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稲城市3月議会一般質問の報告①~介護保険計画~ [市議会]

3月3日に、稲城市議会第1回定例会(3月議会)の一般質問を行いました。
今回も3回に分けて、私の質問とそれに対する市の答弁などについて報告いたします。
第1回目は「第6期介護保険計画について」を報告します。
1.第6期介護保険計画について
(1)「通いの場支援補助金」について
①「通いの場支援補助金」の応募状況について聞きます。
→平成28年11月7日時点で9団体の申し込みがあり、その後の追加募集で3団体から申し込みがありました。
→想定していた利用件数は講師料は30件、会場費は4団体、広報費は9団体を上限にしています。
②「通いの場支援補助金」について市民やボランティア団体等から出されている意見について聞きます。
→直接、市民やボランティア団体等からいただいたご意見は特段ありません。
→当該補助事業の周知方法については、広報やホームページへの記載、関係団体への周知を行いました。
→応募状況については今後評価をしていきます。
③民間の賃貸アパートや一軒家を借りて助け合い活動を行っている団体への支援制度の実施について認識を聞きます。
→「会余の場支援補助金」については、地域における住民主体の介護予防活動団体を育成・支援するために講師料、会場費、広報費の一部を補助するものです。民間の賃貸アパートや一軒家の賃料についても会場費として補助の対象となります。
→会場費の補助については、補助額が低いことにより開催回数を増やすことができないというご意見やご相談はこれまでありませんでした。
<解説>
 第6期介護保険計画も残り1年となりました。国の方でも次期の計画づくりに向けて様々な論点が示されています。介護保険制度の根幹である福祉と社会保障としての役割を守っていく、そういった立場から質問をしました。
 「通いの場支援補助金」については、「通いの場活動の開催回数や参加者の増加、介護予防活動の取り組みを支援するもの」ということでした。当初は11月7日が締め切りだったのだけれど、結果として2月28日まで4ヶ月締切が延長されて追加募集されていました。私の知り合いの方でも、この支援補助金について申し込みをするかどうかについて迷っていました。市からはぜひ申し込んでくれと言われていたが募集要項を呼んでも今一つわかりづらい、応募用紙についてもどのように書けばいいのかわからない、などそもそもの部分で引っ掛かっていました。私で分かる範囲は解説をしてあげながら、書き方については窓口に行って市の担当者と一緒に書けば教えてくれますよとアドバイスもしました。やはり地域でボランティアをされている皆さんは仕事でやっている訳ではなく、行政文書の読み取り方や書き方に慣れている訳でもない、そういった方々には制度を作ったので使ってくださいだけではなく、丁寧な援助をしていくことも必要ではないでしょうか。
 市には相談の声は寄せられていないということでした。私は地域でがんばるボランティアの皆さんを応援する制度はとても重要ですし、積極的に活用をしてほしいと思います。だからこそ、使い勝手や適用要件、補助額そのものの妥当性について率直な声を聞く事は大事だと思います。先ほどの書類の書き方一つをとっても、おそらく地域の団体の多くの皆さんがいろいろなご意見をお持ちだと思います。そういった皆さんの声について、丁寧に聞き取ってほしいと求めました。

(2)「混合介護」について
①介護保険サービスと介護保険外サービスの同時実施について認識を聞きます。
→介護保険制度においては、保険サービスと保険外サービスを同時・一体的に提供することは現制度上できないものと認識しております。
→介護保険制度上の「上乗せサービス」については条例によって支給限度基準額の増額を設定できるものであり、「横出しサービス」については条例によって保険給付の対象外サービスを自治体独自の保険給付として実施することができるものです。
②東京都が検討している混合介護の内容について聞きます。
→東京都が国家戦力特別区域会議に提案した混合介護については、「介護保険サービスと保険外サービスの同時・一体的提供」と「介護保険サービスに付加価値をつけた部分への料金設定」の2点と聞いています。
→「保険外サービスの同時・一体的提供」については、「訪問介護サービス提供時に同居家族分の調理、洗濯などを一緒に実施」すると例示されています。「付加価値をつけた部分への料金設定」については、「健康づくりの資格・技能、外国語や方言等の技能を有するヘルパーの指定料」が例示されています。
③「混合介護」は介護保険の公的サービスを縮小させ、経済格差によるサービスの差別を招くものであり、実施をすべきでないと考えるが認識を聞きます。
→利用者負担の在り方も含めて、東京都のモデル事業として実施する結果について注視していきたいと考えています。また、介護保険サービス及び介護保険制度に関しては、必要に応じて様々な機会をとらえて国や都へ引き続き要望していきます。
<解説>
 「混合介護」について、急に注目が集まっています。小池都知事の肝いりで豊島区で混合介護を導入する話しが降ってわいたように出てきています。それ以前から、経済産業省などが混合介護について旗振りをしていますが、内容について理解が広がっている状況でもありません。
東京都は豊島区を戦略特区にして、2つの新しい制度を実施しようとしているということです。想定されているのは、「保険外サービスの同時・一体的提供」と「付加価値をつけた部分への料金設定」の2種類です。これ、具体的にはどういうことなのか。後者はなんとなくわかります。ヘルパーさんの指名料のようなものを取ってもいいという事です。
 それでは、前者の「訪問介護サービス提供時に同居家族分も行う」というものはどういうものか。20106年3月に厚生労働省と農林水産省と経済産業省が共同でだした「地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集・保険外サービス活用ガイドブック」というものがあります。その中に40近い事例が紹介されています。例えば、株式会社ダスキン「独自の専門的研修を受けたスタッフが高品質の家事・介護を提供」「お客様やご家族が感じるちょっとした不安や心配事を解決する」としています。平均金額は1回2時間週2回で月5万円になっています。その他、コナミスポーツとかセコムとか資生堂とか名だたる大企業が名を連ねています。
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※参考事例集のホームページURL
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000119256.html

 私はこういった保険外サービスを一律に否定するものではありません。選択肢は広がっているかもしれません。しかし、それはサービス料金を支払える人にとってはということです。月に5万円とか3万円とか場合によっては10万円とかサービス料がかかる、今の高齢者の生活実態の中でそれが払える人がどれだけいるのかという事です。
 このまま民間介護保険と公的介護保険の境界線をなくして、ごちゃ混ぜにしてしまったらどうなるのでしょうか。昨年の12月に都内のケアマネ事業者にある介護事業者からFAXが送られてきたそうです。「東京都として新混合介護解禁は今年度内に行われる可能性が非常に高い。われわれは今までの訪問介護ではできなかった、利用者とその家族を一番に考えたサービスが必要と考えます。東京23区内人数限定で介護保険と介護保険外を合わせて、月額98000円24時間365日見守りパックをはじめ、58000円、28000円パックを開始します。等々」と書かれています。まさしく松竹梅のメニュー表そのものではないでしょうか。
 介護保険制度の根幹は利用者の状態についてアセスメントをして、その状態に合わせて必要なサービスを実施することです。必要かどうかではなく、お金を払えるかどうかでサービス内容が決まってくる。こんなことを許したら、公的介護保険の理念がめちゃくちゃになってしまいます。
稲城市の姿勢としては、都や国に対して混合介護ではなく介護保険サービスの充実を求めるべきであり、混合介護にはきっぱりと反対をすべきであると求めました。

(3)第7期介護保険計画について
①第7期介護保険計画の検討スケジュールについて聞きます。
→検討スケジュールについては現在ニーズ調査の結果を取りまとめています。今後、おおむね1年をかけて介護保険運営協議会で10回程度の議論を行い、市民意見公募や市民懇談会等から意見をつのり、取りまとめていきます。
②第7期介護保険計画において介護保険料を引き上げるべきでないと考えるが認識を聞きます。
→事業計画策定において、介護保険料基準額の算定をしていくことから、現時点では介護保険料額を引き上げるべきかどうか判断できないものと考えております。
→第5期介護保険計画の介護保険料基準額は年額52,800円で、第6期は年額57,600円であり、第5期から第6期にかけては年間4,800円上昇しています。
<解説>
 現在の第6期介護保険計画は2018年3月末で終了し、2018年度からは新たに第7期介護保険計画が開始されます。
 今回の質問直前の2月27日に厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会が開かれて、そこで第7期計画の基本指針が示されました。基本指針ですから、まだ大雑把ですけどとても気になる内容も含まれています。
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※介護保険部会のホームページURL
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000153161.html

 基本的な理念の中に「自立支援、介護予防・重度化防止の推進」が盛り込まれ、これまで「介護給付の適正化」としていたもの「効果的・効率的な介護給付の推進」とより強い内容に変えています。そして、計画作成の基本的事項の中に「施策の達成状況の評価等」や「目標の達成状況の点検、調査及び評価等並びに公表」と盛り込まれ、新たに「被保険者の地域における自立した日常生活の支援、要介護状態等の予防又は軽減若しくは悪化の防止、介護給付等の適正化への取組及び目標設定」という項目が付け加えられています。付属の資料では先進的な取り組みをしている自治体では要介護の認定率が下がって、保険料の上昇が抑えられていると紹介されています。
 これを読み解けば、要するに「要介護の人の人数をどれだけ減らします。もしくは増えても何人くらいです。」と目標を決めさせて、それが達成できたかどうかを評価させて、結果を公表させて自治体を競わせる。しかも、財政的なインセンティブまで付与すると書いてあります。相手は人間です。車や機械ではなくて、これだけ効率が上がったのでこれだけ改善をしましたなんて、簡単には言えないわけです。こういった「要介護者減らし競争」のようなものに巻き込まれるのではなく、稲城に住んでいる高齢者の方が地域の中で在りのままの生活を送っていく事を支援する、そういった介護保険計画にしていく事を求めました。
 第7期計画になれば、介護保険料も変わってきます。第5期介護保険計画から第6期になった時に上げられていて、現在月4800円です。26市の平均が5277円で、その中では何とか平均以下にするように努力はされています。しかし、介護保険料で月5千円を超えるというのは負担感も相当大きくなります。この点についても、今後の第7期計画の議論を踏まえて、引き続き議会で取り上げていく事が重要となります。これからも、介護保険については継続的に調査、分析を進めていきます。

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