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稲城市・市議会3月議会一般質問の報告①~医療と介護~ [市議会]

本日、稲城市議会平成28年第1回定例会(3月議会)の一般質問が終わりました。
持ち時間45分のうち、41分を使って質問をしました。多くの方が傍聴にお越しをいただき、ありがとうございました。
一般質問のやり取りについて3回に分けて報告をします。
今回は「1.地域包括ケアの構築について」と「2.第6期介護保険制度について」報告をします。

1.安心して住み続けられる、地域包括ケアシステムの構築について
(1)2016年度診療報酬改定にあたっての稲城市立病院の対応について
①新たな医科診療報酬点数の当てはめによる医業収入への影響について聞きます。
→施設基準の新規算定項目は可能な範囲で取得に努めていきます。
→新たな改定では、「夜間休日救急搬送医学管理料」について受け入れ時間帯が拡大し、診療報酬点数はアップをしています。
②入院基本料の施設基準の見直しへの対応について聞きます。
→施設基準の見直しでは、「重症度・看護必要度」について対象となる範囲が拡大をしましたが、該当する患者の割合が15%から25%に引き上げられました。
→「7対1看護体制」の中では項目の幅が広がる一方で、割合の維持について厳しい部分もありますので、今後も基準を勘案しながら看護体制の充実に努めてまいります。
③退院調整に関する取り組みについて聞きます。
→在宅復帰への円滑な移行を促進するために、医療ソーシャルワーカーの増員など更なる強化を図ってまいります。
→現状では患者の病状の安定が図られ次第、医師の指示のもと、病棟看護師と地域連携係職員との連携により、在宅復帰や施設入所等への退院支援をしております。
④今後の病床機能の計画について聞きます。
→救急医療、周産期医療、小児医療、高度医療など、市民が求める医療を提供していくためにも急性期病床を担っていきます。
→地域包括ケアシステムが構築されていく中にあって、地域の中核病院として後方支援病院の役割がさらに増してきます。急性期病院としての施設基準の条件が厳しい面もありますが、その時点で看護基準を勘案しながら急性期病院として維持をしていきます。
<解説>
 今年の4月に医科、歯科、調剤の診療報酬が改定されます。新たな診療報酬体系の中では、これまで同様に、病床削減政策のもとで急性期病院の施設基準が厳しくなっています。住み慣れた街で暮らし続けていく地域包括ケアシステムの構築のためには、在宅医療と介護を後方支援する病院の存在が欠かせません。稲城市立病院が市民のための病院として引き続き役割を果たしていくことを求める立場から質問しました。
 今回の改定では多岐にわたる項目で変更がされていますが、特に市立病院にとって重要になるのは入院基本料の施設基準の変更です。これは、基本となる入院料を算定するためにクリアをしなければならない様々な数値や体制整備のことです。今回の診療報酬改定で特に見直しがされたのが、入院患者の「重症度・看護必要度」についてです。
 もともとこの「重症度・看護必要度」が導入されたのは、明らかに入院患者数の抑制政策であり、急性期病床などの入院病床の数を減らしていくためのテコとして使われています。この「重症度・看護必要度」に当てはまる患者が、これまでは全体の15%以上いなくてはいけなかったのが、今度からは25%以上必要になってきます。私が危惧をするのは、この基準をクリアするために病院として症状が軽い患者の早期退院を促進したり、こういった基準に当てはまらない患者が入院しづらくなったりすることです。この点については、「大学病院とは役割が違う」「地域の中学病院として役割を担っていく」と答弁がされました。
 今後も病床の役割についても、急性期病床を担っていくという事ですが、国は今全国に33万床ある「7対1急性期病床」を2025年までに18万床に、現在の半分近くまで減らそうと計画しています。これからも診療報酬改定や地域医療計画など、あの手この手をつかって急性期病院を維持するための基準を厳しくしていくことが考えられます。その点について、市立病院として今後の病床機能についてどのように考えていくのかを聞きましたが、「今後もがんばって急性病床を維持をしていく」という答えでした。地域包括ケアシステム構築のためには後方支援の病院が重要になってくるという点では一致をしております。これからも、市立病院が引き続き市民の命と健康と暮らしを守っていく存在となっていくことを求めました。

2.第6期介護保険計画について
(1)「介護予防・日常生活支援総合事業」について
①「基本チェックリスト」による事業対象者の人数を聞きます。
→事業対象者は2015年11月末時点で216人です。
→判定については要介護認定のように認定有効期間の期間の定めはなく、随時見直しができます。
→見直しについては家族や本人の申し出により可能です。
②「基本チェックリスト」による事業対象者の「個別サービス計画」の作成状況について聞きます。
→訪問型サービスAと通所型サービスA・Cでは個別サービス計画を作成することとしており、これの作成が円滑にされていることを確認しています。
③「訪問型サービスA」従事者の資格要件「一定の研修受講者」の研修内容等について聞きます。
→現時点では「一定の研修」については設定をしていません。
→今後は制度の趣旨を踏まえて研修内容を設定して、適切なサービス水準は維持できると考えています。
→今後、介護従事者が不足することは予想をされることから、適切な介護従事者等の人材育成が必要になってくるものと認識しています。
④現行相当サービスを実施している事業者の「みなし指定」の期間終了後の対応について聞きます。
→「みなし指定」の期間は平成30年3月までとなっています。期間終了後も、総合事業の利用者が適切なサービスが利用できるように対応してまいります。
→専門的なサービスについては適切に維持されるように努めてまいります。
<解説>
 今年度から開始された総合事業が来月で2年目に入ります。この制度のかかえる様々な課題を明確にし、必要な方が必要なサービスを受けられるようにすることを求める立場から質問しました。
 今回の質問の最重要課題は、「ちゃんと専門的なサービスを維持させる」ということです。答弁の中で、「今後、介護従事者が不足することが予測される」という答えがありました。私はこの点について認識を改めるべきであると考えています。介護サービスの人材不足は本当に深刻です。それでは、なぜ人材不足なのか。政策的に介護報酬が低く抑えられ、そこで働いている人たちに十分な待遇改善ができていないからです。この間、市議会でも他の議員から介護従事者の待遇改善を行うべきであるとの質問が出されています。
 待遇が悪いから専門職が集まらない、だから専門職が必要なさそうな人は無資格に近い人や場合によってはボランティアに任せてしまえ、これではひたすら低い方低い方に合わせていくだけではないでしょうか。国政でも日本共産党を含む野党5党が介護職員の賃金を上げるための法案を共同提出しました。今やるべきは、行政の責任としてしっかりと介護従事者が確保できるような報酬体系にしていく、待遇改善を行っていくことが本道であると求めました。
 また、市は自治会などで今後の介護保険について説明をする際に「介護保険の改正で保険制度だけでは成り立たなくなっている」「稲城市は施設よりも在宅が重要と考えていて、そのためにはボランティアが重要」という説明がされているということです。第6期介護保険計画には「全国一律に提供されていたサービスが、多様なニーズに対応したサービスに移行します」とだけ書かれているのに、いつのまにか市民には「介護保険が成り立たない」とか「在宅中心なので、ボランティアを重視する」と説明をしているのです。市民から広く介護保険料を徴収しながら、実際のサービスに無資格者やボランティアを主力として投入をしようとしているのではないかという疑念があるわけです。この点について、必要な専門的サービスを維持すべきであると求め、少なくともその点については「必要な専門的なサービスはちゃんと維持をする」という答弁がされたのは大事なことです。

(2)「日常生活圏域」について
①現行の「日常生活圏域」の地区割りの根拠について聞きます。
→地理的条件や人口、事業の効率性やまちのなりたちなどを勘案して設定しています。
→中学校区域で設定という認識については、ひとつの例示であえると考えており、稲城市の実情に応じた設定をしています。
②現行の「日常生活圏域」の地区割りの課題について認識を聞きます。
→大きな課題はありません。
→それぞれの地区で業務等に対する偏りや負荷は過大ではなく、事業等に支障は生じていません。
<解説>
 「日常生活圏域」は制度上では中学校区域での設定がひとつの目安であると言われています。稲城市は現在、4つの地区に分けられていて、それぞれに地域包括支援センターが配置をされています。より地域に密着した介護サービスを提供するためにも、中学校区域を単位にした地区割りを求める立場から質問をしました。
 市は日常生活圏域について課題は無いという事です。しかし、本当にそうなのでしょうか?私は特に第3地区が大変ではないかと思っています。第3地区は大丸、東長沼、百村の3地域をまとめています。この地区が現状でも世帯数と高齢者数が一番多くなっています。人口は向陽台、長峰、若葉台の第4地区が約25600人と一番多いけど高齢者数は約3400人と一番少ない、第3地区は人口は約25000人で第4地区比べて600人ほど少ないけど高齢者数は約4700人と1000人以上多くなっています。しかも、第3地区の拠点は百村の坂の上のいなぎ苑が拠点になっており、大丸や東長沼に住んでいる人から見ても決してなじみがあるとは言えないのではないでしょうか。私はこの第3地区については、様々な面で他地区と比べて負荷が大きいと考えています。「現状で支障は生じていない」という答弁でしたが、将来的に何らかの見直しなり、サテライトの整備なりが必要になってくると考えています。今後も引き続きこの件について必要な見直しを求めていきたいと思います。
0307.jpg
※日常生活圏域の区域図

(3)介護施設の整備について
①東京都の介護施設整備の施策について認識を聞きます。
→この間は、東京都の地域密着型サービスの整備に係る補助金を活用してきました。
②介護施設整備の必要性について認識を聞きます。
→高齢者が要介護状態になっても可能な限り住み慣れた地域や自宅で暮らし続けることができるように、認知症グループホームや小規模多機能型居宅介護の整備は必要であると認識しています。
→特別養護老人ホームなどの施設は、広域的に利用されるサービスであることから市内の平坦地・既成市街地に必ずしも必要であるとの認識はありません。
→これまでも小規模多機能型居宅介護施設等の地域密着型サービスを地域の拠点施設であると考えて、日常生活圏域ごとに計画的に整備をしているところです。
<解説>
 東京都は新年度予算で、特別養護老人ホーム等の施設整備を前年度から20億円以上増やして推進を図っています。高齢者の住まいの問題の解決は切実な課題です。介護施設の確保や充実を求める立場から質問しました。
 市としても一定の整備は必要であると認識をして、整備はしているわけです。その点では、私は介護施設、とくに規模の大きい特養ホーム等がニュータウン地域や平尾地域などに集中をしている点は解消すべきではないかと思っています。やはり、大丸や東長沼や矢野口地域など既成市街地の地域の皆さんからは自分たちの地域にも一定の拠点となる施設が必要ではないかという声を聞きます。答弁では「地域的な偏りは問題ない」という答えでしたが、本当にそうなのか、ということです。この間、大丸都営アパート建て替え後の空き地に介護施設を作るべきだと求めてきました。
 日常生活圏域の問題もそうですが、実は介護施設の整備では大丸地域は全く整備が遅れています。都営アパートを含めて大きな団地群やマンションを抱えている大丸地域の皆さんからは、どうしたって自分たちの地域に介護施設を整備してほしいという声が出されています。東京都の新年度予算に基づく施設整備事業も含めて今後も積極的に利用をしていくことが求められるのではないでしょうか。これからも、介護保険について市民や利用者の切実な実態に基づいて取り上げていきたいと思います。
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