数については、平成26年度は14件、平成27年度は18件、平成28年度は9件となっています。
→市民から報告を受けた際の対応については現地を確認し、必要に応じて市民との立会を実施し、補修の方法等について市民に説明を行って水溜りの改善に努めています。

<解説>
 道路の水溜りについては、ひとつひとつの影響は少ないかもしれませんが住んでいる人にとっては毎日のことなので重要です。市としては道路の維持管理のためにも、こういった市民からの報告は積極的に受けていくべきであると考えているとのことです。私も何件か市民の方からの水溜り解消の要望を伝えてきました。補修された場所もありますが、まだの場所もあります。わざわざ市民から寄せられた要望は重要なものですし、途中経過も含めてしっかりした対応を求めました。

(4)南山東部高盛土工事について
①現在まで実施された工事内容について聞きます。
→工事用道路の築造、樹木の伐採、仮設調整池の設置、地盤改良や排水施設の整備を進めています。
→組合で今後の全体工事計画を精査した結果、6月に事業計画を変更して事業期間を平成37年3月31日までの2年間延伸しました。
②今後の工事予定について聞きます。
→地盤改良工事を平成29年度内の工事完了を予定しています。
→組合では安全管理を第一に適切かつ確実な施工に努めていますが、市としても安全管理を徹底して各委員会の答申に基づき確実に施工するよう指導しております。
③排水シートの変更について状況を聞きます。
→当初に選定された排水シートが製造中止となったことが判明したために、代替材料の選定を行っています。
→排水シートは盛土工事における雨水対策として、堤体内の水圧の減少を図るための材料、使用料は57万㎡です。機能として排水性や耐圧縮性などが必要な材料です。
→平成24年度の施工検討委員会答申書では、性能評価方法として目詰まりに対する長期通水試験、水平方向の透水量に対する通水性能試験、先行確認盛土の際に実施した圧縮変形試験などにより評価をしました。
→今後の代替材料は、施工管理第三者委員会で選定をしています。先行確認盛土試験は実施をしません。
④「記録的短時間大雨情報」や「線状降水帯」などの近年の大雨リスクについての対応状況について聞きます。
→根方谷戸の盛土造成については、近年発生した大雨のケースを想定し、完成後の安全性を確認しております。施工中の大雨のへの対応としては、工事の施工段階ごとに仮設の調整池を適宜設置するなどの対策を図っています。その他に大型土嚢や圧送ポンプなどを現地に配置させ、大雨時に迅速な対応を図れるように体制を整えています。市としても、工事施工中の安全管理に努めるよう、引き続き組合を指導していきます。

<解説>
 根方谷戸の盛土造成工事については、工事期間が延長をされました。地盤改良工事は年度内に終了予定ですが、工期優先ではなく安全管理を優先した慎重な工事施工を求めました。
 また、当初予定をされていた排水シートが製造中止になったということで、新しいものもう一度選び直さないといけない状況もなっています。排水シートはまさしく雨水対策で重要な役割を果たします。57万平方メートルですから、東京ドーム12個分くらいのシートを使うことになります。平成24年の施工検討委員会で行ったのと同様の試験を行うとのことですが、施工管理第三者委員会の議事録を読むと「室内試験を再度実施する」と書かれています。しかし、施工検討委員会では先行確認盛土、つまり屋外で小型の盛土をして排水シートに実際に土を盛って上から重機で踏むことで、排水シートの変更をするのであれば、今回も屋外での盛土を実際に使った試験も行うべきであると求めました。
 根方谷戸の盛土工事はこれからも続きます。引き続き、安全な工事施工と住民の命と暮らしを守る市の役割発揮について求めていきます。

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